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8月29日、ショパン、ドビュッシー、ハンガリーの現代音楽、19世紀のピアノが織り成す、ケミストリーに幻惑...

ベルギーのピアニスト、ヤン・ミヒールスが、19世紀のアンティークのピアノを弾き、ドビュッシー、ショパンの前奏曲、リゲティの練習曲、クルターグの"遊び"で織り成す、不思議な2枚組、"PRÉLUDES INTERLUDES POSTLUDES"。

1894年製、エラールのピアノで、ショパンの前奏曲集(1839)、ドビュッシーの前奏曲集、第1巻(1910)、第2巻(1913)を、1876年製、スタインウェイのピアノで、リゲティの練習曲集、第1巻(1985)から2曲、第2巻(1988-94)から4曲、クルターグの"遊び"のシリーズ、第5巻(1997)から3曲、第9巻(2017)から1曲を取り上げるという、不思議というか、奇妙な構成...

ショパンとドビュッシーの前奏曲集、24曲ずつをきっちり取り上げるも、綾なすように交互に弾いて、そこに、ハンガリー現代音楽界の鬼才、2人のナンバーを織り込むという... それも19世紀に製作されたピアノで... いや、2枚組による、凄い音楽の織物が繰り広げられるわけです。果たして、どんな意図が?いや、意図云々より、響きのおもしろさたるや!

ドビュッシーにショパンを溶け込ませると、ドビュッシーの響きの鋭敏さが際立つ一方で、ショパンは、そのルーツであるフランスの音楽性、響きの透明感や色彩がふわーっと浮かび上がり... そこに、意外とお洒落?ポップ?ハンガリーの現代音楽がスパイスを加えつつの、19世紀のピアノのアンティークなトーンが不思議な落ち着き、優美さをもたらし... ケミストリー!もはや、理屈ではない、魅惑的な響き!響きの宝石箱やは...

という、"PRÉLUDES INTERLUDES POSTLUDES"を聴かせてくれた、ミヒールス!19世紀のピアノ、2台を、器用に弾き分けながらも、それがピリオド・アプローチではないのがミソ!素材としてのアンティークというスタンスが、実に刺激的!で、そのアンティークを活かす丁寧なタッチが、味わい深い多彩さを掘り起こし、ピアノを万華鏡に変えてしまう!で、そこに広がる、もはや何物でもない魅惑的な響きに、幻惑。ミヒールス、恐るべし... その挑戦に、脱帽。

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