就活失敗した君へ
休日の昼下がり。ふと大学4年生の頃を思い出した。
大学4年生の7月、僕は就職活動で苦戦していたが、やっとこさ内定をいただき、ほっとしたのを覚えている。
今年の就活生(21年度卒)は、 コロナ情勢もあって苦戦していることと思う。
先輩として「希望通りにならなくても大丈夫だよ」と伝えたい。
僕は大学生のとき、マスコミ系の学生サークルに所属していた。今回はそこから全国キー局に進んだA君と対照的にマスコミとは違う業界に進んだ B君の話をしたい。
A君とB君は同程度の学歴の持ち主で、マスコミ志望の就活生としても、同じぐらいの実力だったように記憶している。
だがしかし、結局マスコミ系の会社から内定を頂けたのは A 君だけだった。
就活を終えた後、僕が感じたのはAとBに対する、周りの対応の格差だった。
大手(全国キー局記者職)に内定した A は後輩から「アドバイスください!」と羨望の眼差しを浴びていた。また周りの大人達も「Aは優秀だよな」と以前に増して褒められるようになっていた。
一方で、地元企業(非マスコミ)へと内定したBへの周りの対応は微妙だった。
腫れ物に触る感じを醸し出すものもいた。Bは事実悔しがってはいたものの「まあ俺は地元に残りたかったから」と納得していたが、それを「強がってますよね」と受けとる後輩もいた。
ただ驚いたことに就職後、幸せそうに過ごしたのはBであり、辛そうだったのはAだった。
Aは就職後、長い労働時間へ愚痴を漏らすようになり、ついには入社1年目の7月に退職してしまった。
一方 B は、 就職後、何年か経った今でも同じ職場で楽しそうに過ごしている。
Bは学生時代のマスコミ関係の経験が買われ、現在は会社の広報担当をしている。自社のイベント、サービスをSNS やブログで発信などを楽しそうに発信していて、良かったなと思ったものだ。
このエピソードで伝えたいことがいくつかある。
まず希望の業界に行けなかったとて、学生時代の頑張りを活かせる可能性はある。逆に希望の業界に行ったとて理想を叶えられないこともある。
未来は大学卒業時点で決定付けられるほど、単純ではない。
伝えたいことはもう1つ。人生のある1点を取り出し、その時点で「幸せだ」「不幸だ」などと判断を下すのは違うということだ。
就職活動を終えた時点で幸せなのは、夢を叶えたAだった。ところが2年経った今は、Bの方が楽しく過ごしている。しかし、また数年経ったらどうなるかはわからない。Aがライターとして活躍したり、Bの会社が立ちゆかなくなる可能性は十分にある。
人生には波がある。そしてその波は長く続く。
80年もしかしたら90年100年と続くかもしれない。
そうなった時に就活の出来事で幸福の判断を下す必要はない。 思い通りにならず悔しい気持ち、恥ずかしい気持ちがある人もいるかもしれない。でも大丈夫だ。いつでも軌道修正できるし軌道修正する必要もないかもしれない。どん、と構えて社会人生活を迎え撃って欲しい。
もしかしたら卒業までの間、「自分の就職先がショボくてバカにされるんじゃないか」と思う学生もいるかもしれない。
大丈夫。少しの辛抱だ。
大学4年の3月までは、みなそれぞれの進路が気になって、色々話をするが4月以降はそれがなくなる。
みんな散り散りになり、同じように仕事に悩み、仕事を楽しむ。そうなるときがくる。
たとえ就職活動がうまくいかなかったとしても怖がることはない。気持ちを軽く3月まで学生生活を楽しんでほしい。