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オレのじいちゃんの話

はじめに

 昨日は昨年亡くなったじいちゃんの一周忌だった。人が亡くなるというのは、なんとも不思議というか、実感がわかない。今でもひょっこり現れそうな気がする。昨日お経を聞いたりしたんだけど、ぶっちゃけそんなんはオレの気持ちの代弁にはならないので、じいちゃんとの思い出をここに綴ることで弔いにしたいと思う。ちょっとお付き合いいただきたい。

じいちゃんとの想い出

 小さい頃のじいちゃんとの想い出と言えば、「犬の散歩」。ドンという名前の犬を飼っていた。毎回一緒にお決まりのコースを歩く。野球場の横を抜けて、公園に。その公園で、ちょっと遊んで、川を眺めながら、家に帰る。長男であったオレをじいちゃんは兄という意味で「にい坊」と呼んできた。昔はなぜかだったけど、今となってはなつかしい
 材木屋を営んでいたじいちゃんの家は一階に事務所があり、そこに板をはって、ゴルフコースみたいにしてくれて、家でパターゴルフをしていた。それがすごく楽しみだった記憶が残っている。
 泊まったときには一緒に風呂に入った。じいちゃんの入る風呂は決まって熱い木の玉のおもちゃを風呂の浴槽の端に積んで、それに玉を当てる遊びを毎回していた。風呂から上がるときには10まで数えないといけなかった。そのときには「ひとつ、ふたつ…」という馴染みのない数字の読み方で、わからず長い時間出られなかった
 中学生くらいになってからは、一緒にシンガポールに旅行に行ったりもした。毎年、近くのお祭りのときには、家族みんなで花火をみた。たくさんの想い出がある。遊びに行くと必ずお見送りのときに、大きな声で「また来てなぁ」と言ってくれた。
 そんなじいちゃんも晩年はボケてしまった。食事に行けば、うろうろしてしまうし、なかなか耳も聞こえない。そんなじいちゃんが、オレの新居に遊びに来たとき、飲み物を何度もこぼした。トイレもなんだか汚れていた。そんな様子に、オレはいらだった冷たく当たってしまった。それが、元気なじいちゃんとあった最後だった。なんであんな接し方をしてしまったんだろうと、自分を責めた。せっかく、来てくれたのに。汚れたなら掃除すればいいだけなのに。じいちゃん、ごめんな
 最後にじいちゃんに会ったのは、病院。オレの母親から「もう食事もあまりとれなくなってしまった。先は長くないだろう」と言われた。しばらく会っていなかったから、正直じいちゃんがどんな状態なのかよく知らなかった。でも、なんだかこのときには「今会わなかったら、もう会えない」と感じた。絶対に行かないと後悔する。そう直感した。夏休みだったので、仕事の調整をして、病院へ。祖母と母と三人で訪れた。久しぶりにみたじいちゃんは、一緒に散歩してた頃とはくらべものにならないくらい痩せていたばあちゃんは「名前を呼んで」とじいちゃんにずっと言っていた。声が出しづらいのかなかなかしゃべらなかったじいちゃんが、ばあちゃんの名前を絞り出して呼んだのが、オレが最後に聞いたじいちゃんの言葉だった。心のなかではあったが、新居に来たときのことを謝ったとき、じいちゃんと目があった気がした温かい顔をしていた。病院から出るとき、言ってはいないけど、じいちゃんの「また来てなぁ」が聞こえた気がした。でも、もう会えなかった。最後に会いに行ってよかった。
 もうじいちゃんは90を超えていたので、天寿を全うしたと言えるだろう。十分だったんだと思う。戦争で特攻隊になったが、飛行機が壊れて茶畑に落ちて、死なずに済んだじいちゃん。その運命が今のオレの存在に繋がっている。声が大きくて、絵が好きで、ばあちゃんのことが好きなじいちゃん。ほんとにお疲れ様でした。そして、ありがとう。あかん、やっぱりこんだけ振り返ると泣いてまうわ。形見にもらったネクタイ大事なときにつけるからさ、オレのこと見守っててな。オレもいつか孫が出来たら、絶対に言うわ。「また来てなぁ」ってさ。

今日の名言

人間は二度死ぬ。
肉体が滅びた時と、
みんなに忘れ去られた時だ。
By 松田 優作(俳優)

 これは結構有名な名言だね。さまざまなところで繰り返し使われている言葉なので、色々な人の名言として語り継がれている。オレは大切な人たちを絶対に忘れない。じいちゃんも、高校時代の仲間も…ここに書ききれないみんなに、少なくともオレの心のなかで生きていてもらう誰も2回死なせない感謝の気持ちを忘れずに。オレ自身も多くの人の心のなかで生き続けられるような人間でありたいな。

今日のTikTok

おわりに

 今日はちょっといつもとテイストの違う記事になってしまいました。当然、人は生まれれば死んでしまう。限りがあるからこそ、大切に出来るともいえる。もし不老不死になれるとしても、オレはお断りさせてもらう(笑)とにかく、今周りにいる大切な人と貴重な時間を、丁寧に過ごしていく。この記事を書きながら、その重要性を再確認しました。

それでは、今日も一緒にいい日にしよう。


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