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初心者はこれだけ!事業収支の基礎の基礎「売上」-「経費」=「利益」

こんにちは。イベントづくり先生のオーガナイザーM(@organizermanual)です。

前回は個人イベント主催者がお金の管理をしっかりすることが、いかに大切か。お金を疎かにするとどんなことが起こるかをエピソードを交えてご紹介しました。

本講では「個人主催イベントを長く続ける」ということを主眼に置いたお金の管理に必要な知識やノウハウをご紹介していきます。

今回は超基本!これだけは最低限やっておこう!というものです。

【「売上」-「経費」=「利益」】

おそらく今後100回くらい繰り返すことになります。

「売上」-「経費」=「利益」

この公式を頭に叩き込んで、そしていつでも忘れないでください。

・お客さんから次々と要望が届いて浮足立ったとき。
・仲間が「あれしたい」「これしたい」と言い出したとき。
・新しい備品を購入するか迷ったとき。
・人が増えて、会場を広くするか現状維持か悩むとき。

これを思い出すだけで、悲劇の半分はなくせます。

イベントは原資である「売上」を「経費」として支出することで開催できます。「売上」の方が多ければ「利益」が残って次回の原資になります。「経費」の方が多ければ「利益」はマイナスとなり、”誰か”が補填する必要があります。

多くの場合、マイナスの責任を負うのは主催者です。

色んな要望を出してきたお客さんも、企画のアイデアを出した仲間も、穴埋めのお金を出してはくれません。

個人主催イベントの赤字はあなたの生活費に侵食します。

どの程度の赤字なら許容できるでしょうか?開催日に急に嵐が来て、売上0円で経費100%を被ることになっても大丈夫でしょうか?そうなった時、赤字の清算には何か月くらい要するでしょうか?

「売上」-「経費」=「利益」

この見通しは、開催前のどの段階で立っているでしょうか?

イベントによっては当日ふたを開けてみないと分からないようなものもあります。ある程度は致し方ないですが、とてもリスキーであるということを理解し、できるだけ事前の見通しを立てる努力はしているでしょうか?

要望に応えたり、スタッフの希望を叶えたり、会場を拡張する原資となる「利益を増やす」には「売上を増やす」「経費を減らす」しかありません。

見通しの立てるには、これらを具体的な数字で把握する必要があります。

そのための作業が「予算」と「決算」です。

イベント準備開始前に「予算」を組もう!

イベントを始める前にやることは、何はなくとも「予算」づくりです。

「予算」とは「お金の入り出の計画」のことです。

学生さんや普段は会計にタッチしない職種の方には、馴染みがないかもしれませんが、個人主催イベントも家計の一種と捉えれば、無計画にお金を使うと危険であることは理解していただけると思います。

「計画通りにお金を使う」より大切のなこと

予算に限らず「計画を立てる」系の話は、ビジネス経験がないと縁遠く感じることが多いようです。

良く言われるのが「そんなものは終わってみないと分からないよ」という言葉。その通りですが、実は、それは「決算」のお話です。他にも「ガチガチに計画を立てるといざって時に困るやん?」等と言われることもありました。が、これも「予算」ではなく「予算の執行」の話です。

「予算」は、お金の使い道を縛るものでも、計画通りにお金を使わないことを咎めるものでもなく、あくまで「お金の入りと出の計画=お金の見通し」を立てることです。

それこそ何の見通しもなく"いざって時"に遭遇したら、イベントが潰れてしまったり、あなたのその後の生活に支障が出たりしかねません。

でも、ほとんどの人が家庭のお金ならちゃんと計画的に使えるのに、イベントの「予算」は疎かにしがちな理由はなんでしょう?

「お金の入り」で制する転ばぬ先の予算編成

家計とイベントを含む事業予算のいちばんの違いは「お金の入り」が決まっていないことです。

一般的な家庭の収入は勤務先から毎月決まった額が振り込まれる給与です。一方、事業の売上はこれから積み上げていく不確かなものです。

・チケットが何枚売れるか?
・出展ブースが何コマ埋まるか?
・協賛が何口集まるか?

そんなものは"終わってみないと分からない"ことです。お金がいくら入ってくるか分からない以上、どこにいくら使って良いかも分かりません。

だから、最初に考えるのはこのイベントは「いつ」「いくら」のお金が入ってくる可能性があるかです。

具体的に考えてみましょう。

収容200人のライブハウスで当日払い2000円の興行を行うと、ライブ当日に最低0円~最大40万円の「売上」が立つ"可能性"があります。

もし、出演料4万円を払って50人くらいの集客力のAバンドを呼べば、少なくとも10万円の売上は確保できます。この場合「売上(10万円)」から「経費(5万円)」を差し引いた「利益(6万円)」の見通しが立ちます。

もし、まだ不安なら、前売券を出して、Aバンドのお客さんの8割が買ってくれたら「売上(8万円)」と「利益(4万円)」が確定し、更に当日「利益(2万円)」が上乗せされる可能性があります。

あなたはこの時点で出演料以外に4万円分の「経費」を使うことができるようになり、Aバンドが見込み通り集客してくれたら最大2万円の「利益」が残ります。

このような「売上」を1つずつ積み上げていくと最終的にイベント全体のお金の入りの最大値とその確度=見通しが立つのです。後は、見通しの範囲で「経費」の計画を立てます。

イベントを開催するために最低限必要な「経費」と「売上」の見通しが合えば、それがあなたのイベントの「予算」です。

「予算の修正」と「決算」をしよう!

最初に「予算」を立てて、イベントの準備をしていると色々と想定外のことが起きてきます。先ほどの例でいえば、50人は呼べると思っていたAバンドのお客さんが実際には40人しか集まらなかった…とか。

だから、当初の見通しと現実の状況の差分を常に把握して、「予算の修正」を行います。

主催者を成長させる計画と現実の"差分"

「予算」の重要な役割はの1つが計画当初と現実の"差分"の確認です。

Aバンドの例でいえば、「予算」について考えていなければ、単に「あのバンド、けっこう期待してたのに思ったほどお客さん呼べなかったな…」くらいしか反省がありません。

「予算」があればどうでしょう?

予算に「売上(Aバンド前売分 8万円)」「売上(Aバンド前売分 2万円)」となっていれば、前売券が思ったほど出ない時点で、Aバンドの集客が期待を下回る新たな見通しが立ちます。

一方、Aバンドには「経費(4万円)」が掛かっており、また「利益(6万円)」の内、4万円を運営費に充てています。つまり、動員が期待の8割を下回ったら赤字です。

主催者の選択は、Aバンドの動員をテコ入れして「売上」を守る(テコ入れには新たな「経費」が必要かもしれません)、他から余剰の「売上」を持ってきて補填する、「経費」を削るの3つです。

あなたは3つのどれかを選び「予算の修正」を行います。

イベントづくりは、こうした事前に立てた見通しと現実の"差分"を修正の繰り返しであり、イベントづくりの力が付くほど、"差分"も少なくなります。

イベント終了後の成績表=「決算」

事前の見通しを立て、紆余曲折が在りながらもイベントが終わってみたら、あなたの手元には幾ばくかのお金が残りました。あ~、良かった!

これってイベント成功でしょうか?

ここまで読んでいただいた方なら「否」であることはお判りでしょう。

都度発生する差分を積み重ね、実際にいつどのようにお金が入ってきて、いつどのように出て行ったのか。そして、手元にいくらお金が残ったのか(又は、足りなかったのか)を確認する作業が「決算」です。

「決算」と当初の「予算」にはどのくらい違いがあったでしょう?

その違いは、なぜ起こったのでしょう?

この分析が主催者のイベント制作能力の向上に繋がります。まさに「決算」はイベントの成績発表なのです。

悪いこともあれば、思いがけずたくさんのお客さんが来てくれて、主催者の手腕とは無関係に大きな黒字に繋がる偶発的な成功も起こり得ます。頑張った結果が想定より大きく評価される時だってあります。

良いことも、良くないことも、しっかり反省して次に進みましょう。

まとめ

今回は誰でも分かる簡単な公式を元に「予算」「決算」をしっかりして欲しい理由について説明しました。

「売上」-「経費」=「利益」

何かあるたびにこれを思い出してください。

次回からは、「売上」「経費」「利益」にまつわるもう少し実務的なことをご紹介していきたいと思います。

ぜひ最後までお付き合いください。

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