Chapter3 彼が好きなのか、彼という"寂しさを埋めてくれる存在"が好きなのか

彼が好きなのか、彼という"寂しさを埋めてくれる存在"が好きなのか
これは私が昔好きだった人に思った疑問というか、自分に対する質問みたいなものでした。

世間一般の恋する二十代はこんな疑問が生まれることはないのでしょうか。

彼には彼女がいることも分かっていながらズルズルと関係を持ったことでこの疑問は生まれました。

その彼が上京することになり、最後の別れの時
泣くつもりは全くなかったのに涙が止まらなくなりました。
彼とは半年ほど、週二回くらいのペースで会っていた関係でした。私は彼の浮気相手という立場で、しかも「彼女と別れて私と付き合うという気は全くない。」とまで言われていました。
それでも一緒にいれば楽しかったし、一緒にいるときは本当の恋人のようでした。
でも一人になれば虚しさと悲しさに押しつぶされそうになっていました。
彼には彼女がいる。私が一番になることは一生ない。分かっていながら分かっていない。矛盾した気持ちが心にずっとありました。

しかし、私が一番驚いたのは、彼を見送ってすぐ、私は何事もなかったかのように日常生活を送れたことです。
わんわん声をあげて泣いていたくせに、家に帰れば家事をこなし仕事もきっちりこなしていたのです。
私はそんな自分を客観的に見て「私は彼が好きだったのか、それとも彼という"寂しさを埋めてくれる存在"が好きだったのか」という疑問が湧いてきたのです。

きっと答えは後者でしょう。

私自身もきっと分かっていたはずなのです。
お互い都合よく会いたい時に会って、ヤりたい時にヤれる。
そんな関係に本当の愛は存在するはずはない。

では、どうすれば本当の愛にたどり着くことができるのでしょうか。

彼が去っていくことが悲しい寂しい辛いと流したあの涙に、彼への愛情は無かったのか。
数年経った今、自問自答してもこの質問の答えは出ていません。

そんな私は、今でも彼が作ってくれたカレーの味を忘れられない。


私は彼が好きだったのか、それとも彼という"寂しさを埋めてくれる存在"が好きだったのか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?