優れたチームが、優れたプロダクトを作る
優れたプロダクトって何だろう
良いプロダクトとは何でしょうか?
私はユーザーに価値を与えるプロダクトだと思います。
ここでいうプロダクトとは、手に触れられるモノだけではなく、それによって生まれる体験のすべてです。
ではユーザー価値とは何でしょうか?
ユーザー価値とは、今まだユーザーが体験したことの無い未来を見せること、そのユーザーの現状と、そのプロダクトによってユーザーが得ることのできる未来の差分だと考えます。
プロダクトによって見せる未来 - ユーザーの抱える現状 = 価値
良いプロダクトは必ずそれを生み出したチームが存在します。
なぜそのチームは、そのプロダクトを生み出すことができたのでしょうか?
プロダクト作りのプロセスには正解がない
プロダクト作りのプロセスには正解がありません。
もしも正解があるのだとしたら、世の中のモノづくりはすべて成功しているはずですが、現状はそうはなっていません。
正解がない中で常に自分たちの指針をもって意思決定を続けていこと、そしてその意思決定が間違っていたときに自分たちの行動を修正し続けていくことが必要です。
「このように作っていけば必ずユーザーに価値を届けられる」という正解がないからこそ、常に仮説定義と実験の連続を行っていかなければなりません。
優れたチームは目的がそろっている
良いチームは目的が明確にそろっています。
ここでいう目的とは「そのプロダクトをなぜ作るか」というビジョンです。
ブレない目的は、正しいコンパスのようなものです。
誤った道を進んだときに、その道が間違いであることを教えてくれます。
この世の中には、ユーザーの価値になりそうな課題の種は無限に落ちています。
しかし、無限の種を目の前に目移りしていては、その一つだけでも花を咲かせることはできません。
もちろん、各々が違う課題の種を解決しようとしてバラバラになっているチームも同様です。
無限の課題の種から、どれを選ぶかというかという意思決定は「我々はなぜここに集まっているのか?」という命題でしか決めることができません。
そして、一つの強い目的設定は強いチームの結束とモチベーションを生み出します。
優れたチームは目的に向かって行動を修正する
同じ目的に向かっている強いチームは、その目的を達成するために行動を変えることを恐れません。
登山にたとえると、「ある価値を作る」という山の頂上にたどり着く事が目的であって、そのために通る道自体はチームの目的ではないからです。
なので、途中まで歩いた結果その道が頂上につながってないことがわかればその道を引き返して、別の道を進むことを恐れません。
目的のそろったチームにとって最も恐れるべきことは、その共通の目的にたどり着けないことだからです。
当たり前のように聞こえるかもしれませんが、実際の組織において「その道を進むこと自体が目的になる例」は沢山あります。
例えば、"デザイナーがペルソナを書くこと事態を目的にしてしまう"や"ディレクターが期初のマイルストーン通りに進む事を目的にしてしまう"などです。
優れたチームは、同じ目的にが正しく共有されているので
目的にたどり着くためには、そのために辿るプロセスは誤差でしかないことを知っています。
優れたチームは多様性がある
優れたチームは多様性を許容します。
多様性とは、様々な違う視点から目的に向かうことのできる力です。
例えば同じ視点、デザイナーだけで編成されたチームで「新しい車」を作ろうとしたとしたら、「見た目」「使い心地」「体験」といった視点で「新しい車」を定義することはできますが、
そこに「技術的新しさ」や「実現可能性」や「現状の顧客の課題」といった視点が抜け落ちてしまう可能性があります。
「技術的新しさ」は技術や仕組みに詳しい「エンジニア」の視点。
「実現可能性」はコストや収益を計算できる「事業企画」の視点。
「現状の顧客の課題」は直接ユーザーの声を聞いているカスタマーサポートの視点。
などといった多様な視点が必要になります。
多様性が少ないほうが同じ言葉や同じ価値観で会話ができて、一見スムーズに感じることが多いです、
しかし、抜け落ちた視点に対して議論されないということは、一定のリスクがあることを忘れないでください。
優れたチームは自律的である
優れたチームのメンバーは自律的で命令を待ちません、なぜなら同じ目的という山の頂上を共有しているので、そこにたどり着くために自分が次に何をするべきかということを自分で判断できるからです。
もちろん一人では乗り越えられない壁を越えるために複数のチームワークが必要な場合もあります。
複数人が協力するための「掛け声」はリーダーシップであり、命令ではありません。
メンバーが主体的に掛け声に従うのがリーダーシップで、受動的に掛け声に従うのが命令です。
リーダーシップで動く組織は、掛け声が間違っていたときなどの不慮の事態に各人が自分で判断してお互いにフォローしあうことができますが、
命令に従う受動的なチームはそれができません。
優れたチームは暗黙知を蓄積する
暗黙知とは、「言葉に言い表せない知見・経験・情報」です。
優れたチームは同じ目的に対して共に邁進し、それの道中で得た暗黙知を共有します。
最初にお話した通り、価値を作るプロセスに正解はないので、沢山の失敗や成功から学びを蓄積していくことになります。
そこで得た学びはすべてが言葉にして言い表せるものでしょうか?
例えば、ユーザーインタビューで「この機能は必要ではない」と言ったユーザーの気持ちや表情を正確に言葉伝えることが出来ますか?
ドキュメントには情報の解像度には限界があります、特に人間の情報に関しては一層その傾向が顕著です。。
まさにユーザー価値を追求するためには、ドキュメントでは伝えられない暗黙知という学びをチームのメンバーに蓄積していく必要があります。
なぜ優れたチームが優れたプロダクトを生み出すのか?
プロダクト作りのプロセスには正解がありません。
パズルのように正解に向かって一つずつピースをはめていくプロセスではなく、
どちらかというと神経衰弱でカードを1枚ずつめくっていくように、失敗を繰り返すことで正解に近づいていくプロセスです。
正解がない道を行くためには、多様な視点で常に行動を変えながら試行錯誤していく必要があります。
神経衰弱では、同じカードをめくり続けたり、めくらないカードが合ったりしてはいけません。
無為にプロダクトの設計図について議論し続ける事はやめましょう、正解の無い問題を議論しつづけたところで永遠に答えへは辿り付けません。
試行錯誤しながら前に進む主体はチームです。
設計図に正解がない以上、試行錯誤する優れたチームを作ることが優れたプロダクトを作る一番の近道になるでしょう。
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