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さぶすクラシック日誌。2022年版...

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毎日、1タイトル、スポティファイでクラシックの新譜を聴いてみた。
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#17世紀

12月25日、中部ドイツのバロック・クリスマス・カンタータのヌクモリティー、ハート・ウォーミング!

マティアス・ユング率いるザクセン・ヴォーカルアンサンブルの合唱、バツドルファー・ホフカペレの演奏で、中部ドイツのバロック・クリスマス・カンタータ集、"Ehre sei Gott in der Höhe"。 cpo/555491 ライプツィヒのトーマスカントル、バッハの前任のクーナウの前任、シェレ(1648-1701)、ザクセン選帝侯領、チェコ国境に近い街、チョッパウのオルガニスト、リーベ(1654-1708)、テューリンゲンの小さな領邦君主、シュヴァルツブルク・ルードルシュ

12月19日、17世紀、北ドイツ、侮るなかれ... テノールが歌う、多彩にして充実した教会音楽の数々!

古楽やバロックで活躍するドイツのテノール、リヒャルト・レッシュが、ドイツのピリオドの名手たちが結集したアンサンブル、アンサンブル・ラ・シッラの演奏で歌う、テノール独唱による、17世紀、北ドイツの教会音楽集、"Wenn ich nur Dich hab"。 Carpe Diem Records/CD16330 リューベックの聖マリエン教会のオルガニスト、トゥンダー(1614-67)、その娘婿にして後任、ブクステフーデ(1637-1707)、その弟子で、フースムのオルガニスト、

11月20日、知られざるフランドル楽派の末裔... 17世紀、アントウェルペンに響いた、ステーラントの教会音楽。

フランク・アグステリッベ率いる、ルクセンブルクのヴォーカル・アンサンブル、カントLXが、B'ROCK管の演奏で歌う、17世紀、アントウェルペンで活躍したフィリップス・ファン・ステーラントのレクイエム。 フィリップス・ファン・ステーラント(1611-70)。 ベルギー、フラマン語圏、アントウェルペン(当時は、スペイン領ネーデルラント... )の音楽家一家に生まれ、聖ヤーコプ教会(ルーベンスが埋葬されている... )のオルガニストを務めた人物とのこと... いや、初めて知りまし

11月19日、17世紀のヴァイオリン、侮れない!ウッチェリーニのソナタに魅了される!

イギリスから、バロック・ヴァイオリンの新たな逸材!コナー・グリスマニスが、自ら率いるバロック・アンサンブル、ノックスワードとともに、ウッチェリーニのヴァイオリン・ソナタを弾く... マルコ・ウッチェリーニ(ca.1603-80)。 イタリア中部、フォルリ近郊、フォルリンポポリの貴族の家に生まれたウッチェリーニ。アッシジの神学校で学び、聖職の道を歩む中(1635年、司祭になっている... )、音楽も学び、アッシジの大聖堂の楽長でヴァイオリニスト、ブオナメンテに師事したと考えら

11月18日、17世紀のオペラの集大成?盛期バロックを前にした魅力!パスクィーニの『イダルマ』。

アレッサンドロ・デ・マルキが芸術監督を務めるインスブルック古楽音楽祭、アリアンナ・ヴェンディテッリ(ソプラノ)のタイトルロールで、17世紀、ローマで活躍したパスクィーニのオペラ『イダルマ』。 ベルナルド・パスクィーニ(1637-1710)。 ピサとフィレンツェの中間にある小さな町、マッサ・エ・コッツィーレで生れ、隣町、ウッツァーノで音楽を学び始める。13歳の年、司祭だった叔父に連れられ、教皇領、フェッラーラに移り、才能を開花。16歳の年、かつてルッツァスキ、フレスコバルディ

11月17日、リュリ、死の前年のオペラ『アシスとガラテー』の集大成感と"もののあはれ"?に魅了される。

クリストフ・ルセ率いる、レ・タラン・リリクの演奏、ナミュール室内合唱団、アンブロワジーヌ・ブレ(メッゾ・ソプラノ)、シリル・オヴィティ(テノール)らの歌で、リュリのオペラ『アシスとガラテー』。 1685年、太陽王のお小姓に手を付けるというスキャンダルを起こし(ま、それは切っ掛けに過ぎず、積もりに積もったものが爆発したのだろうけど... )、フランス楽壇を我が物としてきた、おべっかクソ野郎、リュリ(1632-87)の命運もとうとう尽きる。リュリのオペラはヴェルサイユで上演され

11月16日、ロックの『プシュケ』、イギリス・オペラ、黎明期の、思い掛けない盛りだくさんに魅了された!

セバスティアン・ドゥセ率いる、アンサンブル・コレスポンダンス、ルシール・リシャルドー(メッゾ・ソプラノ)、マルク・モイヨン(テノール)ら、実力派歌手が揃っての、ロックのセミ・オペラ『プシュケ』。ドゥセによる完全オペラ化で聴く... 清教徒革命(1649)により破壊(キリスト教原理主義政権は、音楽そのものを否定... )されたイギリスの音楽界が、王政復古(1660)によって息を吹き返す!帰って来た王室は、亡命先(フランス、オランダ、ドイツ、各地を転々とした... )、大陸の最

11月15日、いや、久々に聴くと、興味深い... ダウランド、古くて、新しい、稀有な音楽... 秋、深まる中、沁みる。

スウェーデンのリュートの名手、ユーナス・ヌードベリの演奏で、ダウランドのリュート作品アンソロジー、さまざまなリュート練習曲集のナンバーによる、"LESSONS"。 しっとりとプレリュード(P 89)で始まって、軽やかなファンシー(P 73)、味のある蛙のガリアード(P 23a)と続き... エリザベス女王のガリアード(P 41)や、彼女は許してくれようか(P 42)、デンマーク王のガリアード(P 40)、そして、ダウランドと言えば、ラクリメ(P 15)!などなど、ダウランド

11月14日、遠い北欧の宮廷を彩った国際性... ペーザスンの多彩な教会音楽集、『魂の牧場』。

マンフレッド・コルデス率いる、ドイツの古楽アンサンブル、ブレーメン・ヴェーザー・ルネサンスの歌と演奏で、ルネサンス末から初期バロックに掛けてデンマークで活躍したペーザスンのモテットと賛美歌集『魂の牧場』。 モウンス・ペーザスン(ca.1583-ca.1623)。 デンマーク、黄金期の国王、クリスチャン4世(在位 : 1588-1648)が親政を開始(1696)し、宮廷音楽の拡充に乗り出した頃、コペンハーゲンの宮廷礼拝堂の聖歌隊に加わった10代半ばのペーザスン... オランダ

9月15日、17世紀、マスク、仮面劇、それはイリュージョン...

スイスの古楽アンサンブル、コンチェルト・シロッコが、イギリス・ルネサンスを彩ったマスク、仮面劇にスポットを当てる、"Music for the Eyes"。 調べてもあまりよくわからないジョン・ヒルトン(1575-1628)とジョン・アドソン(1587-1640)に、イギリス出身、デンマークやドイツ各地の宮廷で活躍したウィリアム・ブレイド(1560-1630)の3人の作品を軸に、マスクで用いられた舞曲やファンタジアを取り上げる、"Music for the Eyes(視線の

8月21日、スティルス・ファンタスティクスの魔法!改めて、ビーバーの稀有な音楽に魅了された。

スペインのピリオド系ヴァイオリニスト、リナ・トゥール・ボネと、彼女が率いるピリオド・アンサンブル、ムジカ・アルケミカの演奏で、ビーバーのヴァイオリン・ソナタ集。 ビーバー(1644-1704)が、気鋭のヴァイオリニストとして活躍(ひっぱりだこでした... )していた頃、8つのヴァイオリン・ソナタ集(1681)から4曲、3番、5番、1番、6番。ザルツブルク大司教の楽長に就任(1684)し、皇帝から貴族の地位までいただいてしまった頃、『技巧的で楽しい合奏音楽』(1696)、2本

8月20日、三十年戦争の傷跡を癒すかのように美しいリュートの響き... 現代にも響く...

アメリカ出身のリュート奏者、ウィリアム・カーターの演奏で、17世紀、ポーランド、ドイツで活躍したリュート奏者、ロイスナーの『リュートの楽しみ』から、3つの組曲を取り上げる... エザイアス・ロイスナー(1636-79)。 三十年戦争(1618-48)の只中、ポーランド、シロンスク地方(当時は神聖ローマ帝国領... )、ルブベクで、ドイツ系のリュート奏者の父の下に生まれたロイスナー... 7歳の時、一家は、戦争で荒廃したルブベクから離れ、前線から少し離れたシロンスクの中心都市

8月19日、華麗にして、切なげでもある、17世紀、ヴェネツィアが、現代に重なるような...

アレッサンドラ・ロッシ・リューリヒ率いる、イタリアの古楽アンサンブル、アカデミア・ダルカディアの歌と演奏(ピリオド金管アンサンブル、ウト・ファ・ソ・アンサンブルがサポートに入る!)で、ヴェネツィア楽派、グランディの晩課の詩篇曲集。 アレッサンドロ・グランディ(1590-1630)。 ヴェネツィアに生まれ、ヴェネツィア楽派の大家、ジョヴァンニ・ガブリエリ(1557-1612)に師事し、ルネサンス期を代表する文化センターだったフェッラーラで研鑽を積み、1617年、ヴェネツィアに

8月18日、ルネサンスとバロックが融け合うローマらしさ... マッツォッキのマドリガーレ、芳しい!

エティエンヌ・メイヤー率いる、フランスの古楽アンサンブル、レ・トラヴェルセ・バロックの歌と演奏で、マッツォッキの5声のマドリガーレ集。 17世紀、イタリア、カウンター・カルチャーとして楽壇に衝撃と論争をもたらしたバロック... けど、ルネサンスの伝統(古様式)が息衝く聖都、ローマでは、もうちょっと緩やかな受容がなされたか?というあたりを垣間見れるのが、ここで聴く、1638年にローマで出版された、マッツォッキ(1592-1665)の5声のマドリガーレ集。 ルネサンス・マドリ