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さぶすクラシック日誌。2022年版...

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毎日、1タイトル、スポティファイでクラシックの新譜を聴いてみた。
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#ピアノ

12月16日、ピアノの素直な響きを重ねて、放たれる輝き... 惹き込まれた... コーニッシュの"SIERRA"。

ニューヨークのヒップな現代音楽専門集団、BANG ON A CANのメンバー、カナダのピアニスト、ヴィッキー・チョウによる、イギリス出身、ニューヨークを拠点とする作曲家、ジェーン・アントニア・コーニッシュのピアノ作品集、"SIERRA"。 cantaloupe music/CA21174 ロンドンの生れで、ケント州(ロンドンの東隣... )で育ち、早くから音楽に触れ、マンチェスターの英国王立ノーザン音楽大学で学び、ロンドンの英国王音楽大学の修士課程で研鑽を積み、映画音楽で活

12月3日、シューベルトのソナタを、シューベルトが所有していたピアノで弾いて生まれる魔法!

スイスを拠点にするピアニスト、矢野泰世による、ピリオドのピアノで弾くシューベルトのソナタのシリーズ、第2弾、19番と7番... シューベルトが所有していたコンラート・グラーフ(レプリカ)で... Ibs CLASSICAL/IBS42022 18番と16番のソナタが取り上げられた第1弾に続いての第2弾は、シューベルト、最期の年、1828年に作曲された最後の3つのソナタのひとつ目、19番と、シューベルトがそろそろ学生時代を終え、作曲家として歩み出そうという頃、1817年に作曲

12月1日、生誕250年、ヴィルムス、"オランダのベートーヴェン"の、ウィーンに負けない充実の音楽。

ロナルド・ブラウティハムが、マイケル・アレクサンダー・ウィレンス率いるケルン・アカデミーとともに、"オランダのベートーヴェン"こと、ヴィルムスのピアノ協奏曲を取り上げるシリーズ、第2弾。 BIS/BISSA2524 5曲あるヴィルムス(1772-1847)のピアノ協奏曲... ブラウティハムのシリーズ、第1弾では、1799年頃に作曲されたホ長調(Op.3)、1807年に作曲されたハ長調(Op.12)、1810年に作曲されたニ長調(Op.26)と、作曲年代が早い3曲が取り上げ

11月29日、"ロンドンのバッハ"と少年モーツァルトの交歓をつい妄想してしまう、2人の連弾作品...

アレクサンドラ・ネポムニャシチャヤとリチャード・エガーの子弟コンビ、デュオ・プレイエル、ピリオドのピアノの演奏で、J.C.バッハとモーツァルトの連弾作品集、"Mozart's Real Musical Father"。 1763年、ザルツブルクの神童、モーツァルト少年は、一家で、長い長いヨーロッパ・ツアーへと出発する。そうして辿り着いた、18世紀、随一の音楽マーケット、ロンドン... 1764年、8歳のモーツァルト(1756-91)は、ロンドンの音楽シーンの寵児となっていた

11月24日、イギリス・ルネサンス、バードの舞曲に変奏曲、ピアノで弾いてみた!ケミストリー!

南アフリカ出身、ロンドンを拠点とするピアニスト、ダニエル・ベン・ピエナールが弾く、イギリス・ルネサンス、爛熟期を彩った作曲家、バードのパヴァンとガリアード、パッサメッツォとグラウンド... 教会音楽にマドリガーレ... 歌のイメージが強いルネサンス(リュートは欠かせないか... )だけれど、イギリス・ルネサンスにおいては、ハープシコードにヴァージナルといった鍵盤楽器、コンソート・ミュージックなど、器楽も充実していたことが興味深いなと... で、その中心にいた人物、多くの器楽

11月6日、2つの交響曲にピアノ・ソナタ... 異色の組み合わせだけど、スクリャービンをよりワイドに楽しめる!

ラン・シュイが率いたシンガポール響の演奏で、スクリャービンの4番の交響曲、「法悦の詩」、エフゲニー・スドビンのピアノで、5番のソナタ、そして、5番の交響曲、「プロメテウス」。 BIS/BISSA2362 スクリャービンの代表作、4番の交響曲、「法悦の詩」(1908)と、ピアノ・ソロに合唱、オルガン、さらには色光ピアノ(光を放つ楽器というか装置... )までを用いた大作にして奇作、5番の交響曲、「プロメテウス」(1910)。まさにスクリャービン!という2作品の間に、スクリャー

10月29日、ブラームスのライトな面を聴かせてくれる、ピアノ連弾作品の数々... 素敵です。

エリック・ル・サージュとテオ・フシュヌレが弾く、ハンガリー舞曲に、16のワルツなど、ブラームスのピアノ連弾作品集。 連弾の方のシューマンの主題による変奏曲(Op.23)に、「愛のワルツ」(15番)が有名な16のワルツのオリジナル連弾版、そして、本来、歌われるワルツ集『愛の歌』と『新、愛の歌』の歌無し連弾版、さらに、オーケストラの定番レパートリー、だけれど、こちらこそがオリジナル!連弾によるハンガリー舞曲、全21曲... という2枚組、ブラームスの連弾尽くし! ロマン主義の

10月24日、フランス革命をサヴァイヴした侯爵夫人、ピアニスト、モンジュルー... その数奇な運命が紡ぎ出す音楽の力強さ、深み...

イギリスのピアニスト、いつもおもしろいレパートリーを掘り起こしてくれるクレア・ハモンドの演奏で、モンジュルーの練習曲集『ピアノ教育のための完全教程』から、29曲... エレーヌ・ド・モンジュルー(1764-1836)。 リヨンの法服貴族の家に生まれたエレーヌ... 一家は間もなくパリへと移り、エレーヌはピアノを習い始める。が、その才能は手習いのレベルを越え、デュセック、クレメンティら、革命前のパリを彩ったヴィルトゥオーゾに師事するまでに... 一方で、1784年、モンジュル

10月9日、安っぽい癒し系ちゃいます!これは、クラシックが本気出して癒すやつ... "FROM AFAR"。

アイスランドの異才、ピアニスト、ヴィキングル・オラフソンが、バッハから現代まで、幅広い、厳選のナンバーで綴る、ヒーリング・アルバム、"FROM AFAR"。 バッハ、モーツァルト、シューマン、ブラームスの王道に、バルトーク、クルターグというハンガリーの作曲家がアクセントを加え、さらに、オラフソンの故国、アイスランドの作曲家、カルダロン(1881-1946)に、シガー・ロスのヴォーカル、ビルギッソンによるアイスランド民謡など、こだわりの選曲で綴られる、オラフソンの"FROM

10月6日、モーツァルトが女性ピアニストのために書いたピアノ協奏曲のたおやさ、花やかさ、魅惑的。

ピリオド系ピアニスト、クリスティアン・ベザイデンホウトが、フライブルク・バロック管の伴奏で、モーツァルトのピアノ協奏曲、9番、「ジュノーム」と、18番を弾く... フランスの舞踏家、ノヴェールの娘で、ウィーンの富裕な商家に嫁いでいたピアノ奏者、ヴィクトワール・ジュナミ(1749-1812)のために書かれた、9番、「ジュノーム(ジュナミ)」(1777)に、ウィーンで活躍したピアニスト、マリア・テレジア・フォン・パラディス(1759-1824)のために書かれた、18番(1784

10月2日、久々にモーツァルト... それも、ど真ん中のモーツァルト... けど、いつもとは違う視点で見つめてみる...

ジュリアン・ショーヴァン率いるル・コンセール・ド・ラ・ローグの演奏で、モーツァルトの40番の交響曲、アンドレアス・シュタイアーのソロによる、23番のピアノ協奏曲。 1787年にプラハで初演されたオペラ『ドン・ジョヴァンニ』の序曲で幕を開け、1786年に作曲された23番のピアノ協奏曲が弾かれ、最後に、1788年に完成した40番の交響曲が演奏される。モーツァルトと言えば... というお馴染みの名曲、3曲。まさに、モーツァルト、ど真ん中! ど真ん中なのだけれど、それは、1780

9月28日、ベザイデンホウト×エラス・カサド×フライブルク・バロック管、力強い演奏!理屈抜きに引き込まれた!

ピリオド系ピアニスト、クリスティアン・ベザイデンホウトが、パブロ・エラス・カサドの指揮、フライブルク・バロック管の伴奏で、ベートーヴェンの1番と3番のピアノ協奏曲を弾く。 1824年製、コンラート・グラーフのピアノ(レプリカ)を用い、モダンも、ピリオドも、ドンと来いなマエストロ、エラス・カサド、ドイツのバリバリのピリオド・オーケストラ、フライブルク・バロック管とともに展開されてきた、ベザイデンホウトのベートーヴェン・イヤーのためのベートーヴェンのピアノ協奏曲のシリーズ...

9月24日、美しさと大胆さ、一筋縄には行かないランゴーの魅力を堪能する。

デンマークのピアニスト、ベーリト・ヨハンセン・タンゲによる、デンマークの作曲家、ランゴーのピアノ作品のシリーズ、最新盤、2つの『花の描写』、2番のソナタなどが取り上げられる、Vol.4。 デンマークの不遇の天才、ランゴー(1893-1952)。コペンハーゲンで音楽一家に生まれ、新時代の音楽家を育てることに尽力したホーネマン(1840-1906)に師事、若くして才能は開花、海外で作品が取り上げられるも、国内では理解されず、長らくオルガニストとして生計を立てながら、静かに作曲活

9月21日、シンプルだからこそ引き立つ、グリーグの瑞々しさ... 今、改めて、惹き込まれた!

イギリスの大ベテラン、ピアニスト、ピーター・ドノホーが、全10巻、66曲からなる、グリーグの抒情小曲集を録音するシリーズをスタート!で、その第1弾、「春に寄す」など、27曲を弾く... ピアノによる小品を6曲から8曲ごとにまとめた抒情小曲集... グリーグ(1843-1907)、24歳の年(前年にオスロのフィルハーモニー協会の会長に就任、翌年には、代表作、ピアノ協奏曲を作曲... まさに、順風満帆!)、1867年に第1巻が出版されて以来、58歳の年(健康状態が悪化、以後、作