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「中目黒に今あるもの」 epulor〔エプロア〕 ・ サトヨシ
OPEN MAGAZINE "Based in Nakameguro"では、中目黒エリアに拠点を構える店舗や人を特集し、街の魅力を繋いでいきます。
今回は、目黒川の近くにあるミュージックカフェ&バーのepulor〔エプロア〕。音楽やアートとともに、バリスタが淹れるスペシャルティコーヒーやワインを中心としたお酒が楽しめる、大人の隠れ家的なスポット。
店内には生演奏のような臨場感あるレコード音楽が流れており、自然と気分が高まります。ジャンルもジャズ、ロック、エレクトロ、クラシックと様々で、タンノイのスピーカー、ラックスマン、上杉研究所の真空管アンプをセレクトするこだわりぶりです。
そんなお店を手掛けているオーナー・サトヨシさんは、中目黒という地域をどのように見ているのでしょうか。開業に至った経緯やepulor〔エプロア〕のお店作りについてもお話伺ってきました。
入店から退店が1つの物語
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-- 早速ですが、開業に至った経緯について教えてください。
サトヨシさん:僕自身がカフェやバーが好きで、よく足を運んでいたということもありますが、僕にとってそれらは1つの「アート作品」だと思っていて、いつか自分でもアート作品としてのお店作りをやってみたいと思っていたんです。
-- お店=アート作品、とても興味深いお話です。もう少し詳しく聞かせてください。
サトヨシさん:例えばですが、映画だったらキャストが様々なシーンを演じて、一つの物語を描いていきますよね。そこに衣装や小道具、音楽を用いて、より鮮明に世界観を表現していく訳ですが、カフェやバーでも同様のことが言えると思っています。
お客様がepulor〔エプロア〕を通じて、コーヒーやワインを嗜んだり、レコード音楽に浸ったり、スタッフと会話をしたり、来店してから退店するまでの体験が、「1つ物語のようなものであってほしい」と思っています。
-- なるほど。そこまで考えられているのですね。では、epulor〔エプロア〕は幅広い層から支持されている印象ですが、設計当初はどのような層をターゲットにされていたのでしょうか。
サトヨシさん:僕たちは明示的に設定できるようなターゲティングはぜずに、epulor〔エプロア〕が提示する世界観に共感してくれる人に「来てよかった」と満足してもらえうよう注力してきました。
これからも、提示する商品やサービスが変わってもそのスタイルを継続していきたいと思っています。
-- 中目黒は感度が高い人も多く訪れる地域ですよね。そういった意味では、体験に対価を支払う人が多いと思うので、epulor〔エプロア〕はこの地域と相性がいいかもしれませんね。
サトヨシさん:そうですね。中目黒ではそういった方々が集まる分、それに応えようとするカルチャーが生まれやすいと思っています。
多くの人が観光やデート、ショッピングなど様々な目的があって訪れていると思いますが、新たな出会いや発見も多く、偶然的な体験も味わえる街になっていると思います。
お店作りを行っていく上では、こういった地域性に対する理解も重要かもしれません。
-- 「偶然的な体験も味わえる街」とは面白い表現ですね。地域性に対するお話についても仰る通りだと思います。epulor〔エプロア〕では、レコードで音楽を流されていますが、そのこだわりについても教えてください。
サトヨシさん:レコードだとデジタルにはないアナログならではの音の豊かさがあります。
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また、アンプやスピーカーにこだわると音質が格段に向上し、同じ曲を聴いても全く違った音楽体験になるのが魅力です。
レコードは場所を取り、曲を流したり、手入れをするのに手間がかかりますが、その手触りのあるプロセスにはちゃんと価値があると思っています。コーヒーをハンドドリップで淹れるのと似ているかもしれません。
epulor〔エプロア〕では、スタッフが店内の雰囲気を見ながら、意図をもってその場で流す音楽を選曲しています。こういった音楽へのこだわりも楽しんでいただけら嬉しいですね。
-- epulor〔エプロア〕はミュージックカフェ&ワインバーということで、来店動機や層も幅広そうですね。
サトヨシさん:epulor〔エプロア〕では、カフェータイムとバータイムで提供しているメニューに違いを設けていません。ですが、レコードを流す音楽のアンプを変えたり、照明を調整して雰囲気を変えたりしています。
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昼と夜のepulor〔エプロア〕は雰囲気は大きく異なりますが、昼のepulor〔エプロア〕のが好きなら、きっと夜のepulor〔エプロア〕も好きになってくれると思います。バーに馴染みがない方から、色々なバーに行き慣れている方にも楽しんでいただけたら嬉しいです。
人の生活リズムに合わせて動く街
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-- 開業の地に中目黒を選んだ理由について教えてください。
サトヨシさん:正直に言うと、中目黒に強い拘りがあって出店した訳じゃありませんでした。出店場所を探していた時は、その地域にあるイメージを正しく掴むことを意識していました。
お店に入る前と店から出た後も、お客様が体験するストーリーの一部なので、お店のコンセプトに合う地域を探しながら、物件を探すということを繰り返していました。そして、偶然見つけたのが中目黒のこの物件だったんです。
少し駅から歩きますが、目黒川を散歩しながらepulor〔エプロア〕に向かうそのプロセスも、また一つの価値になっていると嬉しいです。
-- お店に辿り着くまでのプロセスも大事ですよね。大変勉強になります。では、中目黒にあって他の地域にない特色をあげるとすれば、どんなことが思い浮かびますか?
サトヨシさん:地理的な側面になってしまいますが、川があることですかね。住んでいる人も多い地域なので、朝は活発的に動き出して、夜は穏やかに寝沈まるみたいな都会のターミナル駅のような場所とは違い、人の生活リズムに合わせて街が動いている印象を受けます。
昔、川の近くから文明が発展していったように、川があると人が集まりやすかったりするのかもしれません。そういった意味でも中目黒は面白い地域だと言えますね。
リアルでしか表現できなかった
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-- epulor〔エプロア〕がどんな場所かと言われれば、どのように表現するのかが気になります。
サトヨシさん:個人的にはカフェやバーは、瞑想の場であると思っています。epulor〔エプロア〕もそうであってほしいと思っています。
この表現はある建築家が「家」に対して表現した言葉なのですが、epulor〔エプロア〕にあるコーヒーやワイン、音楽やアート作品を嗜んで、思い思いに心の琴線に触れる体験ができるような場所を目指していきたいです。
-- 瞑想の場とは秀逸な例えですね。中目黒は若い方も多く訪れる地域ですが、バー未経験の方も多い印象です。そういった方々に、バーという世界に立ち入る「最初の一歩になれば」という想いもあったりしますか?
サトヨシさん:もちろんあります。初めての方はバーやジャズ喫茶は、足を運ぶにハードル高く感じる方も多いようです。
epulor〔エプロア〕には色んな「入り口」があります。レコードの音楽に良さを見出す人もいれば、コーヒーやワインに良さを見出す人もいます。それらに詳しくないとダメなんてことはないので、興味さえあれば、一人でも気張らずにふらっと足を運んでいただけたら嬉しいです。
-- とても素敵な考えだと思います。サトヨシさんはどうして実店舗という「リアルな場所」を持とうと思われたのでしょうか。
サトヨシさん:僕の表現したかったことが「リアルな場所」でしかできなかったからです。
今あるものに目を向ける
-- 今後、中目黒という地域がどのように発展していってほしいか、サトヨシさんのお考えを聞かせていただきたいです。
サトヨシさん:まずは、他の地域にはない中目黒特有のスタイルを大切にしてほしいですし、今後起こりうる変化もそのスタイルに伴ったものであってほしいと思います。
僕自身は、ただ単純に大勢の人が中目黒を訪れればいいとは思っていません。
コロナ禍で人の出入りが少なくなった中目黒に咲いた桜はとっても綺麗で。あの時見た光景は、僕も初めて見る新しい中目黒でした。
もちろん、中目黒という地域が経済的に発展して行くためには、多くの人に足を運んでいただく必要があります。
中目黒にしかないスタイルを再確認して、それらをより輝かせるような変化を起こしていけたら、さらに中目黒という地域が魅力的に発展していくと思っています。
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epulor〔エプロア〕
中目黒駅徒歩5分、目黒川近くのミュージックカフェ&ワインバー。
Open = 11:00 - 24:00
Regular holiday = 月曜日(祝日の場合営業 / 翌日火曜休み)
Adress = 東京都目黒区青葉台1-19-10 エスセナーリオ青葉台 1F
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