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島体験は、大切にしているものを再確認する日々だった。

島根県の離島、隠岐島前地域で活動したみなさんが、お互いにインタビューして執筆する「島でnote書いてみた。」
今回執筆してくれたのは、2023年10−12月の島体験生。
近い関係性だからこそ語れる、率直な思いをお届けします。

2023年10-12月の島体験生として海士町に来島。
海士町役場の里山里海循環特命担当として働く神野佑介さん(わさび)にインタビューしました。



神野さん 取材当時25歳 大阪府出身
R5年度10-12月期大人の島体験に参画

来島するまでは、大学を休学して兵庫県でファシリテーターをしていました。子どもたちとキャンプをしたり、クラスづくりをしたり。そういう人との繋がりや、居場所づくりに関心がありました。

子どもたちとキャンプ

そんななか友だちからコミュニティデザインについての話を聞き、山崎亮さんの『コミュニティデザインの時代』という本を読んで海士町のことを知って。キャンプの仕事で島根県に来ていたのもあって、どういう場所なのかなと思って来てみました。


ゼロからイチをつくる。海士町の課題に触れながら

里山里海循環特命担当で自分が取り組んでいることは2つあって、1つは断熱DIY教室。もう1つはゴミに関するワークショップです。
業務内容は、ワークショップ担当なので事前に申し込みフォームをつくったり、チラシをつくったり。

ゴミツアーのプロジェクトは自分ともう1人の島留学生と職員さんの3人で進めているので、そもそもの枠組みとか、資料の相談も含めて本格的に関わることができています。ゴミの問題は海士町のなかでもあまり取り組んできていないことだったのもあり、ゼロからイチを作っていく段階なので3人で模索しながら進めています。

先日終えた断熱DIY教室にむけて、10月からずっと動いていました。開催するにあたって、建築家の先生から大工さんにも来てほしいということをお願いされて。海士町には大工さんがものすごく少なく、若いひとたちは公共事業などで忙しい。だから、引退された大工さんに声をかけることになって。こういうことをしたくて、と話にいくときも同行したんですけど、「もう手も上がらないし、大工の仕事ももうできないから」という感じで、大工さんの家族も心配そうで。
なんとか来てもらえることになった、という感じだったんですけど、やっぱり木材を前にするとすごくかっこよくて。

断熱DIY教室の様子

本番のときもいろいろなサポートをしてくださって、終わったあとに荷物を大工さんの家まで運びに行ったんですけど、そのときの笑顔がめちゃめちゃ印象的で。

その笑顔の背景にあるものはわからないけど、僕の解釈では、なにかやりきったものがあったのかなって。ワークショップの振り返りでも「この地域のために、僕はなんでもします」と言ってくださって。ワークショップをつくっていく過程から関わってきたので、とても感慨深かったです。

仕事のことは、気がついたら家でも考えてしまう瞬間が多くて。「これやりなさい」って与えられていることではなくて、「どうやったらゴミのことに関心を持ってもらえるようになるのか」とか。そんなふうに考えたことを次の打ち合わせで伝えて、それが反映されることもたくさんあるから、海士町の課題が自分ごとになっている感覚があります。


場所が変わっても、変わらない大切なもの

今まではずっと教育系の現場にいたんですけど、海士町に来て関わる分野が変わっても、やっぱり自分は人が繋がっていく場作りが好きなんだなと思いました。
海士町で関わったのは、「建築」「地球循環」「環境」とか今まで考えたこともない領域だったんです。でも、取り組んでみたら、教育現場で学んできたことも活かせる場面が少しずつあって。関心がない人にどう伝えたらいいんだろう、とかどうやったらみんなが幸せに居られる場になるんだろう、とか。そういうことが結局どんなところでも大事なんだろうなというのを働いているなかで感じました。


大切なものを再確認する日々

この3ヶ月は、自分が変わった、というより磨かれたという感覚で。
やっぱ大事にしているものってこれでいいんだなって再確認する日々だったなと思います。あとは、とりあえずやってみる姿勢が身につきました。

1月からはフリースクールのスタッフとして働くことになりました。海士町で学んだ新しいことを恐れずにやってみるという考え方を取り入れながら、いい場作りをしていきたいです。


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