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視覚に囁く『小ご絵』

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いつも大きくて立派な扉ばかり見せられてきたように思う。 深く考えることなく、大きくて立派な扉ばかり追いかけてきたように思う。 だけどいつもうまく開けられるわけじゃない。 ある… もっと読む
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#バイク

すみません、本気で惚れました。

 オートバイに乗り続ける理由なんて単純さ。アミューズメントが好きなものでね。バイクに乗る…

バイク愛はいかほどに。

「私とオートバイ、どっちをとるの?」  鬼の形相で迫ってきた彼女は、出来レースと値踏みし…

満足の値段。

 相変わらずフリマサイトが活況だ。購入ニーズが高まれば、売値があがる。市場原理はこんなと…

【二輪の風景-最終章】消えたバイクとその後。

 DOHCとはいえ250ccシングルエンジンでは、プロジェクトBIG1のあいつには追い縋ることすらで…

【二輪の景色-21】適合者。

 健康、意欲、ヘルメット。意志に、工具に、見た目のよさも不可欠かな。魂が宿っていなけりゃ…

【二輪の風景-19】気づかれない変化。

 箱入り娘だった。  親の言うことを素直に聞いて、反抗期らしい反抗期もなく、大学を出て希…

【二輪の風景-18】舞う。

「怖いと思っても、あとには引けないことってあるでしょう? 覚悟を決めなさい。バイクにはこうやっていろいろと教えてもらってる」と言って彼女は、上から見下ろすと絶壁にしか思えない窪地に向かって突っ込んでいった。 「躊躇ったら100パーセント転倒しちゃう」それから彼女は「タイヤの接地を保持しながらすとんと地上に降りる感じ」と要領をかいつまんで教えてくれた。  すとんと降りる感じだって? アドバイスは的確なのだろうと思う。だからイメージはできる。だけど彼女の言葉を深く探ると、妙な感

【二輪の景色-16】泊まりにきたよ。

 大学を卒業してからずっと会っていなかった友がいる。お互い忙しかったもんね。金融商品扱っ…

【二輪の景色-15】幻のアートギャラリーで。

 そのアートギャラリーは一風変わっている。オートバイにまつわるものならなんでも取り扱う。…

【二輪の風景- 14】雨の日も想う。

 大人のキャンパーは、焚き木で夜空を見上げたあと、リゾートホテルのふかふかベッドで眠りた…

【二輪の景色-13】行き違い。

 バイクは時にヨーヨーのようだと思うことがある。どれだけ足を伸ばしても、糸が目いっぱい伸…

【二輪の風景-7】昭和の写真から。

 父はセピアに変色した昭和のモノクロ写真に、ガキンチョのまま閉じ込められていた。臍は曲が…

【二輪の景色-6】今度は私が。

 2017年秋、お母さんのひと言にお兄ちゃんは田舎のおばあちゃんちに立ち寄った。最初、遠回り…

【二輪の景色-4】その時代に生きる女。

「古いバイクが好きなのよねえ」  ショベルヘッドの1340ccを彼女はキックで始動して見せた。茶の革ジャンに黒の革パンツがスリムな体をさらに細く絞り込んでいる。生あるものというよりむしろ屍にも近い細さだ。生物学的に言えば骨格を動かす筋肉量が圧倒的に不足している。だからよけいに彼女と彼女を取り巻く空気がどこか遠くに取り残された何か、という感じがする。そこだけ時間軸が間違っている、そんなふうな雰囲気と言えば少しでも現実をとらえられている気がする。現代では嫌悪を覚えるのが当然の咥え