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個人主催イベントがお金の管理を疎かにしたことで起きた悲劇について

イベントづくり先生のオーガナイザーM(@organizermanual)です。

今回からシラバスの第2部「収支管理」を始めます。

お金の話と聞いて「面倒くさ~」と思った方が大半ではないでしょうか。

もし「よし来た!」と思ったなら目の付け所が良いです。

イベントをやっていく上で企画の次に大切なのがお金の管理です。

しかし、個人がイベントをやる時、お金の話はつい置き去りにしがち(もしくは避けがち)です。

今回は前段の話として、お金の管理ができなかった為に起きた悲劇について、経験を踏まえてご紹介し、個人主催イベントこそしっかりお金の管理をしなければならない理由や気を付けることをご説明します。

お金に無頓着だったイベント主催者に起きた悲劇

いきなりですが身の上話をさせて下さい。

お金がないとやりたいイベントは続けられない

私は「元」イベンターでコロナ禍を経験して事業を畳み、地元に帰って公務員をしています。

なぜ、事業を畳んだかと言えば、コロナ禍でイベントを開催する資金が回らなくなったからです。その際には、本当に多くの方々にご迷惑をお掛けし、またその時に不甲斐ない私を許し、支えて下さった方のご厚意で、今こうして生活を立て直すことができています。

自己紹介の中で「イベント屋さんの多くは企画者から請負う仕事の方が多いのですが、私の場合は自ら企画・制作を行うイベント主催業が中心」だったと自分のことを振り返っています。

嘘では無いのですが、やや見栄を張った書き方です。

正確には「万が一、主催事業がコケた時の為に下請けイベント制作やその他の収益の柱を育てることを怠っていた」というのが実態です。流石に、万が一のことがパンデミックだとは思っていませんでしたが、いつかは台風や大地震、戦争などに見舞われて同じことになっていたと思います。

お客さんや協力者との誤解の原因になる

もう1つエピソードを紹介します。こちらの方が駆け出しオーガナイザーにとってはより深刻なことかもしれない、お金への無頓着が、お客さんや協力者との関係を破壊してイベント開催を止めてしまう原因になり得るというお話です。

2000年代は、最新WebガジェットだったSNSを使って、地縁を超えたアニメやゲーム、映画、カラオケ、スポーツ等といった興味関心で繋がり、リアルで集まることがちょっとしたブームでした。

当時、私のように経験が浅いのに何十人、何百人が集まるイベントを定期開催する「幹事さん」がたくさんいました。その中で、割と親しかったあるオフ会幹事の女性のことです。

彼女は、3480円の飲み放題コースがあるお店で映画を語るオフ会を1人4000円の会費で開催し、毎回50人程度が参加していました。

しかし、この会費とお店に支払う差額の520円が問題になりました。

彼女としては、3480円という細かなお金を集める面倒さを省いて会費4000円と設定し、差額(毎回約2万円程度)は完全予約制のお店でドタキャンが出た時の為のバッファ、イベントを盛り上げる小物や名札の購入費、更に本人や協力者の交通費に充てていたようです。

飲み会の幹事経験がある方なら、妥当な使い方だと分かるはずです。

しかし、中にはそうではない参加者もいます。

「あの女は、私たちが好きな映画をダシに個人的に儲けている!」

そんな風にSNS上でヒステリックに彼女を攻め立てる一派が現れました。

もちろん、それは一部でしかないので、しっかり説明できればよかったのですが、残念なことに彼女はイベントの収支を記録していませんでした。

また、趣味のオフ会だからお金儲けをするつもりはないと公言しており、差額の使い方も、参加者は分かってくれているはずと思って、敢えて説明していませんでした。

実は、当時そういう理不尽な幹事叩きが色んなオフ会で起きていて、彼女は無関係な人からも「お前は守銭奴だ」と心無いバッシングに晒されるようになり、気を病んで主催を止めてしまいました。

彼女のオフ会は参加者へのケアが行き届いて、居心地が良くて、私も大好きな場だったので、非常に残念な思いをしました。

公明正大が価値になるSNS時代の個人主催イベントがお金について気をつけるべきこと

この2つの事例からそれぞれ大切なことが分かります。

1つは、お金は理想を形にするのに必要な最も基本的な資本であるという実に当たり前で、しかし忘れてしまいがちなこと。

そして、もう1つは、そうであるにも関わらず、SNS時代の"他人"はあなたのお金の使い方に極めて不寛容であるということです。

資金繰りの問題

資金繰りの悪化はイベントの存亡に関わるばかりか、あなたの生活にさえ影響を及ぼしかねません。

そのイベントにはいくらお金が掛かって、どれだけのお金が入ってくる見込みなのか。もしも、その見込みが全て崩れた時に(この可能性がいわゆる"リスク"と言われるものです)、あなたはどすうるのか。

この事は、イベントを長く続ける為にも、あらかじめ十分に検討しておくべきです。

SNS特有の人間関係とメンタルの問題

一部の人は、儲かっていそうな主催者を見ると「儲けやがって」と叩き、また一部の人は、イベントで損をしている主催者を見ると「あいつは馬鹿で才能が無い」と蔑むものです。

あなたは「黙殺していれば良い」と思うかもしれませんが、運営に様々な人の協力が必要なイベントづくりにおいて、仲間はあなたほどメンタルが強くないかもしれません。

お金のことをしっかりと説明できないばかりに、大切な仲間が傷つき、離れていっていくのは、決して珍しいことではありません。特に、イベントが小規模であるほど、そうした人間関係が運営に大きな影響を及ぼす可能性(これもリスクです)があります。

このようなリスクは、あなたやイベント自体のお金に対するスタンスを予め示すことで、ある程度は回避することができます。

まとめ

SNSが普及したことで、簡単に情報発信できるようになり、個人主催イベントが開催し易くなりました。しかし、それは不慣れな小規模事業家が増えたとも言えます。

ハードルが下がるのは良いことなのですが、事業運営の難易度自体が下がった訳ではありません。

金銭リスクは今も昔も変わらず在り続けています。

更に、基本的に双方向であるSNSによって主催者は「監視」に晒され、誰かに対して公明正大であることを迫られ、時には理不尽なバッシングを受けることもあります。中でも男女関係とお金は噂話の華です。

こうしたリスクから自分や仲間を守る為にも、イベント規模の大小にかかわらず、お金の管理には細心の注意を払っておくべきです。

今回はノウハウというよりはエピソードと教訓というような内容でしたが、次回からお金の管理方法について改めて説明していきます。

ぜひ、最後までお付き合いください!

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