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【蔵探訪】#2 国分酒造(本格焼酎)

こんばんは
お酒が大好きで、霧島に赴任してから本格焼酎の面白さにどハマりした星野リゾート社員のはしもとです。

今回で2回目の蔵探訪は”国分酒造”を紹介させていただきます。

私にとって国分酒造さんはかなり想いれのある酒造であり、国分酒造さんがきっかけで焼酎好きになったといっても過言ではありません。
以前日本酒をはじめ醸造酒フリークだった私が、当時仲良くさせてもらっていたバーのマスターに霧島へ転勤する旨を伝えた際に、霧島に行くなら芋焼酎を勉強してきなと出して頂いた焼酎が国分酒造さんが出している”フラミンゴオレンジ”という芋焼酎でした。

美味しい!って思って急いで撮った当時の写真

この焼酎を飲んだ時に、今までの芋焼酎の概念が覆され、こんな香りのする芋焼酎ってあるんだ!というか芋焼酎ってなんなんだ?面白いぞ!と衝撃をうけました。

県外の居酒屋では、日本酒は米の品種や精米歩合数、醸造の違いが書かれてあって、メニューには多数の日本酒があります
対して焼酎はというと、”芋”、”米”、”麦”など、原材料でしか書かれていなく(銘柄すらない)、芋焼酎にバリエーションがあると思ってもいませんでした。
それまでなんだか飲みにくいな〜と思っていた芋焼酎でしたが、ちょうど4年ほど前に飲んだこのフラミンゴオレンジが焼酎沼にはまるきっかけになりました。

そんな想いがあったので、引っ越した後にいの一番に行きたかった蔵でした。
実は霧島に降り立った次の日にアポ無しで蔵見学に突撃しましたが、感染症が流行っていたり、休日もあり見学できなかったため、念願の蔵見学でした。

蔵の前のせごどんボトルの写真だけ撮って帰りました。

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酒造:国分酒造株式会社
地域:鹿児島県霧島市
創業:1986年(地元10社の蔵が合併)
代表銘柄:フラミンゴオレンジ、安田、維新の一滴(芋焼酎)
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国分酒造は市街地から少し離れた山の中、田んぼや林に囲まれた落ち着いた場所にあります。
国分酒造としての創業は40年ほど前と比較的若いですが
もとは昔から造られている蔵が国の酒税法の改正などの関係で
10の蔵が合併して設立されたお蔵さんです。

国分酒造の杜氏の安田さんは、2017年に卓越された技能者を表彰される”現代の名工”に選ばれた、日本の中でも有数の職人です。
御年73歳の安田さんですが、フラミンゴオレンジをはじめ、業界内で新しい取り組みの芋焼酎を多数生み出しており、現在もなお新しいモノ造りをされている、いつお話を聞いてもワクワクが止まりません。

安田杜氏

国分酒造は”蔵探訪#1”で紹介した中村酒造場に比べると4倍位大きいお蔵さんです。
毎日仕込む芋の量も多く1日約9トンの芋を仕込んでいきます。

9トンの芋でも他の蔵同様に人の目で状態を見て、蔵人の手で傷んでいる部位やヘタをとっていきます。

芋蒸し機が2台あり、20年前から蒸した芋を二日に分けていたりと随所で独自でされているところが見受けられます。

一次醪(米麹+酵母+水)
麹にも種類があり、白麹だから白い醪になります

二次醪(一次醪+蒸した芋)
アルコール発酵をしているからぽこぽこしている

アルコール発酵は酵母が糖をアルコールと炭酸ガスに分解することで、このガスがでているからぽこぽこする。
醪上面はそれらの炭酸ガスが溜まっているため、酸素濃度が低く酸欠になってしまうため危険です

焼酎と日本酒の大きな違いは蒸留をしているか否か。
安田杜氏が工程の中でもキラキラした目で話されるのがこの蒸留です。

焼酎ができる最後の工程が蒸留

ここの蒸留機のでも沢山のこだわりや面白さが詰まっています。
蒸留とは、一度熱を加えて水蒸気にさせて、水蒸気を冷やして水分に戻すこと。アルコールの沸点(78度)と水の沸点(100度)の差を使った技術です。
米と芋を20日間以上かけて発酵させて造られた醪には、単純に水とアルコールだけでなく、さまざまな成分が入っています。それらをどう取るのかがこの蒸留の肝であり、とても面白いところです。

蒸留の図イメージ

国分酒造の蒸留機は常圧蒸留専用と常圧減圧兼用の2台あり、焼酎によって使い分けています。
・常圧蒸留:一般的な蒸留方法。醪の温度が85度ほどと熱くさせるため、それに伴い香ばしくなったり、化学反応で成分が変わったりする
・減圧蒸留:蒸留機内の圧力を低くして蒸留する方法。圧力を低くするとアルコール、水の沸点が下がり、より低い温度で蒸留することができる。醪のピュアでフルーティーな香り成分をより多く取り出せる

温度によって敏感にとれる成分が変わるため
水蒸気が上がる部分に冷却機械をつけて、狙っている成分、香りを取る

年々安田杜氏はこの蒸留機をいじってカスタマイズさせており、外の看板には元の”内田式”を変えて”安田式”と変えていたりと随所で楽しまれているところを伺えます。

そんな国分酒造のコンセプトは何か
社長の笹山さんは
”他がやっていない新しい焼酎造り”と仰っていました。

先にも述べましたが国分酒造は業界内で新しい取り組みの芋焼酎を多数生み出しています。

国分酒造のこだわりを知る3銘柄

  1. 業界初の芋麹造りの芋焼酎

  2. フレーバー焼酎の先駆け”フラミンゴオレンジ”

  3. 明治の頃の芋焼酎を再現した維新の一滴

「業界初の芋麹造りの芋焼酎」

芋麹 芋

芋焼酎造りとはいっても基本は米と芋でつくられ、その米は酒造りの基礎となる麹造りで用いられます。
安定した酒造りをするためには米で麹をつくることが業界の当たり前でしたが、さつまいもだけで造れないのか?と地元の酒屋との話の中ででた疑問に安田杜氏がトライしたことがきっかけでした。
なかなか発酵しなかったり、参考になる文献もなかったので試行錯誤を繰り返した結果造れた焼酎であり、こちらの功績が国に評価されて2017年”現代の名工”に選ばれるきっかけになりました。

「フレーバー焼酎の先駆け”フラミンゴオレンジ”」

ラベルは杜氏東京の酒屋さんに勤めていた美大生の女性の方が手がけた

私にとっても人生を変えた1本の”フラミンゴオレンジ”であり、香りの印象としてライチのような強い香りとその中に感じる柑橘の香りが特徴のフルーティーな芋焼酎であり、国分酒造を代表とするフレーバー焼酎です。
現在では多くの焼酎蔵がさまざまなフルーティーな香りの焼酎を出していますが、最初に世間に認知されたものはこの”フラミンゴオレンジ”といわれてます。
造りも他の芋焼酎とだいぶ異なり、芋麹を使用した芋焼酎であり、酵母は鹿児島香り酵母、減圧蒸留を用いて、さつまいもでつくられたピュアなフルーティーな香りを感じられます。
この芋焼酎が人気でシリーズ化されており、現在は3種類展開されています。
鹿児島では大人気すぎるがあまり、発売当日に売り切れになってしまいます。

「明治の頃の芋焼酎を再現した維新の一滴」

限定300本くらいの希少酒

過去の文献を見て杜氏の造りを参考している中で、大正時代に造っていたであろう手法で造る”大正の一滴”という芋焼酎をつくりますが、更にその前の薩摩にもゆかりが強い、明治の時代の造られていた芋焼酎は何かと考えて、文献を読み解いて造られた芋焼酎”維新の一滴”です。
工程としては、冬場の寒い時期でないとできない手法であり、蒸した芋に水を入れて、まずは自然に乳酸発酵をさせていき、できた酒母に黄麹の米麹とさつまいもをいれて発酵。
この焼酎のために用意した当時の蒸留機を再現した”ツブロ式蒸留機”で蒸留してきます。この蒸留機は維新の一滴のためだけに使われる蒸留機です。
正直文章にしてもわからないほどの造り手の想いや造るに至った背景があり、とてもロマンを感じるものも芋焼酎です。

維新の一滴で使われる蒸留機と興味津々のスタッフ

その他にもここでは紹介しきれないほど、国分酒造でしか味わえない味や香りの焼酎があります。
そしてそれらが他の蔵に影響を与えて、各蔵で更に面白い取り組みや焼酎を作られています。

蔵見学の話はかなりマニアックな話になるので、しっかり予習をしていっていただくとより楽しめます。対して、出している焼酎(特にフラミンゴオレンジ)は今まで焼酎が苦手だなと思っている方や、固定概念を持たれている方のイメージが変わるきっかけの一本となると思います。もし、少しでも壁を感じている方がいれば騙されたと思って是非飲んでみてください!

★蔵見学は手業のひとときのプランから!

現在、一般には蔵見学の案内をしておりませんが、界で企画している”手業のひととき”で特別に蔵見学ができます。
1日目に温泉に浸かりながら国分酒造の焼酎の知識を深め、翌日に行くことで、より国分酒造のこだわりを紐解ける特別なプランとなっております。
開催日は少ないですが、自信を持って紹介できるとてもおすすめの企画です。

★霧島で泊まるなら、国分酒造の焼酎を飲みたいなら

”界 霧島”
全室桜島ビューの絶景温泉旅館
鹿児島らしく、本格焼酎を多く取り揃えていたり、霧島特産の霧島茶や天孫降臨神話にも触れることができる旅館です。
国分酒造の焼酎も多く取り揃えているので、是非スタッフにお声掛けください。

長文になりましたが、こちらもこだわりや面白さが全然書ききれなかったので、また書きます…
大好きだからこそ、その時にとっておきの”蔓無源氏 "と”安田”のことに触れさせていただきます。

自宅の国分さんの芋焼酎

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