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ぬか漬けと納豆で作る【きりざい】

段々と気温が上がってくると、冷蔵庫の野菜でもやはり春先とは持ちが違ってくる。ついそれを忘れて先が黄色くなり始めた葉物を見つけたりすると、毎年げんなりしてしまう。

でも同時にそれはぬか漬けシーズン到来の合図でもあって、買い物から戻ったらぬか床に入れられるものはもうさっさと入れてしまえば、冷蔵庫のスペースも取らず日保ちも良くなって一挙両得。

塩っぱくなったらしばらく水に浸せば少し和らぎ食べやすくなる、長く漬けると多少酸っぱくなるけれどそれもまたおいしい。ストックしていた野菜の残りが寂しくなってきても、埋めておいたぬか漬けでまだ生野菜が摂れるという心強さもうれしい。

今日はあると安心の納豆と保存が利く漬物、身近な発酵食品同士を合わせた新潟の伝統食を。さっと作れてまずごはんに合い、発酵仲間のお酒にも合う。作物の少ない長い冬でも大豆のたんぱく質と野菜がしっかり摂れる、雪国の知恵は新たな時代にも健在です。

■新潟/魚沼の伝統食[きりざい]の作り方■

【使った材料】
・納豆…1〜2パック
・好みの漬物…刻んだ見た目で納豆と同量位目安
※今回は、人参ぬか漬け(自家製)/野沢菜/たくあん/赤かぶ漬け を使いました

・塩昆布…好みで適量
・炒りごま…好みで適量
・卵…1〜2個、生食可なもの
・海苔…1〜2枚、 1/4に切る
・大葉…1束、水に浸してシャキッとさせる
・好みで醤油、辛味調味料(かんずり、柚子胡椒など)等

■丼用■
・ごはん
・ごま油

[きりざい]は、「切り」+「(野)菜」の意で、昔貴重だった納豆に刻んだ野菜や漬物を混ぜてカサ増しする工夫だったそう。漬物は塩分が気になりますが、市販品は低塩分化傾向が進み、納豆と合わせてさらにマイルドに食べやすくなります。先人に倣い、無駄なくあるもので工夫するのが一番のポイントです。

①漬物を刻みます
量・サイズ共に納豆と同じくらいを目安に刻みます。1種類でもいいし、2〜3種類あると見た目にも楽しくなってくる。

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にんじん、大根(たくあん、べったら漬けなど)のような形は、みじん切りの要領で、薄切りにしてから細く切りそれを端から刻みます。固くて漬かりが遅いにんじんは、言い換えれば長く漬けても安心のお気に入りのぬか漬け材で、入れ替り立ち替り必ず床に埋まっています。

野沢菜のような葉物なら、小口からざくざく。野沢菜が残ったら少し醤油とみりんを足して油炒めにしてもおいしい。

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漬物の種類に決まりはなくあるもので十分。またきゅうりやにんじん、大根の葉など生の野菜を刻み軽く塩揉みして使うのもいいと思います。

②納豆に混ぜ込みます
納豆をボールか鉢に入れてかき混ぜ、刻んだ漬物を混ぜ込みます。この日の納豆はタレがついていなかったので使っていません。漬物によって塩っぱさにかなり差があるので、混ぜてみて、味見して、そこから好みでタレやお醤油を足すのが安全です。

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以上。でもいいですが、今回は常備している塩昆布と炒りごまを加えて旨味と風味を足しました。他にも刻みネギやかつお節・海苔・鮭(フレーク)などお家によって色々あるそうで、あれば入れ、なければ入れない、くらいでいいと思います。

③完成です
鉢で食卓に、もしくはいきなりごはんの上か悩みどころ。
いずれにしてもおすすめは卵のせで、まずは順当に食べやすく海苔と大葉で包んでおつまみとしていきました。卵黄だけ使う場合、残る卵白はお味噌汁やチャーハン、雑炊などでぜひ使ってください。

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包むと食べやすさに加えて舌に感じる塩気も和らいで、納豆に海苔とは飲みながらにして健康になってしまうのではと思えてくるほど。さらにごはんをのせて手巻き寿司のように食べるのもおもしろい。

普段納豆だけでごはんを食べる時とは違い、きりざいにするとぬめりがやや控えめになってよく噛んで食べられます。同時にいろんな漬物の歯ごたえと味が感じられるのもとても楽しい。

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友は新潟魚沼/八海醸造の[特別本醸造 八海山]を。精米歩合55%のきれいな飲み口が幅広く食事に寄り添う蔵の代表銘柄、日常には馴染みの酒がいちばん。

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ある日はいきなり丼で。ごはんに、きりざい/卵/大葉の千切り/もみ海苔をのせて、炒りごまとごま油をかけて出来上がり。油分のコクで満足感がより高まります。好みでお醤油か、辛味調味料などを添えるのもおいしい。

今回使った八海山の[かぐら辛っ子]は、魚沼のご当地野菜・神楽南蛮(かぐらなんばん)と塩と麹で2年半以上熟成させて作る辛味調味料。まろやかな辛味に旨味甘味もあって使いやすく、色もとてもきれいです。

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おいしい工夫は続いていく、今日もきっとこれからも。

それでは今日はこのへんで。
最後までお読みいただきありがとうございました。

ぬか漬けと納豆で作る【きりざい】の作り方をYouTubeに投稿しています。合わせて見てもらえたら嬉しいです。


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