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虫食む人々の暮らし (NHKブックス (1091))


虫食む人々の暮らし (NHKブックス (1091))

 「昆虫を食べる」と聞くと、どう思いますか?
 「気持ち悪~い」、「あり得な~い」というのが、多くの日本人の反応ではないでしょうか。

 けれども、日本にも、「昆虫を食べる」文化が存在します。例えば、信州では、ハチの子や、イナゴや、ザザムシを食べますよね。

 世界には、普通の日本人が思う以上に、昆虫を食べる文化があります。本書を読めば、その豊かさに、驚かされるはずです(^^)

 「昆虫を食べる」文化を持つ地域では、決して、「貧しいから」、「他に食べる物がないから」、昆虫を食べているわけではありません。
 昆虫を「食べ物だ」と認識しているから、食べています。

 普通の日本人が、マグロやサンマを「食べ物だ」と認識しているのと、同じです。
 魚食文化のない地域の人から見れば、「魚を生で食べる」日本の文化は、グロテスクに見えるかも知れませんよね。

 同じように、多くの日本人にとっては、単に慣れていないために、昆虫食がグロテスクに見えます。それこそが、文化の違いです。
 そのことを、本書が認識させてくれます。

 世界の人々は、さまざまな昆虫を、さまざまな方法で、食べています。
 本書に登場するアフリカのイモムシなど、美味しそうで……食べたくなっちゃいました(笑)

 ちなみに、私は、実際に、何種もの昆虫を食べたことがあります。その経験によれば、イモムシの類は、みな美味しいです。アフリカの人たちが、喜んで食べるのが、わかります(^^)

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

序章 虫と営みを重ねて
 虫の思い出  ヘボが教える秋  世界は昆虫を食べている
 知られざる昆虫食大国・日本  昆虫食を求めて世界へ

第一章 営みが虫をはぐくむ――虫とともに生きる人々
 「コオロギの脚が美味しそう」  昆虫食の中心地  雨が作り出す風景
 ラオス農家の一年  田んぼに生きる命たち  水牛と生きる虫フンチュウ
 フンチュウを育てる少年  田んぼと森のキワを歩く  田んぼに生える木
 など

第二章 大地という食卓――地球のグルメ、イモムシ
 ファーブル食用昆虫記!?  カミキリムシにも旬【しゅん】がある
 昆虫食の王様イモムシ  狩猟採集民との出会い  サン族のプライド
 生命をもたらす雨季  イモムシにワクワク  味のアクセントはアリ
 など

第三章 野生を取り込む智恵――カメムシの「臭さ」を生かす
 マタギの地から  アフリカのカメムシ売り  カメムシを採る智恵
 決死のにおいとり作業  干しカメムシのおつまみ  カメムシを買いに市場へ
 ビエンチャンの市場から  モンスーン地域でのカメムシ採り
 など

第四章 虫に恋して――スズメバチのロマン
 ハチ採りに憑かれて  クロスズメバチの追跡劇  井伏鱒二の描いた喜び
 クロスズメバチを食べる人々  オオスズメバチに挑む
 クロスズメバチが社会のつながりを作る  食べて親しむ
 など

第五章 虫に向かって聞く――昆虫食的認識へ
 文化相対主義の先へ  昆虫食レッスン  虫を食べたのは誰だ
 食べることと食べないこと  昆虫食は文化  文化のとらえ方と暗黙知
 昆虫食と感覚知  感覚知を養う  キリンを倒す虫の毒  ゴンハホの男
 など

主要参考文献
あとがき



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