[ビグネス参式]令和の新ヒーローを描けるか
ビグネス参式
週刊少年サンデーの第44号から連載されている勝朗先生の「ビグネス参式」。今回はその漫画を取り上げてみたいと思います。
主要登場人物は以下の3人。
都市防衛軍という組織にも何人か特徴のある人がいるが、敢えて挙げるなら尾形キョウカの父「尾形アキラ」いる。そして玉座の四獣というラスボス的な存在が明らかにされた。最新48号に掲載された5話では、人型をした玉座の四獣が現れ、物語的には急展開している。
描かれるヒーロー像
私が注目しているのは主人公のハルトがヒーローとして描かれているので、どういったヒーローであるのか?ということだ。
対怪異獣巨兵「ビグネス」の存在や、ビグネスが弐式や参式と呼ばれていたり、想起されるのは”新世紀エヴァンゲリオン”であった。作品としても何らかのベースにはしているかもしれないが、比較対象として挙げることで何かしらの意味づけや解釈ができないか取り組んでみたい。
龍ヶ崎ハルトと碇シンジの違い
「逃げちゃだめだ」と自分の弱さや理解し合えない父・碇ゲンドウと向き合うことで何とか成長していこうとする平成を代表とするヒーローと、戦うのは”自分の好きを守る時だけ”、本当は戦いたくない、自己肯定感も高い新世代のヒーロー。ビグネスとエヴァ、似たような構図を用いながらも描くヒーロー像は全く異なる。碇シンジは父のため、綾波のため、誰かのためにエヴァに乗り、エヴァに乗ることで他者に受け入れてもらうことを望んだある意味”他者依存”の人間だが、ハルトは「俺、俺」と自分がオタクであることを卑下しないし、他者に強制もしない、ある意味で強固な自己を持っている人間だ。
昭和後期生まれの私含め、エヴァをリアルタイムで観ていた方々はところどころ碇シンジに共感することがあったと思うが、現代の「ビグネス参式」読者はきっと龍ヶ崎ハルトに共感するところが多いのだろう。
そして、さらにエヴァの構図に当てはめると怪異獣である戸狩カシムは「渚カヲル」である。そう考えていくと、平成の碇シンジが渚カヲルとどう向き合ったかを思うと、令和の龍ヶ崎ハルトは「戸狩カシム」とどう向き合っていくのか。ちょうど、第5話の最後で「僕は怪異獣なんです」と告白したが、ハルトはどう応えるのか。そこにこの漫画がハルトをどう描きたいのかの方向性が見えてくるように思う。
物語の展開的にはそんなに急がんでも、、と思うくらいかなりスピーディに進んでいるように思うので、まだまだ今からでも追いつけます!是非、ご一読くださいませ。
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