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視覚に囁く『小ご絵』

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いつも大きくて立派な扉ばかり見せられてきたように思う。 深く考えることなく、大きくて立派な扉ばかり追いかけてきたように思う。 だけどいつもうまく開けられるわけじゃない。 ある… もっと読む
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2023年2月の記事一覧

膜。

「弟をいじめるものではありません」と母は言う。  小便小僧のごとく両目から涙を飛ばす弟横…

好きです。

 会ったこともなければ、素顔さえ知らないアナタに恋をした。声も仕草もセーカクだって知らな…

スポットライト。

 巣に籠った雛鳥が成長したみたいに、街に人の囀りが戻ってきた。    今はまだ、平和の鳩時…

人が歩けば……。

 出会いは一瞬で、しかも必タイミング。  逸することもある。交差しなければ、それもまた時…

夜の街に「にゃお」。

 神出鬼没、夜の街。  徘徊? いいえ、巡回です。  毎夜、きちんと守ります。いいえ、人間…

うまい儲け話考。

 人はお金に弱い。自給自足でもない限り、お金が命の生命線になっている世間を渡るには、過不…

パブロフの。

「戸棚を開けるといつだってご飯をくれるんだもの。ね、ね、ご飯ということでしょ、飼い主様? だって戸棚を開けてるよ。ほら右側にずらりと並んでる。その、上から3番目のやつね」  パブロフの犬は犬に限ったことではない。猫だって繰り返し教え込まれればパブロフの犬になる。 「上から3番目のやつをくれるんだったら、お手でもなんでもするよボク」  だけど最近のしたたかペットは、すでにパブロフの犬の上をいっている。 「そうそう、それそれ、ご名答! サンキュ。それじゃご褒美、飼い主様、

ないものねだりの時間。

 ないものねだりは楽しい。あれやこれや、今現在、所有していないものをひとつふたつと抽出し…

思いはあたたかい。

 気遣いは、伝わらないかもしれない。それでも、いい事をしたら、それを見ている人がいる、か…

茶飲み話。

 仏教は、人をいい人に導こうとする。人はもともと中立で、良くも悪くも転ぶものという認識が…

微調整人生。

 忙しいうちは、時間を自由に使えたら、旅行に行って、美味しいもの食べて、観たい映画を選ん…

墓穴を掘らずんば誇示できず。

 社会で生きていると、幾度となく「郷に入らば郷に従え」と教えられる。社会は部分集合が寄り…

真実はいつも闇の中。

 毎週土曜日夜6時のあいつなら、たったひとつの真実を30分で暴いてみせるが、創作とは別世界…

韻を踏む言葉の国の人だから。

 エベレストと聞けば、good、better、bestの韻に絡んで最上級をイメージするけど、同じ山なのにチョモランマは耳にすると、愛くるしいけど威厳に欠けるように思う。認識の断層とも言うべき誤謬であることくらいわかっちゃいるけど、そこは韻を踏み、文字に意味を込めてきたお国で暮らしてきた人だもの、なんとはなしにこだわりたい。  たとえば「茫として杳」というような表現は、杓子定規で数式的な言語では言い表すことはできないし、頬をかすめるそよ風がもたらす心地よさに通じる側面からの手招