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野口整体、基本のキ〜愉氣、活元運動、体癖〜


生徒さんやクライアントさんの間では、
野口晴哉氏の代表的な著書を読んで
野口整体をお知りになった方や、
以前別の道場に通っていた方、
全く知らないけれど楽しく学べそう
と思ってきた方など、レベルは様々です。

ここで改めて、
野口整体の基本のキを、まとめました。
youtubeに動画をあげましたので、
すでに稽古されてる方もそうでない方も
基礎稽古としてぜひ参考にしてみてください。

https://youtube.com/@seitaishidou-takiguchi?si=9bVy5MnhFrCwpDDb


□野口整体とは


野口晴哉氏が提唱した整体です。
関東大震災後、多くの被災者を治癒したとして、わずか10代で整体道場を設立し、門人を育成し続けました。
「病」の治療ではなく、根本的な偏り疲労の改善や生活指導、潜在意識教育の重要性を説きました。


□愉氣-yuki-

愉快の愉、
氣持ちの氣、 と書きます。
文字通りの意味です。

野口整体では、
施術のときのひとつひとつの手技を
「手当て」や「調整」と呼びます。
その手当てひとつひとつの際に、
愉氣をしています。

【方法】
丹田に溜めた空気を、自身の手のひら、
指先に向かって鼻から吐きます。
(あくまでイメージ。実際は鼻呼吸です。)

自身の手のひらを伝って、
相手の患部に呼吸を通すイメージをして、
静かに呼吸を続けます。

人によりますが、
手のひらの感覚が鋭敏だと、
氣を通すと手が熱くなったり、
反対にそよ風のようなものを感じたり、
炭酸水に手を入れたような
シュワシュワしたものを感じたりします。

具体的には
相手の患部のドクンドクンという脈、
相手の患部のあたたかさ、
呼吸によるふくらみ方やしぼみ方、
自分自身の呼吸のしやすさ、
などの観点から、変化を観察して
「氣が通った」ことが感じられたら終わりです。

相手を良くしてあげよう、
治してあげよう、
という気持ちは必要ありません。
あくまで天真に、
呼吸を通す
意識を巡らせる
だけのイメージで愉氣を行い、
あくまで愉氣に反応して治癒するのは
本人の自然治癒力が回復させます。

野口整体を昔から受けている人や敏感な人は
施術自体、愉氣のみで充分ですが、
現代人の多くの方は愉氣だけでは
うす味すぎてなかなか時間がかかるので
整圧したり、さまざまな手技を使います。

それでも過刺激にならぬようにし、
あくまで「本人が体力を充分に発揮して、
自ずと治す経験を積んでもらう」ことに
重点を置きます。


□合掌行氣-gassyo gyoki-


愉氣の威力を高めたり、
手のひらの感覚を鋭敏にするために行う、
基礎訓練です。

【方法】
正座をして目を閉じて、合掌します。
この基本のかまえ(型)に、
いくつかポイントがありますが、
ここでは省略します。


愉氣の時と同じく、
丹田から手のひらにむかって、
鼻呼吸を通します。
手のひら全体にある程度氣を通したら、
つぎは親指、人差し指、中指、薬指、小指...
一本ずつの指に集中して、氣を通します。

目安として、10分やれば充分です。
手のひら全体の指紋がはっきりする感覚や、
手の内側からふっくらする感覚、
手全体がモワモワとあたたかい感覚など、
人によってさまざまな感想があると思います。


私は修行当初は、
なんとなく手があたたかいけど、
ただの体温ではないだろうか?
くらいしか感じられませんでしたし、
10分正座でじっとしていることが苦手でした。
これも慣れが必要です。


なんだかよく分からない。
けど、やるしかない。
と毎日稽古して、人の身体に触れ、
1年程して、なんとなく、
手がレントゲン検査器具のように
人の臓器や骨、患部の状態が
分かるようになってきました。


□活元運動 -katsugen undou-


自己治癒力を高める体操です。
体操といっても、決まったポーズを繰り返すような体操ではなく、
「自動運動」といって、無意識下で
自身に必要な運動が勝手にでる。
という体操です。

正直、私は最初はとても、
「あやしげだな。」
という印象をもちました。

しかし実は、寝返りや貧乏ゆすりなども
活元運動の一種です。
自身の「動かそう」という意識はなく、
身体が勝手に動いています。
小さな子どもがイライラした時に、
地団駄を踏んだり、
意味もなくなんだかくねくねと、
ふざけたように身体を動かしていますが、
あれも活元運動です。
鬱滞したエネルギーを発散させるためであり
勝手に疲れをとって
調整するための動きですので、
むやみやたらにやめさせずに
放っておいたほうがいいものです。

【活元運動の方法】

まず、3つの準備体操があります。

1.邪気吐き
正座になりみぞおちに手を当てます。手でみぞおちを押しながら上体を倒して、息を口から大きく吐き切ります。吐き切ったらパッと手を離し、上体を起こします。
これをあくびが出るまで続けます。

2.身体を捻る
正座したまま、左右7回ずつ、上体を捻ります。

3.延髄に力を集める
正座したまま、親指を中に入れて手を握ります。握った手を頭上に上げて、歯を少しだけ食い縛りながら、息を吐きます。吐きながら、上体をすこし反らし、上を向きます。
吐き切ったタイミングで、パッと脱力します。
これを3回繰り返します。

4.活元運動 本番

前述した通り、決まった型などなく
好き勝手に動くので、
人によってさまざまです。
バタバタと手足をゆする人、
首をぐるんぐるん回す人、
上体を前後に揺らす人、
その時々の疲れに応じた動きが出ます。

活元運動もまた、
説明するより、
やったほうが早いと思います。

□野口整体の呼吸法

手のひらに氣を通す合掌行氣や、
背骨に氣を通す脊椎行氣というのもありますが、
基礎稽古として3つの呼吸法があります。

漏氣法 roukihou
深息法 shinsokuhou
氣合法 kiaihou

それぞれの呼吸法のやり方は
教室や講座でお伝えしています。
どれも丹田を鍛えて、身体を練り、
氣を養う方法です。


□体癖 -taiheki-

野口晴哉氏の代表的な著書のひとつで、
晴哉氏自身、体癖の研究に精を出していたといわれています。

人には、生まれもった体の癖があり、
その体の癖を10種(正確には12種ですが)に
分類したものです。

体癖については様々な解釈があり
多くの人が解説しています。

生徒さんやクライアントさんからも、
体癖のご質問はよく頂きますが、
身体の疲れ方や、動きの癖
としてお伝えしています。

解説者によっては、
体癖別の性格や傾向、相性、
体癖の仕事への活かし方なんかを
説明する方もいらっしゃいます。

しかし、
ここからはわたしの個人的な意見ですが、

わたしは、
人の中身をカテゴリーに分類しては
いけないのではないか
と思っています。

言葉にして伝わったとき、
すでに暗示としてかかり、
「自分は体癖◯種だから、
こんな人間なんだ。
こんな仕事が向いているんだ」
と、自身の自発的な要求とは裏腹な方向に、
かえって可能性を狭めてしまう危険性も
あるのではないか。と考えています。

人間は、自分も含めて常に唯一無二で
これからどうにでもなれる、
可能性を秘めた生き物です。
体癖がどうであろうと、
自身の人生で、後天的に学べて、
影響し合う生き物である。

そんな希望をもって、
すこやかな身体で、
全力で生きることを
愉しんで欲しいと願っています。

□まとめ

いかがでしたでしょうか。
今日は、野口整体の基本の「キ」について
解説しました。

稽古はどのくらい長い時間やるかより、

いい指導者から、
いい環境で、
愉しく全力で集中してやれるか

の方がよっぽど大切です。

苦行を1日5時間、6時間やるより、
愉しくあっという間に1時間稽古したほうが、
ずっと身になります。

そう簡単に身につくものではないですし
資格が発行されて賞状がもらえるような
ものでもありません。

ですが、身につけた知恵と技術は
たしかな自分の財産になります。


自分と、大切な人だけでもいい。
いつでも「お大事に」と、
お互いに手当てが出来る
優しい世界を築いていきましょう。

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