入魂 18

上司にお前みたいな女々しい奴は、
入魂して漢に生まれ変わらせてやるからついて来い！
と言われ、ついて行ったらそこは歌舞伎町2丁目。
入魂は入魂でも、お尻に入根されてしまった…

つい、無表情になってしまいそうなオチの話をもうかれこれ5年。
帰省するたびに祖父に語られる私ですが、去年迄であれば
「おじいちゃんお口臭い」と一刀両断。
話の詳細を聞かず排撃してやるところでしたが、
私自身、入根に大変興味が湧くお年頃に差し掛かってきたものですから、

「もう！おじいちゃん！またその話？去年も聞いたよ。
もうボケてきているんじゃないの？ちょっと心配になってきたよ…
よし！おじいちゃんの為にもお話ちゃんと聞くよ！詳しく聞かせておじいちゃん！
じゃあまず、どんな男根がどういう体位でおじいちゃんの菊門に入根されたか詳しく教えて？その時おじいちゃんに去来した思いも一緒にね」

と、世話焼きな孫のようになってしまったのです。

祖父は、よし来たと言わんばかりの嬉々とした表情を浮かべると、
ガッと四つ這いになり、ヘルニアの腰など一顧だにせず、

「ばあさん！ゴーヤーを持ってきなさい！！」

と勝手許に向かって、それは力強く叫びました。
私に向ける真っ直ぐな瞳は明澄なものでした。

その日の夕食がゴーヤーチャンプルーだったことは、言うまでもありません。苦みと臭みの効いた味は、まるで私も大人の世界に足を踏み入れたような、感慨深いものでした。

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