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”働くという日常”を見直せた、おてつたび×テレワークの可能性【おてつびとインタビュー vol.10】

おてつびと_vol10_宮川健太郎

長引くコロナ禍で、テレワークの普及が一気に進みました。
おてつびと(おてつたび参加者)の中には、お手伝い以外の自由時間をお仕事にあてるという使い方をされている方もいらっしゃいます。

今回は、新潟県・妙高市みょうこうしの「赤倉温泉ホテル太閤」にておてつたびをしながらテレワークをしていた宮川健太郎みやかわ けんたろうさんにお話を伺いました。

●基本情報●
おてつたび先:
赤倉温泉ホテル太閤
行き先:新潟県・妙高市みょうこうし
期間:2020/12/18(木)-2020/12/21(日)
お手伝い内容:フロントやホールでの接客など
詳細https://otetsutabi.com/plans/127

◆ラベルのない自分になれる、「知らない土地で働く」という体験

僕は出身は横浜で、小中高大とすべて横浜で過ごし、今も横浜に住んでいます。

横浜は海も山もあって、鎌倉幕府が栄えたころからの歴史も伝統もある地域です。それに加えて、東京にアクセスも良くって一時間弱で着く。そんな地元が、僕は好きです。

僕はもともと、大学生のときにサークルの友達がおてつたびに行ったことをInstagramで投稿しているのを見て、おてつたびというサービスの存在は知っていました。
ちょうど、離島でのインターンを募集する”島キャン”というサービスの運営側として、地域と関わることの魅力を実感していた頃です。

”島キャン”は離島で職業体験をしながら島おこしをするという内容で、僕は鹿児島の沖永良部島おきのえらぶじまに行きました。そうして町役場の環境科でパソコン系の業務などをした、その経験があまりにも良かったんです。何もかも自分にとって初めての体験で、すごく面白かったですね。

社会人になってからは特にそうなのですが、自分の住んでいる生活圏が固定されてしまうと、所属しているコミュニティにラベリングされた自分を意識してしまうことが多いなと思っています。”○○課の私”、”○○大学の私”、”○○サークルの私”……と、ラベルをつけることで自分を説明してしまう。

でも、知らない土地に行って過ごして、知らない土地で働くという経験をすると、そんなの全部関係なくなって、全部ひっぺがされるじゃないですか。

僕も沖永良部島に行くまでは、農業なんかしたことがなかったし、魚を釣ったことも、さばいたことも、働いたこともなかったし……。

僕は大学生になるまでずっと横浜で育ってきたので、旅行に行く以外にまったく違う国内の地域に行く経験がありませんでした。
そんな狭い社会、コミュニティで生きてきた僕にとっては、自分のラベルをはがされた時のすがすがしさというか、何もできない感覚がものすごく新鮮でした。

そんな自分の実感もあり、地域でお手伝いができるおてつたびもまた素敵な志を持ったサービスだなあと思い、当時から登録はしていました。
ただ、タイミングが合わず、参加しないまま気付けば時が経っていました。

今回、おてつたび参加を決めた時期は、精神的に体調を崩したあとで正直しんどかった時なんです。
東京、横浜だけでの生活にもしんどさを感じていて、また、働くということに関してもうまく適応できていない自分がいました。

それで一度、全部離れたいなと、少しの間どこかに行きたいなと思った頃に友人たちとキャンプに行ったら、偶然、北海道のおてつたびに参加した人がメンバーにいたんです。
その人が「おてつたび、めっちゃ良かったです~!!」と言っているのを聞いておてつたびの存在を思い出して、「あ、これはもう行けってことだな」と思い、すぐに申し込みました。

コロナで離島への観光旅行はしづらいけれど、日本の良さを知ることができる場所へ行ける機会ないかなあ。そう思ったときに、おてつたびはぴったりだったんですよね。

僕は以前たまたま、新潟の”妙高”という地域には行ったことがあって、温泉がとてもよかったという良い思い出がありました。
それで、「あ、妙高の温泉でも募集してるじゃん」というところから興味を惹かれて、申し込みました。

◆山々を一望できるロビーでコーヒー。テレワークの環境としては最高!

僕はコロナの流行が始まってからはずっと在宅ワークだったので、基本的には家で仕事をしていました。

今回テレワークをすることに関しても、勤務していたのがIT関係の会社だったこともあり、きちんと申請して仕事もこなしていればテレワークでもいいよ、という感じで理解がありました。
また、関わっていたプロジェクトも一段落したところだったので、タイミング的にも良かったです。

おてつたびに行くまでの間に前もって仕事を進めておいて、仕事量を調整したということもありましたが、事前のやりとりであらかじめ「仕事をしながら行きます」「このくらいの量、仕事の対応をします」といった事情も伝えておくことができたので良かったなと思います。

大体いつもホテル太閤のロビーで仕事をしていたんですけど、晴れている日は超綺麗なんですよ!!
まわりの山々が一望できて、すごく眺めがいい。テレワーク環境としてはこの上なく良かったです。

コーヒーを飲みながらメールチェック。「え、これってかなりQOL高いのでは…?!」と思いながら仕事をしていました。


午前中が休みだった日には、朝、早起きして、朝ごはんを食べて、おてつたび仲間とジムに行って……。
ジムもホテル太閤の最上階にあるので、眺めが最高に良かったです。

ホテルでのお手伝い内容は、全部初体験でしたし、なかなか大変でした。
今までアルバイトで経験したのは塾講師や販売の仕事だったので、旅館も、ホテルも、飲食も初めてで……初めは勝手がわからなくて戸惑いました。

たとえば夕食を提供する場面でも、お酒を入れる量や順番を知識としては知っていても、実践したことがないと意外とわからないもので……とても勉強になりました。
一緒の期間におてつたびに行った居酒屋でアルバイトをしている大学生の方がお酒の作り方もよく知っていたので、心強かったです。

ハイシーズンだったことや、GOTOトラベルがあったことも影響して、最初のイメージを超えて遥かに忙しかった。でも、とても新鮮だったし、紅葉が見頃の時期だったので、休日には同じ期間におてつたびに来ていたみんなでドライブに行ったり、振り返ってみると楽しい時間だったなと思います。

色んな経歴の人がいて、日本の方だけでなく、海外からの技能実習生と話せたのも面白かったです。

◆行って感じた、「テレワーク×おてつたび」の可能性

実際におてつたびをしながらテレワークをしてみて、僕は大きな可能性を感じました。

コロナ禍で、これまでわざわざオフィスに通勤してやっていた仕事が、ある程度オンラインでも可能なことがわかってしまったと思います。
そんな今おてつたびは、生活の質を高める選択肢のひとつとしてありなのではないかと僕は思います。

今までずっと僕は都心で働いていたので朝から大自然の景色を見ながらコーヒー飲んで仕事をするなんて不可能だったわけです。
それが今回、おてつたび先の開放的なロビーで仕事をする時間が持てた。

たったこれだけのことでも、生活の質は大きく変わりますよね。

パソコンの画面に向き合っていることが多かった日々と比べると、それ以外の時間があるというのは本当に大きいです。

僕が今回行ったのはホテルでのおてつたびでしたが、農家さんに行ったとしても、土に触れる時間はきっと、すごくリフレッシュになると思うんですよね。
リフレッシュの時間がとれることはすごく大事だと思うので、次回行くなら農家さんのおてつたびも良いなあと思います。

また、仕事という側面からも、コロナの状況下で、「働く」ということ自体や、「仕事という時間の使い方」に対する疑問が生まれたと思うんです。
「自分たちは何のために時間を費やしてきたんだっけ……?」と。

「働く」といっても多様な方法があります。
そして色んな方法で生計をたてている人がいる。
その振り幅を知っていれば、たとえ、つらくなった時でも今までと違う働き方を選ぶなどの選択肢があると思います。

農業、林業、漁業で働いて稼いで、豊かに暮らしている人がいるということを知っているかどうかで、「働く」ことを考えるときの切り口も変わってくると思います。

僕の場合は、ITであったり、企業に対する価値提供で間接的に社会を変えていくような仕事がしたいなと思って今の会社で働いていますが、社会全体を見てみれば、それとは違う働き方をしている方も多くいらっしゃいます。

それを知るという意味を含めても、ただ旅行するだけではなくあえて「働く」ことは大きな機会だと思います。

おてつたびは、今までと違う働き方、生業を持っている人の存在を知ることができたいい機会でした。
だから、人生に煮詰まっている方、働くということをもう一度考え直したい方、都会を少し離れたい方にもぜひおすすめしたいと思います。

社会人で、同じように日々のルーティンを過ごしていることに違和感を感じ始めた方にも行ってみて欲しいですね。

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◆おてつたびを通して触れる、「働く」という”誰かの日常”

自分から見たら確かに非日常の体験なんですけど、「おてつたび」に行く先にあるのは非日常ではないと思います。
日本全国で見たらわりと都会に住んでいて、東京都心に毎日通勤していて……という典型的な関東郊外の働き方をしている僕の日常からしたら、新潟のホテルで働くというのは非日常なんですよね。
でも「働く」ことは日常であって、日常とかけはなされたものは「働く」ではない。つまり、これって「誰かの日常」を体験しに行くということなんですよ。
 
僕らは週7日あるうちの5日、毎日8時間を「働く」という行為に費やしています。それが会社に勤めている多くの社会人の日常の使い方ですよね。

でも、それだけが日常になってしまうと、それしか見えなくなってしまう。
それしかないと思ってしまう。
 
そんな時、場所を変えてワ―ケーションをしながらおてつたびすることで、それ以外の働き方を見ることができることを提示してもらえる。

これは、特に都会で働いている僕にとっては強烈に刺さりました。

「自分とは違う生き方をしている人がいるんだ」って、「こんなに自由に働いている人がいるんだ」って、常識を揺さぶられるんですよね。
自分の想像の範囲外の、違う働き方ってそれくらいの衝撃なんですよ。

また、おてつたび先の方々が、僕らを一人の人間として扱ってくれるのもすごくあたたかみを感じる体験でした。

僕は行って良かったです。
だから、実際、既にまわりの何人かの人にも勧めたし、これからも応援しています。

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”非日常”を体験しにいくということではなく、「働く」という誰かの”日常”の、そのお手伝いをしにいくこと。だからこそお手伝いを通して、人と人、人と地域との縁をつないでいけるのかな、と思います。

宮川さんの、「働くという”誰かの日常”のお手伝い」という、優しく、とても素敵な表現に、私もお話を聞きながらあたたかい気持ちになりました。

また、”事前のやりとりでテレワークについても相談のうえだったから良かった”と話す宮川さん。
マッチング成立後には、おてつたび先のチャットでのやりとりがありますが、事情がある場合も相談しておくと、お互い安心して良いおてつたびができます。お手伝いを通して、人と人が繋がる。だからこそ、大切にしたい気遣いですね。

ー宮川さん、どうもありがとうございました!

【取材:田中沙季、西村咲笑 執筆:田中沙季】

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⭐おてつたび先データ⭐

新潟県妙高市 (1)

◆妙高市公式HP
https://www.city.myoko.niigata.jp/

◆妙高観光局HP
https://www.myoko.tv/

⭐今回のおてつたび先
◆ホテル太閤

住所:〒949-2111
新潟県妙高市大字赤倉402ホテル太閤
HP:https://h-taiko.net/

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