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【Chill with Beer】投票で造る3周年記念クラフトビール「満ちるチルIPA」醸造インタビュー

毎年恒例となった「みんなで周年クラフトビールを造ろう」企画!オトモニユーザーさんの投票で詳細を決め、オリジナルビールを醸造する企画も今年で3回目となりました。

今回のテーマは「チルなビール」。生活スタイルの変化が多く、何かと疲労感の漂った2022年に寄り添うビールを造るべく、詳細を決めていきました。

「チルなビール」を醸造するためにユーザーさんに投票いただいた項目は、「コンセプト/ビアスタイル」「チルを堪能する方法」「チルに相応しい名前」「チルなラベル」の4項目。約2か月の投票期間を経て、以下のような内容に決定しました。

コンセプト/ビアスタイル チルチル満ちる/IPA
チルを堪能する方法/スギ樽で寝かす
チルに相応しい名前/満ちるチルIPA
チルなラベル/満ちる時間 案

――幸せは身近なところに。ホップで身体と心を満たし、ふわりとした酔いに身を任せる。「満ちるチルIPA」という名の、肩の力を抜くのが苦手な人のためのリラックス系IPAです。

今回このビールを醸造してくれるのは、「いわて蔵ビール」世嬉の一酒造さん。数々の国際大会で受賞し、高い評価を得ている岩手のブルワリーです。

1周年のホップ感たっぷり「無限HAZY IPA」、2周年の自分を褒めながら飲む「自画自讃Modern IPA」と高レビュー&人気銘柄を生み出してきたこの企画。3年目は一体どのようなビールになるのか……!完成間近な「満ちるチルIPA」について、「いわて蔵ビール」世嬉の一酒造の四代目佐藤航さん(以下:佐藤さん)にお話をお伺いしました。

Step.1こだわりの原料/糖化

――「満ちるチルIPA」は11月20日に醸造開始したとお伺いしました。このビールはどのような原料を使用しているのでしょうか?

佐藤さん:「リラックス」がコンセプトのビールということでしたので、それに合う原料を選びました。麦芽はエールモルトと、コクがでるカラメルモルトを使用。ホップは香りを豊かに表現するために、4種類使用しています。酵母は香りを出しつつ、きちっとしたうまみを出すために、ロンドンイーストを使用しています。

あと今回は「スギ樽で寝かす」という工程があるので、そのためのスギ樽も用意しました。

――スギ樽はどのようなものを使用したのでしょうか?

佐藤さん:わたしたちは日本酒も造っており、振る舞い酒として明治神宮などにお酒を奉納しています。その際にお酒を入れるスギ樽を、醸造工程で使用しました。

――こだわりの原料にスギ樽……わくわくします!では実際にどのように醸造していったのか、詳細を教えてください。

佐藤さん:まずは2種類の麦芽を粉砕し、糖化します。50度、60度と少しずつ温度を上げていき、65度で90分じっくりと糖化していきました。

※ビールを造る過程で必要な「でんぷん」は麦芽の硬い殻皮の内側に含まれており、粉砕することで抽出しやすくなる
※糖化とは―でんぷんを糖に変える作業のこと。ビールに必要なアルコールと炭酸は、酵母が糖を食べることで生じるが、麦芽には酵母が食べられる糖は少なく、でんぷん(糖が鎖状になった状態)で存在している。そのため、でんぷんを酵母が食べることができる糖へと変える

「満ちるチルIPA」はスギ樽で寝かすビール。なので下地にスギの香りをつけたらどうだろうと思い、糖化のタイミングでスギチップを入れてみました。

――スギを糖化段階でも使用しているのですね!スギチップはどのくらい使用しているのでしょうか?

佐藤さん:10キロ程入れています。このスギチップは、先ほどお伝えした日本酒用のスギ樽を切り刻んでバラバラにしたもの。乾燥して軽いので、10キロは結構な量でした。

ちなみにこのビール、スギとホップで香りが強くなると思ったので、うまみが出るように糖化の際の仕込み水は少な目にし、バランスをとっています。

Step.2 煮沸/ホップ投入

佐藤さん:75度まで温度を上げ、糖化が完了したらろ過をしていきます。糖化窯から煮沸窯へ移動させることで、コーヒーのドリップのようなイメージでろ過が進み、麦汁が出来上がります(麦芽は殻つきで粉砕していれているので、その殻がろ過材になる)。

麦汁が完成したら、それを90分間沸騰。この間2回に分け、ホップを投入していきました。

――ホップはどのタイミングで投入したのでしょうか?

佐藤さん:ホップはどれだけ煮るかによって苦味の出方が変わり、入れるタイミングで香りの残り方が変わります。「満ちるチルIPA」では煮沸と同時に苦み漬けのビタリングホップ「コロンバス」、そして煮沸が終わった直後に香りづけのアロマホップ「サブロー」「カリプソ」「シトラ」を入れました。

Step.3 発酵

そして酵母を加え、いよいよ発酵スタートです。最初は20℃だった麦汁は、酵母による発酵熱(酵母が増殖し始める時に熱をだすこと)で22℃程度まで上昇。その状態から4日間程かけて発酵を進めていきました。

発酵が完了したら、今度はそこからは1日1度ずつ温度を下げていきます。20℃から5℃まで下げていくので、15日間かけてゆっくりと冷却していきました。

――1日1度ずつ、長い時間をかけて冷やしていくのですね……!

佐藤さん:急激に温度を下げると酵母が死んでしまい、殻が割れていやな香りがビールに移ってしまうことがあるんです。なので少しずつ温度を下げ、酵母を休眠状態にしていきました。

Step.4 ドライホップ/スギ樽投入

佐藤さん:穏やかに発酵が終わった18℃あたりで、最後のホップを投入を行いました。

――ホップに熱を加えず、香りだけをつける「ドライホップ」ですね!この際にはなんのホップを使用したのでしょうか?

佐藤さん:ここでは「サブロー」というホップを使用しました。サブローはマンゴー、グレープフルーツ、レモングラスそして木のようなアロマがあるんですね。「満ちるチルIPA」ではスギを使用するので、相性を考えこのホップにしました。

――スギチップと木の香りのホップで、すごく木の香りがしそうです!そしてここにプラスで、「チルを堪能する方法を選ぼう」で選ばれた「スギ樽で寝かす」が登場するわけですね。

佐藤さん:そうですね!しかし今回は醸造量的にビールをスギ樽に入れられなかったので、スギ樽をそのままタンクに漬け込み、香りづけをしています。スギは漬け込みすぎるとえぐみや木の渋みが出てしまうので、日々チェックしながら熟成の最終調整を進めています。

「満ちるチルIPA」スギを使用したチルなビールの味わいとは

――スギ樽と寝かせたビール……一体どんな味わいになるのか楽しみすぎます!

佐藤さん:まだ完成前ですが、グラスに口を近づけると、ぱあっとスギのにおいが広がります。スギの香りとホップの香りが組み合わさって、グレープフルーツの苦みのように感じる不思議なIPAです。香りが強いので、苦さはそんなに感じないのですが、フィニッシュでじんわりと苦味が蘇ってくるようなビールですね。

――スギの香りとホップの香りのコラボ!これはリラックス効果が期待できそうですね。最後にオトモニユーザーさんへのメッセージをお願いします。

佐藤さん:今回このようなビールを造らせていただき、嬉しいです。スギを入れるというのは僕たちにとっても初めての試みだったので、皆様がどのように感じるかとても楽しみにしています。「満ちるチルIPA」のスギの香りは、言い換えれば山の香り。それは山々に囲まれた岩手で嗅ぐ香りによく似ています。とてもリラックスできる香りなので、ぜひ心穏やかにビールを楽しんでいただければと思います。

「満ちるチルIPA」の配送は12月24日

「満ちるチルIPA」は熟成期間を終え、間もなく完成予定!12月24日には皆さまのお手元にお届け予定です。今年の年末は「満ちるチルIPA」と一緒に、チルな時間を過ごしていただければ嬉しいです。

最後に、投票にご参加くださった皆様、本当にありがとうございました!






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