見出し画像

「私の側にずっとあった街」 のひのひ ・ やまさききよえ

OPEN MAGAZINE "Based in Nakameguro"では、中目黒エリアに拠点を構える店舗や人を特集し、街の魅力を繋いでいきます。

今回は、 野菜多めの呑み食い処・のひのひ。店名の由来は「晴れの日」や「雨の日」「普通の日」といった「〇〇の日( のひ )」からきているそう。何でもない日を、少し特別な日に。という店主・やまさきさんの想いが込められています。

実は、OPEN Magazineで取材させて頂いたTHE GARAGE・柴谷さんのパートナー常田朝子さんとは、大学時代の同級生という間柄。ご縁ある本取材では「場づくり」のお話を中心に、やまさきさん自身の今後の展望についてもお話伺いました。

みんなの健康を担う場

- - 料理の道に進まれたきっかけについて教えてください。

やまさきさん:最初から料理の勉強をしていたわけではなくて、美術系の大学に通い、卒業後には普通に就職して、デザイナーとして働いていました。

ある時、料理雑誌のデザインに関わることがあったのですが、そこでフードコーディネーターという料理をスタイリングする仕事に興味を持ったんです。この仕事なら、これまで培ってきたデザインのスキルも活かせるのでは、と思って。それで、料理に近い仕事をしてみようと飲食店で働くことを決めました。

- - 料理にもデザイナーとしての経験が活かせるかもしれない。そう思われたのが一つのきっかけだったんですね。

やまさきさん:しばらくは、デザイナーと料理人の2軸で働いたのですが、結局どっちつかずで。なんだか中途半端な道を辿っている気がしていました。

まずは、がっつり飲食で働いて考えを出そうと思って。いくつかの飲食店働いて30代後半。当初のフードコーディネーターのことはすっかり忘れ、飲食業にハマり、今のお店は自然な流れで開くことができました。

- - なるほど。では、のひのひはどのようなお店なのでしょうか?

やまさきさん:野菜を中心としたお料理と、それに合う焼酎や日本酒、ワイン、自家製の果実酒が楽しめるお店です。
中目黒はお肉をメインに扱うところが多いですが、うちでは野菜をメインにして、忙しい方でも、健康でいられる料理を届けたいと思っています。

- - この場所はみんなの健康を担う場でもあるんですね。では、日頃からどのような方々が来店されている印象ですか?

やまさきさん:仕事帰りに立ち寄ってくれる方や、飲み会終わりに来て飲み直す方が多い印象です。最近は、家族連れの方の来店も増えてきました。いつもは仕事帰りに一人で来てくれる方が、休日に家族を連れて来てくれるんですよ。

- - 休日にはお父さんになって戻ってきてくれるんですね。ちなみに、野菜はどのように仕入れているのでしょうか?

やまさきさん:八百屋さんから直接仕入れたり、知り合いの生産者さんから送ってもらったりしています。
お店で使う料理用以外にも、お客さんがお土産として持ち帰れるように、販売用にも仕入れています。
実は、どんな野菜が届くかは、届いてからのお楽しみなんです。私自身、毎週異なる野菜が届くのを心待ちにしていて。「どんな料理を作ろうかな」と野菜を見ながら献立を考える時間が、私にとってはたのしい時間です。

- - まさに、野菜を料理(デザイン)されている印象を受けました。お酒はカウンターにずらっと並んでいますが、どのような種類を取り扱っているのでしょうか?

やまさきさん:種類は幅広く、焼酎、日本酒、ワインを中心に取り扱っています。あとは、自家製で果実酒を漬け込んでいます。


狭いお店あるあるかもしれませんが、よく隣の人がワインを飲んでいると、その隣の人もワインを頼む傾向があるんです。それでお客さん同士の会話も生まれたりして。お酒のボトルは会話のきっかけになるようにと思って、あえて見える位置に並べています。

第二の家

- - 最初はどのようにしてお客さんができていったのでしょうか。

やまさきさん:最初は前の仕事場のお客さんが通って下さり、その方々の口コミで認知が広がっていった印象です。
開業当初はInstagramもなくて。常連さんが友人を連れてきてくれたりして、徐々にお客さんが増えていきました。
そういった意味では、身内が集まる居心地の良い場所になっていきましたが、少し閉鎖的な雰囲気もできてしまって。ですが、Instagramを始めてからはいろいろな方に来てもらえるようになりました。

- - SNSの活用で幅広い層の方々にきていただけるようになったんですね。では、このお店をどんな場所にしたいと思っていますか?

やまさきさん:第二の家のような場所にしたいです。

最近では、常連さんが「この本、〇〇さんに返しておいて!」って言って、お店に本を置いていったりして。そんな使い方もしてくれるのも嬉しいです。ふと思い出して立ち寄りたくなる、ここに来たら少し元気になる。そういう場を目指したいです。

長く居れる街

- - 開業の地に中目黒を選んだ理由について教えてください。

やまさきさん:もともと働いていた飲食店が代官山にあったので、近場での開業を考えていました。当時お世話になった方々が足を運びやすいようにと思って。
知人が中目黒で雑貨屋さんを営んでいて、よく遊びにも来ていて馴染みがありました。お店ができた時は、新たに帰る場所ができた気がして嬉しくなったのを今でも覚えています。

- - のひのひは開業してから10年以上経っていますが、当初と比べると街はどのように変化したと思いますか?

やまさきさん:開業当初と比べると、駅周辺がガラッと変わりましたね。20代くらいの方が増えた印象があります。ですが、ここは住宅街の端っこなので、これまで特に大きな変化はなくて。細く長くやっていくには、よい場所だと思います。 少し奥に入ると昔ながらのお店や会社、住宅もたくさんあって昔から暮らしてる方々もたくさんいて、アットホームな街の部分もまだまだあるんです。

すべては健康から

- - 店舗としての展望について教えてください。

やまさきさん:だいぶ先にはなりそうですが移転を考えています。お子さま連れの家族でのご利用や、階段がつらいお歳のかたも気軽に来れるような場所があれば良いなと。もし良い場所があれば、是非ご紹介いただきたいです。

- - 最後に、自身として掲げている目標があれば教えてください。

やまさきさん:できるだけ健康で在り続けたいと思っています。心身ともに健康でなければ、お店を続けることはできません。立ち仕事なので、足腰が丈夫でないと困るし、鼻も利かないと、料理に支障がでます。わたしがまず元気でいることが一番かなと。 いらしてくださるお客さんもわたしも、ここでの時間が健康につながるようであればいいなと思います。


のひのひ

OPEN = 16:00~23:00〔月曜日-金曜日〕 / 15:00~23:00〔土曜日〕
Adress = 東京都目黒区上目黒3-16-4 長岡ビル3階
Regular holiday = 日曜日
Instagram連載記事「おいしいおはなし」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?