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#78: こんなときだから♪ショパン〜思い出と終焉の波間をたゆたう「舟唄」

ショパン:舟唄(1846)

#78 -84のテーマは「たゆたうリズムは船か人生か乙女心かー舟唄」

「ヨイトサッサ〜♪」

家主の故郷である福岡県には柳川という川下りで有名な観光名所があります。柳川舟下り体験では,船頭さんが乗客の手拍子にのせて美声を披露してくれます。
船乗りだけでなく,昔から労働に歌はつきものでした。
単調な作業も,節とリズムがつくとあら不思議☆
身体の動きも滑らかになり,仕事を滞りなく終わらせることができます。

なんでもそうですが,リズムって大事ですよね……
仕事も生活も。

特定のリズム,好きなリズム,自分だけのリズムを見つけるって人生において,実はとても重要なのかもしれません。

と,ちょっと話が大きくなってしまいましたが,話を戻すと,労働歌であった舟唄。西洋ではロマン派の時代に,水面をたゆたうような特徴的なリズムを舟唄(バルカローレ)と呼び,メンデルスゾーン,ショパン,フォーレといった作曲家がピアノのための秀作を残しています。

特徴的なリズムとは,6/8 拍子や 9/8拍子といった,専門的な言葉で言うと複合拍子であり(例外もある),船が波とともに揺れるような効果を生み出す刻み方と言っても良いでしょう。

本日は,ピアノ作品の中からフレデリック・ショパン(1810-1949)の「舟唄」から聴いてみましょう。

冒頭,イントロのような雰囲気の導入から,左手でこの曲全体を印象付けるリズムが提示されます。この作品は,ショパン晩年期を代表する名曲であり,技巧的にも表現的にも非常に高い能力が求められます。ピアニストにとって最難関の作品の一つであることは間違いないと思います。

ジョルジュ・サンドとの恋に終止符を打ち,病に侵されていたショパンは,自身の死期を悟っていたのでしょうか。人生を彩った華やかな思い出と切なさが交錯するピアノの詩人の名を刻印した作品といえるでしょう。

芸術に昇華した「舟唄」を,ショパンと同郷ポーランドの巨匠,アルトゥール・ルービンシュタイン(1887-1982)の演奏でお楽しみください。

今日もみなさんにとって,素敵な一日でありますように!


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