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7月11日、やさしいメロディーに、やさしい歌声... 理屈抜き、癒される、18世紀、フランス、ブリュネット。

ベルギーのテノール、レイナウト・ファン・メヘレンが、率いるピリオド・アンサンブル、ア・ノクテ・テンポリスの伴奏で、18世紀、フランスの流行歌、ブリュネットを歌う、"OH, MA BELLE BRUNETTE"。

「ブリュネット」というと、髪色のイメージなのだけれど... いや、まさに!その髪色の恋人に歌い掛けるから"ブリュネット"と呼ばれる歌のジャンルが、18世紀、フランスにはありました!アルカディアに住まう羊飼いたちの、他愛ない恋の風景を歌う俗謡... 牧歌的で、誰もが口ずさめるシンプルなメロディーに彩られた、ブリュネット。

シンプルな中に漂う、フランス伝統の牧歌劇の延長線上にあるだろうアルカイックさが、宮廷で歌われたエール・ド・クールの流麗さ、劇場を沸かせたトラジェディ・リリクのドラマティックとは違う魅力、もうひとつのフランスの歌の姿を引き立てる... それは、何とも素朴で、見事に派手さは無いのだけれど、耳に、得も言えず、やさしさい...

というブリュネットを、マレのヴィオール作品、オトテールのフルート作品、ヴィゼーのリュート作品、クープランのクラヴサン作品など、器楽曲を挿んで展開する、"OH, MA BELLE BRUNETTE"。フランス・バロックの名匠たちの音楽と、素朴なブリュネット、対極にあるようで、実は響き合うものあって、興味深い。いや、一周回って、掘り起こされるフランスの音楽のDNAだろうか?響き合い、エスプリが薫る。

そんな、フランスのエスプリ、精神を聴かせてくれたファン・メヘレン... まず、彼のオート・コントル(フランス・バロックに欠かせない、より高いテノール... )の澄み切った歌声に癒される... いや、無垢なのです。そこから、ブリュネットのアルカイックさ、引き立てて、目を閉じれば、アルカディアの風景が広がるよう。で、ア・ノクテ・テンポリスも好演!押し付けがましいところが一切ない、繊細さ、印象的で... 何より、美しい... そして、また、彼らも、アルカイック...

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