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あなたは、誰かの大切な人【読書感想文】

『あなたは、誰かの大切な人』


このタイトルを見て、貴方はどんなストーリーを想像しますか?


家族に恵まれなかった少女が、運命の恋人と出会う物語?それとも、ダメ男にお金と時間を注ぎ込んできたOLが、老紳士との出会いを通じて愛とは何かを見つめ直す物語?

この原田マハの短編集に収録されている6つの物語の主人公達は、いい意味で私の期待を裏切る生き方をしていた。

主人公達は30代後半~50代の働く大人の女性で、結婚している人もいればしていない人もいる。既に親が他界している人もいれば、介護をしている人もいる。家族との関係が良好な人もいれば、そうでないと感じている人もいる。

30代後半~50代の「大人の女性」は、沢山の成功と失敗を繰り返し、何かを諦め、自分の人生の行く末を見定めているものだと20代の私は思っていた。

でも、違った。

人生の酸いも甘いも知っていると思っていた「大人の女性」も毎日悩み、苦しみながら自分の人生を一歩ずつ歩んでいるんだ。

そうであれば、いま私は、私の目の前にある選択にもっと身軽に応じていいのかもしれない。

私は26歳独身、ちなみに彼氏なし。仕事はやりがいがあるし、一緒に遊ぶ友達や、私を異性として扱ってくれる男性も少なからず居る。自由に使えるお金だって年々増え、できる限り理想の、楽しい生活を送っている。

生活に何の不満もないはずなのに、友人たちが結婚・出産と人生のステージを変えていく姿を見る度に焦る自分が居た。自分には到達できないステージにいる友人達が羨ましく、友人達ができることができない自分が劣って感じられた。

でも本を読み終わる頃、私は焦らなくてもいいんだ、と強がりではなく心から思えた。憧れと妬みでモヤモヤとした心の霧が晴れたような気がした。

正解のない人生の選択に、同じように悩み、光を見つけていく主人公たち。

私にはまだチャレンジしたいことが沢山あるし、自由を満喫できる今の生活が大好きだ。でも悩むことが沢山ある。諦めなければならないことも沢山ある。でもそんな自分を焦らずに成長を楽しんでいこうと思えた。




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