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7月14日、"シャンゼリゼのモーツァルト"、オッフェンバック、パリを脱し、月へ飛ぶ!

フランスの新世代、ピエール・デュムソーの指揮、モンペリエ国立歌劇場、ヴィオレット・ポルシ(メッゾ・ソプラノ)、シェヴァ・テオヴァル(ソプラノ)らの歌で、オッフェンバックのオペラ・フェリ『月世界旅行』。

1875年、パリで初演された、オペラ・フェリ『月世界旅行』。何と言いますか、異世界モノ?てか、ディストピア観も... 恋愛は病とされている月世界に、地球からもたらされた恋愛が、あっという間にパンデミック!で、大騒動となりながらも、地球の王子と月の王女が結ばれて、めでたし、めでたし... というストーリーが、何か、凄い...

いつものオッフェンバック、ドタバタ×トンデモなのだけれど、妙に現代的な感覚もある?ベルヌの小説『月世界旅行』(1865)にインスパイアされての、19世紀流"SF"にして、そこから突き抜けて、トンデモは異世界へと通じ、村田沙耶香と同じ臭いがしてくるような... 楽しいけど、いつものオッフェンバックとはひと味違って、マッド?

1860年代、第二帝政の欺瞞を軽快に斬りまくったオペラ・ブッフでパリを熱狂させたオッフェンバック(1819-80)... 普仏戦争の勃発(1870)、第二帝政の瓦解、そして敗戦(1871)に始まる1870年代の混乱と社会の変化は、オッフェンバックに難しい状況(国内は愛国主義が横溢しドイツ出身のオッフェンバックは叩かれた!)を生む... 中での『月世界旅行』のマッドさ... 1860年代、"シャンゼリゼのモーツァルト"と呼ばれた作曲家の苦悩が覗くようで、ドタバタ×トンデモも、ちょっと切なくなる...

という『月世界旅行』を、デュムソーの指揮、モンペリエ国立歌劇場で聴くのだけれど、しっかりとしたそのサウンド、オペラ・フェリ=妖精オペラのファンタジックさを丁寧に捉えつつ、異世界感というか、不思議さも引き立て、聴く者を引き込んでくる。そこに、表情に富む歌手陣が、絶妙にキャラの立ったパフォーマンスを繰り広げ、物語を盛り上げる!しかし、侮れないオペラだわ、これ...

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