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魔法少女の系譜、その106~『ウルトラシリーズ』と口承文芸~


 前回は、『ウルトラセブン』について、取り上げましたね。『ウルトラマン』、『帰ってきたウルトラマン』、『ウルトラマンA【エース】』と比べて、『ウルトラセブン』のあり方が違うという話でした。

 『ウルトラマン』、『帰ってきたウルトラマン』、『ウルトラマンA』では、ウルトラマンなどの正義の超人が、地球人に取り憑いている状態です。これは、古典的な「憑きもの」とシャーマンとの関係に似ています。
 『ウルトラセブン』では、ウルトラセブンという正義の超人が、地球人に化けている状態です。これは、古典的な「化けもの」のあり方と、同じですね。

 「憑きもの」も「化けもの」も、日本の口承文芸に、昔から登場する存在です。そして、憑きものと化けものには、共通するところがあります。
 すぐに思いつくのは、狐ですね。実在する動物としてのキツネではなくて、民俗学的な狐です。日本の伝承では、狐憑きという現象がありますし、狐が人に化ける話が、いくらでも伝わっています。
 狐より例は少ないですが、狸や蛇なども、同じですね。狸憑きや蛇憑きという現象があり、人に化ける話も、多いです。

 一般的には、狐憑き、狸憑き、蛇憑きなどは、困った状態だとされます。けれども、シャーマンの中には、自ら進んで狐や狸などを取り憑かせ、彼らの能力を借りて、問題解決に使う人もいます。
 シャーマンが、狐を取り憑かせて、良いことに使う場合は、取り憑かせたのはただの狐ではなく、「稲荷神」だとすることが多いです。蛇を取り憑かせる場合には、「蛇神」だとすることが多いです。
 ちょっと意地悪な書き方になってしまいますが、これは、「妖怪じゃなくて、神さまだから」という言いわけでしょうね。このように言うほうが、依頼者にも、納得してもらいやすいでしょう。

 妖怪と呼ぶにせよ、神さまと呼ぶにせよ、憑きものは、化けものと近い、あるいは、同じ存在が起こす現象です。狐も狸も蛇も、人に憑くこともあれば、人に化けることもあります。

 とすると、地球人に取り憑く『ウルトラマン』、『帰ってきたウルトラマン』、『ウルトラマンA』と、地球人に化ける『ウルトラセブン』とは、やはり、近い存在だと言えます。「狐」を、「宇宙から来た正義の超人」に入れ替えれば、『ウルトラマンA』以前のシリーズの超人たちのあり方そのままですね。

 のちに、ウルトラマン以下の超人たちは、「ウルトラ兄弟」であるという設定がなされました。後付けの設定でも、案外、間違っていませんでした。
 兄弟の中で、一人、異質に見えるウルトラセブンも、他の兄弟と、ちゃんと似ているところがあるわけです(^^)

 短いですが、今回は、ここまでとします。
 次回は、『ウルトラマンA』の話に戻る予定です。



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