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飛行機雲

飛行機雲

 夕方、2 本の飛行機雲を見た。2 年前の秋、海外からの技能実習生は、ビザの延長を余儀なくされていた。今は、どうしているのだろう。

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   飛行機雲

夕立や四人纏めて屋根の下

サンダルの客として来る実習生

藤花や農具を直す移住民

麦わらの自転車駐車場走る

ハラワンと指振る南風よ来い

さのまるの盆の地酒のかわいさよ

蜘蛛の糸祖国と電話夜夜繋ぎ

ビザ延びれど秋の飛行機雲の下

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山葵

山葵

 昼食の時間、肉や豆腐の話を聞いていたところ会話が噛み合わなくなった。
「〇〇で買った肉は、スーパーと違う」「豆腐は、他の物を食べれない」
料理とは、実にさまざまな分野への知識や関心が求められるものかもしれない。目の前に並んだコンビニ弁当とわさびの握り飯を見ながらそんなことを考えた。

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   山葵

物種持つ蟻四足のもつれけり

活字飽き運転席の春日かな

たんぽぽや犬のまつ毛の潤へる

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群像

群像

群像の一人となりし春の服

雑誌や服を買いに百貨店へ行った。寝起きのような格好だったが、俳句では、現実と異なる人間像を想像できるから良い。市民文芸の締切が近い。それぞれが生き生きと活躍する様を群像というらしい。文芸誌への投稿は、仕事用の服を買うなど簡単な取材から書こうと思った。

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   群像

芥子の粒ほどの人格水温む

花粉のせゐ年金事務の目の赤さ

春雨や自動ドアより子の足跡

春宵の

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ゆにお 様、
先日の記事へご感想いただきありがとうございます。まだ文章から草稿を練ることは難しいのですが、路上の挨拶や即興芸のようなものと思っていただけたら幸いです。
https://note.com/yunioyunio/n/ne968fa989fd9

胡蝶の夢

胡蝶の夢

 渡良瀬遊水地のヨシ焼きを観た後、「コッポラの胡蝶の夢」という映画をレンタル視聴しました。観念的な鮮やかな色彩の対比は、火を見て疲れた目には厳しかったです。

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   胡蝶の夢

背二人過ぎて野焼の火の盛り

火の中のヨシの影より灰昇る

胡蝶の夢野焼き疲れの目に眩し

紙襖の穴より余寒のぞきけり

猫払ふ玄関の杖春の闇

春一番や砂のざらつく缶の口

春の夢電気ショックは遠慮して

金箔は

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