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【YOUTRUST ✕ 三井不動産 ✕ ATOMica】スタートアップキャリアのはじめ方 〜大企業からプロボノ・副業・転職でスタートアップへ〜

「履歴書を書いて面接するだけ」がスタートアップキャリアのはじめ方ではない?2024年3月30日にTokyo Innovation Baseで開催された「Startup Career Showcase 2024」。トークセッションでは、大企業からスタートアップにキャリアチェンジした3人の経験者に、スタートアップキャリアを選んだきっかけや、キャリアチェンジのプロセスをお話しいただきました。スタートアップで働くことに少しでもご興味がある方へ、そのトークをまとめたレポートをお届けします。


自己紹介

― ゲストスピーカーは、複業家の中村 友香さん、株式会社ATOMicaの安里 喬泰郎さん、株式会社YOUTRUSTの小路 紗彩さん。モデレーターは、株式会社YOUTRUSTの岩崎 由夏さん、三井不動産株式会社の太田 聖さんです。

岩崎(YOUTRUST):私はYOUTRUST(ユートラスト)代表を務めています。私自身もメガベンチャーのDeNAから独立して起業しました。弊社は「日本のモメンタムを上げる 偉大な会社を創る」というビジョンを掲げて、人材の流動性を高めて経済の成長性のポテンシャルを引き出して、日本のモメンタムや勢い、「私たちはいける!」という感覚を育むことに取り組んでいます。

日本では「こんな会社、辞めてやる」と転職活動を始めるタイミングで自分の選択肢を知ります。全ての皆さんが転職をスタンバイできる世界になったら「今すぐ転職というわけではないが、自分の選択肢や可能性を知りたい」「いい案件があれば話を聞いておきたい」という方も出てくると思います。そんな方に向けてYOUTRUSTは信頼で繋がるキャリアSNSを提供しています。

太田(三井不動産):私は2022年から三井不動産の31VENTURES(サンイチベンチャーズ)に所属しています。新卒で入社した不動産ベンチャーに13年間勤めた後、新しいチャレンジをするために現職へ転職しました。

三井不動産は不動産の総合ディベロッパーとしてオフィスや商業施設、ホテル、住宅から、近年ではスポーツ施設の開発・運営などまで、幅広く事業を行っています。私たちも新しい事業創造をするべく、スタートアップの皆様と一緒に不動産事業のアップデートや不動産以外の領域の事業開発も志しています。その手段としてオープンイノベーションに取り組んでおり、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)やワークスペースの運営、スタートアップの成長を支えるコミュニティづくりを実施しています。

例えば、スタートアップ専用のワークスペース「THE E.A.S.T.」を運営して、入居するスタートアップの皆様とコミュニケーションを取りながら事業開発を推進しています。コミュニティでは、事業が成長する環境づくりや、スタートアップにとって有益な情報を発信するイベントも開催しています。さらに入居企業であるATOMica(アトミカ)が推進する「おためし複業」というサービスを通じてスタートアップの人材支援も行っています。

中村(複業家):私は新卒でサントリーホールディングスに入社して伊右衛門ブランドの商品開発に8年間携わった後、外資系企業2社を経て、独立した先輩のスタートアップにプロボノで参画しました。今はパラレルワーカーとして独立して、3つのスタートアップと業務委託契約を結んで事業開発や商品開発を行っています。

安里(ATOMica):私はもともと東急エージェンシーでPRプランナーとしてキャリアをスタートして、親会社の東急で広報セクションにも出向しました。その間にATOMicaで複業を始めてその仕事が楽しくなったことで、今はATOMicaに正社員としてジョインして、東急エージェンシーの仕事は複業として継続しています。本業と複業がチェンジしたようなキャリアになっています。

ATOMicaは「頼り・頼られる関係を増やし、あらゆる願いに寄り添い、人と人を繋げる」をミッションに掲げて、日本全国でソーシャルコワーキング事業を展開しています。この事業では、願い事を持つ人とそれを叶える人をマッチングし、お互いが気持ちよく繋がることを目指しています。特に地方では人と人との出会いが少ないという課題に対応するために、北は仙台から南は沖縄まで約30拠点を設けて、各地で採用したコミュニティマネージャーが常駐して事業を推進しています。ATOMicaは場の力、人の力、企画の力、テクノロジーの力を組み合わせてコミュニティづくりに努めています。

小路(YOUTRUST):本日は大企業からスタートアップに転職したポジションでお話しさせていただきます。新卒から勤めていた船井総合研究所から転職した先がたまたまスタートアップだっただけで、スタートアップのことをよく分からずに転職しました。本日は久しぶりにスーツを着ているくらい、普段はスーツを着ない生活を送っています。

質問①「なぜ、大企業からスタートアップへキャリアチェンジしたか?」

岩崎(YOUTRUST):まず、なぜ大企業からスタートアップへのキャリアチェンジを考えたのでしょうか。

中村(複業家):サントリーでは入社当時から希望していた伊右衛門の開発を8年間担当してやりがいを感じていたし、商品開発の人材は定年まで勤める方が多いのですが「この先40年勤め上げられるのか」と疑問を抱いたことからキャリアチェンジを決意しました。そのタイミングで、同じチームの先輩も独立して「開発の部分で手伝ってほしい」と言われたご縁でスタートアップに携わりました。お給料を頂かないプロボノとして手伝っていた頃は、平日はサントリーから転職した外資系企業でガッツリ働き、終業後や土日にスタートアップでリサーチやテイスティング、商品の賞味期限の設計をしていました。

安里(ATOMica):私は、複業が楽しくなって稼働が週1日だったのが1.5日、2日と増えていき「だったら本業にした方がいいのでは?」と、複業開始から2年後に正社員にスイッチしました。

ATOMicaで複業したきっかけは、大学時代、インターンシップのプログラムでATOMicaの代表嶋田さんと同じグループだったこと。彼も私も地方出身の国立大生で、東京のキラキラした学生たちが4C分析やカタカナ用語を使って話す中、彼だけが誰にでも分かりやすい言葉で喋っていたので「バイブスが合うな」と。嶋田さんがATOMicaを立ち上げるタイミングで熱烈なお誘いメッセージをもらって複業をスタートしました。

太田(三井不動産):お2人とも、もともと繋がっている方から複業のお誘いを受けた共通点がありますね。小路さんのきっかけもお聞かせください。

小路(YOUTRUST):私は新卒の頃からゆくゆくは独立してみたいと思って、大手日系コンサルティング会社で修行した感じです。その会社では5年勤めると「次はどうしようかな」と考え始める流れがあって、私も同じようにキャリアを考えていた時、たまたま何年かぶりにX(旧Twitter)を開いたら、知り合いがYOUTRUSTと繋がっていて岩崎さんのインタビュー記事が流れてきたんです。「この人と働きたい」と、すぐにYOUTRUSTに登録してコンタクトを取りに行きました。

太田(三井不動産):私は今39歳ですが、37歳の誕生日を迎えた時「40歳になる頃には違う軌道の人生を歩んでみたい」と漠然とした思いに駆られて転職活動を始めました。今のポジションがあるのは、前職時代にさまざまな仕事で繋がった方から「こういう仕事がある」と教えてもらってキャリアチェンジしたからです。人との繋がりの大切さを実感しましたね。

質問②「スタートアップへのキャリアチェンジで大変だったことは?」

岩崎(YOUTRUST):2つ目の質問です。スタートアップへのキャリアチェンジで最も大変だったことは何でしょうか。

小路(YOUTRUST):このご質問を頂いた時は「ない」と思ったんですよね。転職すると決めてから「私はこの会社に入りたい」と動き始めて、相性が合うかどうかだけの話でした。結果的にご縁があってYOUTRUSTに入社させていただいたので特に苦労はありませんでした。

逆に「転職するぞ」って決断するまでのプロセスが苦しくないですか?日常の仕事中に感じる心の波とモヤモヤを抱えながら、「転職しようか」と「もうちょっと頑張ろうか」と考えることが苦しかったかもしれません。ただ、モヤモヤしているってことは何かしらの理由があるので、その理由を解明することで新たな行動のきっかけが見つかる。アンテナを張ってさまざまな会社や人と出会えば、この人と働きたい、次はこれに挑戦したいがおのずと出てきます。

太田(三井不動産):私は「年齢」でスイッチが入ったので決断するところに共感します。決断した時点で転職しているようなものですよね。小路さんはキャリアチェンジを考えた時、他の選択肢はありましたか?

小路(YOUTRUST):ザ・日系企業に勤務していたのでプロボノや複業という選択肢がなくて、転職するのがやっとでしたね(笑)。

中村(複業家):スタートアップの前に転職を2回しましたが、1回目が一番精神的につらかったです。最初のキャリアチェンジでは「楽しいことをやっているのに、何を基準にチェンジする意思決定をすればいいのか」と、その結論を出すまでに時間がかかりました。今のパラレルキャリアを選んだ時は、転職活動をしながら複数の選択肢を持って「自分がどうしたいのか」を優先的に考えて進めました。

岩崎(YOUTRUST):何の選択肢もない中で考えるのは難しいですが、選択肢が並ぶと「これは好き」「これは嫌い」が分かりやすくなりますよね。

質問③「大企業とスタートアップでは何が違う?」

岩崎(YOUTRUST):3つ目の質問、大企業とスタートアップでは、どこに大きな違いを感じましたか。

安里(ATOMica):最初、会社の方針がコロコロ変わるのは戸惑いました。昨日は「あっちに走るよ」と言っていたのに本日は「そっちに走るよ」と。実際にその中に入って、変わった経緯をミーティングで見聞きすると「なるほど、そういう感じもあるのか」と妥当性に気づきます。これがスタートアップなんだな、と実感しましたね。

岩崎(YOUTRUST):それがスタートアップの強みでもありますよね。少人数で意思決定ができて、試してみて違ったら、また意思決定して違う方向に実験して取り組める。大企業とは違うカルチャーなので最初は驚きますよね。

中村(複業家):大企業とスタートアップというよりも、自分と企業のカラーが合うかどうか、違いを埋めていくのが大変でした。大企業の商品開発もかなりのスピードで新商品を出していましたが、安里さんと同じく、スタートアップの意思決定のスピードとは違いますね。それが会社のカラーなのかなって思いながらチューニングしています。

小路(YOUTRUST):スタートアップには意思決定の速さや裁量の大きさはあると思っています。自分が携わっている部署とやっていることは違うけれど、これをやりたいですと手を挙げたら「やればいいじゃん」と当たり前に言ってもらえる。それに自分たちの会社を船に例えると、スタートアップでは自分たちでオールを持って水を掻き分けながら漕いでいる感じがあります。1〜2日手を緩めるとその分、会社はどんどん先に進んでいくので、自分も付いていかなきゃとなりますね。

太田(三井不動産):スタートアップを一つにまとめてしまいがちですが、ステージによって働き方も変わってきます。安里さん、ATOMicaはどのステージにいらっしゃいますか?

安里(ATOMica):ちょうどシリーズAの調達をして、プレシリーズBの調達直前というところです。私が入った頃、従業員数は約20人でしたが、今は100人を超えました。弊社の拠点は全国にあって、各拠点でコミュニティマネージャーを正社員で採用しているので、拠点が増えるたびに2〜3人増えるモデルで事業規模を拡大しています。

太田(三井不動産):岩崎さんにもお尋ねします。事業のステージが変化する中、どのようなことを感じますか?

岩崎(YOUTRUST):従業員数5人のシード・アーリー期って家族みたいなもので、社長だろうが若手だろうがみんな同じように状況を把握しています。今は60人に増えてきたので、さすがに階層を作らないとやっていけないんですよね。上場審査をクリアするためにも、誰がどこまで意思決定権限を持っているのかを整理する必要があります。働き方では、400社のスタートアップと取引させていただいていると、昔ほど過酷じゃないな、と。スタートアップだからといって年収が下がって死ぬほど働かされるわけでもないですね。

太田(三井不動産):普段、20数社のスタートアップの働き方を傍から拝見していますが、ほとんどの会社も従業員が深夜にならないうちに帰っているので必ずしも「スタートアップ=めちゃくちゃ働く」ではないと思います。

岩崎(YOUTRUST):各社の生存戦略ですよね。実際にめちゃくちゃ働きますというスタートアップもあって、個人的には素晴らしいと思いますが、一方でスタートアップの皆さんは本日の会場を含めて自社のブースを積極的に出しているじゃないですか。なぜかというと、労働人口が減ってきて売り手市場に入るので、人材を取り合わないといけないから。そんな中「めちゃくちゃ働きます」を押していると、家族との時間や趣味、余暇を大切にしたい人が入りづらくなります。採用戦略の一環として、スタートアップは各社で「こんな働き方をしていて、こんな人が沢山いるよ」と見せ方を工夫していますよね。

質問④「大企業とスタートアップの違いで失敗したことは?」

岩崎(YOUTRUST):4つ目は、大企業とスタートアップの違いによる失敗や挫折についてお伺いします。

小路(YOUTRUST):これはスタートアップだからという話じゃない気がします。私の場合、入社して2〜3ヶ月目が苦しかったですね。中途採用で入ったので少なからずご期待いただいて入社しているのに、それに応えられていないって。半年経ってからやっと自分の役割を見つけて楽しくできるようになりました。初めての転職で、新しい環境に飛び込んで新しい人間関係を築いて、聞いたことのない専門用語に付いていくのに必死なのは、大企業、スタートアップにかぎらないと思います。ネットで調べると、入社して半年から1年で皆さんも慣れていくとあったので、これから転職を考える方はそんな時期があるんだと把握するのもいいですよね。

安里(ATOMica):ATOMicaの主事業であるコワーキングという働き方自体がここ10〜20年の話で、運営の成功事例もほぼありません。こうやったら上手くいく・失敗するという先人の知恵や前例がない中、分からないけれど1回やってみようと挑戦するのがスタートアップだと定義すると、大企業だと先輩が作った企画書のひな型やナレッジがあるんですよね。ATOMicaで働き始めてからは分からないなりにやってみては失敗し、を繰り返しました。成功もカチッと定義されていないので、ひたすら探し続けるのは骨が折れますが、やりがいだとも感じています。

太田(三井不動産):安里さんは、代理店側から事業主側に変わったことによる違いを感じますか?

安里(ATOMica):違いはありますね。代理店はクライアントの課題やニーズに応えることで売り上げを伸ばすのが主な仕事ですが、ATOMicaの事業では、私たちが正解だと思うものを世の中に届ける必要があります。これまで自分で事業を進めたことがなかったので、その違いがつらかったですね。ソーシャルコワーキングが正解であるという前提で、自治体や民間企業に提案する時「これって大丈夫ですか?」と代理店マインドで聞いたのが、最初に感じたギャップです。

太田(三井不動産):中村さんは自社の商品開発から、商品開発というスキルで複数社をサポートする「逆のスイッチ」が起きたのではないでしょうか?

中村(複業家):意外と商品開発の仕事をそのままさせていただいていますね。プロボノから手伝っている会社と、もう1社の商品開発部門で、味作りのアドバイスやスケールアップ、製造する際のファシリテーションを行っています。先方から指示を受けるよりも、「こうした方がいいと思います」と積極的に提案を行っています。一緒に製品を作っていくスタイルで取り組んでいるのは、サントリーの頃から変わらないですね。

質問⑤「スタートアップへの転職を考える方に向けたアドバイス」

岩崎(YOUTRUST):最後に、スタートアップへのキャリアチェンジを考えている方へのアドバイスをお願いします。

中村(複業家):私は完全にキャリアチェンジをしているわけではないんですよね。私みたいにパラレルで働く道もありますので、ぜひ参考にして気軽にチャレンジしていただきたいです。

安里(ATOMica):複業はいいと思います。業務委託という契約形態で期限を決めて、例えばコミット度合いも週1日や月に1本イベントをやるみたいなミニマムから入ることで、複業先のカルチャーが分かります。スタートアップとして採用する側の目線では、業務委託の方がライトに契約しやすいし、お互いに見極め期間として協業してみて、相思相愛だったら正社員採用を選択できるし、合わなかったら別のところで頑張ってねと見送りやすいのが、複業の良さだと思います。

小路(YOUTRUST):何かしらモヤモヤしているのは理由があるはずです。それを見つけるために、企業の方とお話しする、カジュアル面談に行ってみる、複業をやってみるなどのアクションを起こすことをオススメします。活動した結果、新たなご縁があれば次のステップに進むことができると思います。

岩崎(YOUTRUST):本日このお話を聞いて、スタートアップに挑戦してみたい、複業してみたい、もっとお話を聞いてみたいという方は、この界隈で最もお使いいただいているサービスだと自負を持っていますので、ぜひYOUTRUSTに登録してみてください。

太田(三井不動産):大企業にいながらスタートアップと協業するという関わり方もあります。

中村(複業家):三井不動産とATOMicaは共同で「おためし複業」というサービスを立ち上げています。おためし複業の公式noteに、私がどのようにキャリアを選択してきたのか、その当時にどんなことを考えていたのかを綴った記事や、複業を介してさまざまなキャリアに挑戦する方々の記事もありますので、よかったらぜひ読んでください。

安里(ATOMica):ATOMicaは全国で仲間を募集中です。カジュアル面談からぜひご一緒できると嬉しいと思っています。

岩崎(YOUTRUST):中村さん、安里さん、小路さん、太田さん、ありがとうございました。

(編集:佐野 桃木)

※ 複業を試してみたい方や、どのスキルで複業すればいいのかを迷っている方は、以下のフォームよりお気軽に「おためし複業」へお申し込みください。
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