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「問いを立てて築く」 Burger Factory〔バーガーファクトリー〕 ・ 川領平

OPEN MAGAZINE "Based in Nakameguro"では、中目黒エリアに拠点を構える店舗や人を特集し、街の魅力を繋いでいきます。

今回は、目黒銀座商店街の最奥部にあるハンバーガーショップ・Burger Factory〔バーガーファクトリー〕。選べるオリジナルのハンバーガーは、なんと50種類以上。圧倒的なメニュー数の中から選ぶ楽しさは、大人でも思わず童心に帰ります。

オーナーの川さんには、商店街に店舗を構えるメリットや自身の展望についてもお話いただきました。Burger Factory〔バーガーファクトリー〕を通じて、中目黒という地域のローカルな一面もお見せします。

過去の経験が今に活きる

-- 以前、川さんはバンドマンだったそうですね。そこからどのようにして飲食の道に進まれることになったのでしょうか?

川さん:当時バンドマンとしてプロを目指していたのですが、その活動だけではなかなか生計が立てられなくて。それで飲食店でも働こうと思ったんです。

僕はアメリカンカルチャーに興味があったので、飲食店で働くならハンバーガーショップがいいなと思っていました。しっかりと経験を積んで、いつか独立しよう、そんな想いも抱きつつ、都内の有名ハンバーガーショップで働きはじめます。

次第に「ハンバーガーを通じて、お客様を笑顔にする」ということが、ハンバーガーショップの役割であり、仕事であることを学びました。
バンドマン時代には「音楽を通じて、観客を喜ばす」ということをポリシーに活動していたので、なんだか近しいものを感じて嬉しかったのを覚えています。

-- たしかに。「目の前の人を喜ばす」という共通点がどちらの職業にもあるように思います。似ている部分がある、というのは大変面白い気づきですが、バンドをやられていた頃のご経験が今の職業にも活かされていると思うことはありますか?

川さん:バンドマン時代は事務所に属さずに、ひたすら作品を作ってライブを行っていました。その試行錯誤を繰り返す癖は今の職業でも活きている気がします。

音楽は人に聴かれて初めて音楽になると思っています。それと同様で、お店もお客様に来てもらって初めてお店になると思うんです。バンドマンとして音楽を披露するまでの道のりと、ハンバーガーショップの店員として食事を提供するまでの道のりは、僕にとってはある意味一緒なんですよね。

-- なるほど。一瞬のために多大な努力をする、そういった部分が似ているように思いますね。では、バンドマン時代に音楽に対してこだわりがあったように、店舗運営に対するこだわりもあったりするのでしょうか?

川さん:空間作りとしてのこだわりは全面的に出すようにしていますが、その他に対する自分のこだわりには十分注意するようにしています。

このお店には僕以外に働くスタッフがいるので、経営面のことを考えると「お客様が何を求めているのか」や「スタッフがどんな気持ちで働いてくれてるか」を常に考える必要があると思っています。

空間作り以外のこだわりで言うと、接客になると思います。マニュアル通りの接客ではなく、目の前のお客様に応じたライブ感ある接客ということです。バンドマンだった頃は、その場の雰囲気で披露する曲を変えたり、トークテーマを決めたりしていたので、当時の経験を活かしてその場の状況やその人に合った接客を心がけています。

-- 過去のご経験を今に活かそうとする姿勢が大変素晴らしいと思います。店内の内装にも思わず目を奪われますが、どのようなこだわりがあるのでしょうか?

川さん:店内の壁に描かれているイラストや飾られている作品ですが、実は、同じ人の作品に見えて、それぞれ異なるアーティストに手掛けていただいています。

作品を依頼するアーティストの決め方ですが、Burger Factory〔バーガーファクトリー〕というブランドの理解者であるか、もしくは僕と似たルーツを持っているかの2軸で決めています。そうすることで、自然と統一感も生まれてきて、一見ゴチャゴチャしているようでまとまりのある世界観になると思っています。

-- 依頼するアーティストの判断基準が明確だからこそ、世界観に統一感が生まれるんですね。大変勉強になります。次はこのマガジンの核となる「場づくり」について、川さんのお考えをお聞きしたいと思います。

接客で「プラスの感情」を生む

-- 時に、私たちは実店舗のことを「リアルな場所」と表現します。そんなリアルな場所を持つメリットについて、川さんはどのようにお考えですか?

川さん:リアルな場所を持つメリットは、「リアルな反応が見れる」ということだと思います。ハンバーガーの味に関しては好みがあるので、全ての人を満足させることは難しいと思っています。ですが、プラスの感情だけは持って帰っていただきたいので、一人一人に合った接客ができるように意識しています。

現場で得られるお客様の反応が即席フィードバックだと思っているので、常に改善しながら、プラスの感情を生み出す接客を模索しています笑

-- 素晴らしいプロ意識ですね。とても思いやりのある接客だと思います。「プラスの感情だけは持って帰ってほしい」といった姿勢が、このお店に良い気をもたらしているように思いました。

無用でも通る商店街

-- 商店街に店舗を構える特有のメリットがあれば教えていただきたいです。

川さん:このお店は商店街の終着地点にあるので、人目につきやすいというメリットがあります。「買い物帰りにずっと気になっていました」なんて言ってくれる地域の方もすごく多くて。

そもそも、地域の人って用事がなくても商店街を通ったりするんですよね。何か安くなってたら買おうかな、みたいな。商店街に店舗を構えると地域の人により知ってもらいやすいかもしれませんね。

そういった特性もあるので、このお店を家族でも楽しめるような場所にしたいなと思っています。中目黒には住宅街もあって、子育てされている方々も多いのですが、大きなショッピングセンターやレジャー施設があまりないんですよね。このお店が子どもの思い出に残るような場所になれば嬉しいなと思っています。

この地域ならではの繁栄がある

-- 中目黒が今後どのように発展していってほしいか、川さんのご意見を聞かせてください。

川さん:もっと街全体で盛り上がるとより面白い地域になると思っています。今の中目黒は点々と盛り上がっている印象もあるので、横の繋がりが増えればいいですよね。

ですが、ローカルな雰囲気は継承していきたいですよね。中目黒周辺には、代官山や恵比寿などの魅力的な地域がたくさんあって、それこそ渋谷のようなビッグタウンに行けば、大概の用事が済んでしまいます。では、「なぜ中目黒に行かなきゃいけないのか?」そういった問いを立てながら、中目黒という地域を築いていく必要があると思います。

この地域だからこそできる、繁栄の仕方が必ずあるはずです。今後発展していくべき方向性を確かめ合いがら、地域全体で進んでいけたらいいですね。

-- 最後に川さん自身の今後の展望について教えてください。

川さん:実店舗を持つことで得られるメリットは沢山ありますが、背負うリスクも大きいです。この時代にあえて「実店舗を持ちたい」と思う若者は、昔に比べて減ったように思います。

ですが、実店舗というリアルな場所でしか得られない体験は、どんな時代においても簡単に代替えできなものだと思っています。そういった部分に魅力を感じる若者が今後増えたら嬉しいですし、そういった若者が中目黒に店舗を構えて、一緒に地域を盛り上げていけたら最高ですよね笑

若者にもリアルな場所を持つことは、夢があることだと思ってもらえたら嬉しいです。


Burger Factory〔バーガーファクトリー〕

中目黒にあるハンバーガーショップ。

Open = [ 月~金・祝前日 ] 11:30~15:30 (15:00 L.O) , 17:30~21:00 (20:30 L.O) [ 土・日・祝日 ] 11:00~21:00 (20:30 L.O)


Adress =東京都目黒区上目黒2-43-11 小川ビル 1F
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