君はあの美しき4-4-2をもう見たか~Jに帰還した名将三浦俊也について語りたい~
2022年、1人の名将がJリーグの舞台へと帰ってきた。
その名は三浦俊也。
ベガルタ仙台、水戸ホーリーホック、大宮アルディージャ、コンサドーレ札幌、ヴィッセル神戸、ヴァンフォーレ甲府で監督を歴任。そのうち大宮と札幌では見事J1昇格を成し遂げた。Jリーグ史上初めて複数のクラブをJ1昇格へと導いた名将であり、大宮札幌両クラブのサポーターを中心にその戦術眼やマネジメント能力は非常に高く評価されている。
ぼく自身、西葛西出版のホームページでいつの日か公開されるであろう、OWL magazineライターの選手名鑑の「好きな監督、コーチ」の欄は三浦俊也と回答するなど、三浦の手腕を高く評価している。いわゆる「推し監督」である。
推し監督を肴にサッカー好きと酒を飲み交わすほど至福の時もない。是非読者の皆さんの推し監督についてもお話を聞かせていただきたいところである。万が一「大熊清」などと言われても決して怒り出したりはしないので、FC東京のサポーターの方々も安心していただきたい。
2014年にベトナム代表監督、2018年には札幌でもプレー経験のあるレ・コン・ビンが会長を務めるホーチミン・シティFC監督に就任するなど、海外での経験も豊富な三浦。
そんな名将が次なるチャレンジの場として選んだのが、J3リーグのFC岐阜であった。
岐阜×三浦に期待する化学反応
今季の岐阜はJ3クラブとは思えない大型補強でストーブリーグの話題をかっさらった。
神戸から田中順也、浦和レッズから宇賀神友弥と代表経験もある選手を次々に獲得。
かと思えばテゲバジャーロ宮崎から藤岡浩介、YSCC横浜からンドカ・チャールスを補強するなど、しっかりJ3というカテゴリーで結果を残した選手も抜かりなく補強している。
京都サンガFCから加入した庄司悦大、レノファ山口FCから加入したヘニキなど、J2時代に在籍していた出戻り組も強力だ。
柏木陽介や吉濱遼平などといった実力者も引き続き在籍しており、J3では戦力的に突出していると評価する識者も多い。
岐阜は2008年のJリーグ加盟以降、長らくJ2リーグを戦ってきた。しかし2019シーズンで最下位に沈み、2020シーズンよりJ3リーグに戦いの場を移している。
J2で長くやっていたこともあり、J3では戦力面でも環境面でも非常に恵まれたクラブと言えるが、2020年、21年と2年続けて順位は6位。今季はJ3で3年目のシーズンを迎えることとなってしまった。
J2時代から見ていても、岐阜の課題は明らかに守備力だ。得点はするのだがそれ以上に失点をしてしまうという印象が強く、J3でも失点の多さが勝ちきれない要因となっていた。岐阜のJ2復帰、そしてJ2に定着しさらに上を目指していく過程において、守備力の強化は必要不可欠だ。
これまではラモス瑠偉、大木武、ゼムノビッチ・ズドラヴコに安間貴義と、ポゼッション志向で攻撃的なサッカーを好む監督を多く招聘してきた岐阜。
ここで方針をがらりと変え、守備構築に定評のある三浦に白羽の矢を立てたというのは、招聘の意図がよく分かる非常に良い人選であるように思う。
ミハイロ・ペトロヴィッチ監督から森保一監督へと繋いだサンフレッチェ広島、西野朗監督から(セホーン監督・松浪正信監督を挟んで)長谷川健太監督を招聘したガンバ大阪、風間八宏監督からマッシモ・フィッカデンティ監督にバトンタッチした名古屋グランパス。攻撃的なチームに守備構築の得意な監督が就任した結果チームが好転し、タイトルまで獲得した例はJリーグでも少なくない。
岐阜の伝統ともいえる攻撃サッカーに三浦の十八番である守備構築がうまく絡み合えば、岐阜は大きく飛躍することができるのではないかと思う。
今回はそんなぼくの推し監督、三浦俊也について存分に語らせていただきたい。
既に三浦の虜になっている「ミウリスタ」の皆さんはもちろんのこと、三浦のことをよく知らないという方、三浦の何が良いのか分からない(結果を残せなかった神戸や甲府のサポーターの中には一定数いらっしゃるだろう)という方まで、幅広い層に三浦の凄さや魅力が伝われば幸いである。
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