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竈神【かまどがみ】と厠神【かわやがみ】 異界と此の世の境 (講談社学術文庫)


竈神【かまどがみ】と厠神【かわやがみ】 異界と此の世の境 (講談社学術文庫)

 日本に根づく民間信仰の神々について、解説した本です。
 代表的なものとして、竃神【かまどがみ】と、厠神【かわやがみ】とが、挙げられています。
 竃神や、厠神について知りたいなら、本書を読むのが一番でしょう(^^)

 竃【かまど】とは、今の家で言えば、ガスコンロ、あるいは、電気調理器ですね。
 厠【かわや】とは、便所=トイレのことですね。
 最近、歌で有名になった「トイレの神さま」が、厠神です(^^)

 少し前まで、日本では、「竃や厠という場所に、神さまが宿る」と、普通に考えられていました。
 厠神や竃神は、たいへん身近な神さまでした。「トイレの神さま」の歌にあるとおりです。どこの家の中にも、祭られていたものです。

 けれども、生活の急速な変化にともなって、多くの日本人からは、忘れられた存在になりつつあります。
 にもかかわらず、あの歌がヒットしたのは、日本人の心の奥底に、厠神(などの、民間信仰の神々)への畏敬が、潜んでいるからではないでしょうか。

 日本人の心性を知るのに、本書は、貴重な導きとなります(^^)

 厠神は、古事記や日本書紀には、登場しません。
 竃神は、ちらっと登場しますが、ほとんど活躍しません。名前が挙げられるだけです。

 このように、記紀での影が薄く、それでいて、民間で大切に祭られる神々が、かつての日本には、たくさんいました。
 疱瘡神【ほうそうがみ】、庚申【こうしん】さま、産神【うぶがみ】、橋姫【はしひめ】などです。
 中には、「ミカワリ婆さん」のように、神というより、妖怪といったほうがよい存在もあります。

 日本人の心性を知るのに、これらの民間信仰は、避けて通れません。
 本書では、これらの神々(妖怪)も、取り上げられています。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

はじめに――序にかえて――

  I
第一章 竃神【かまどがみ】の象徴性――生と死の媒介者
第二章 金工と錬金術
第三章 家と火――竃【かまど】・イロリの火を中心に
第四章 産屋【うぶや】の火――火の媒介機能を中心に
第五章 イロリをめぐる習俗――裸回りの深層

  II
第一章 厠【かわや】考――異界としての厠
第二章 厠と化粧――変身のフォークロア
第三章 黄金と糞便のフォークロア

  III
第一章 オタナサマ信仰の周辺――東北地方の家の神信仰を中心に
第二章 オタナサマの性格
第三章 年徳神【としとくじん】と疱瘡神【ほうそうがみ】

  IV
第一章 庚申【こうしん】信仰試論――転換の論理としての庚申
第二章 橋の民俗
第三章 柿の民俗
第四章 狐の民俗――「狐に化かされた話」を中心に
第五章 狐火とミカワリ婆さん

あとがき(原本)
学術文庫版あとがき
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