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オタルナイ・ラグタイム『プロなんです。』

『プロなんです。』
彼の言葉に、少しとまどった。

プロかどうかを、尋ねたわけではなかった。
『最近、よく見かけますね?』程度の言葉を、かけたのだと思う。

今となってみれば、そのころプロ活動を始めたばかりの彼にとって、自分自身の決意から自然と出た言葉だったんだろうと思う。

『あぁ、そうなんですね。』
正直なところ相手が誰であれ、プロかどうかよりも、やっている音楽の方に関心があった。

『どんなジャンルですか?』
『ラグタイムです。』
『ラグタイムですか...。』

ラグタイムと聞いても、(現在俳優として活躍している、)石橋凌がボーカルのロックバンド『ARB(アレキサンダー・ラグタイム・バンド』くらいしか思い浮かばなかった。

『ラグタイムというと、ロックバンドでアレキサンダー・ラグタイム・バンド、ARBっていうのがありますよね...。よく知らないけれど、ナッシュビル・チューニングとかするんですか?』
『くわしいですね。』
『えぇ、自分でもギターを弾くので...。』

そこからしばらく音楽の話をしながら、いっしょに歩いた。
偶然にも住んでいる場所が、かなり近かった。

ブラック・コンテンポラリーとか、他愛のない音楽話を交わした。
それが彼との、初めての会話だった。

しばらくして彼が、(当時)インスト専門のギタリストだったということを知った。
インターネット上で時々、彼の演奏動画などを見ることはあったが、その後何年も、実際に彼と会うことはなかった。
彼のような演奏スタイルに憧れはある一方、自分自身がその時やりたい音楽ではなかった。技術的にできない、という理由もあった。

⦅※フィクションです。⦆

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北海道おたるんまっく
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