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読書力の規準は「新書50冊、文庫100冊」 ~「読書力」齋藤孝より【中学入試の国語対策】岩波新書を読む

 齋藤孝さんの「読書力」は、2002年に岩波新書として初めて出版されました。出版当初は、全国の公立高校の入試問題として取り上げられるケースをよく目にしました。

 この本は、もう出版から20年近く経っていますが、小中学生に繰り返し読んでもらいたい名著と言えるでしょう。
 趣味は読書という若者に読んでいる本を詳しく聞いてみると、ほとんどがコミックなどのマンガ本だったりします。彼らにとっては、マンガ本も「書籍」なのです。
 欧米では「コミック」と「ブック」は、まったく別のジャンルであるとされています。その証拠に、コミックはブックストアでは扱われません。コミックを購入したければ、ドラッグストアに行く必要があります。
 このように、コミック(=マンガ本)は書籍に含まれないということを、若者に教えてあげるところから始めなければ、読書について話すことができないのです。

 読書の対象となるのは、あくまでも「書籍」です。それもハードカバーの本が原則となります。作家や大学教授にとって、ハードカバーの書籍を出版することが一つのステータスとなります。大学で使用される基本書や学術書は、ほとんどがハードカバーです。このように「書籍」を出版することが知識人の最低条件と言えるのです。
 小中学生は、このような原則をまず認識する必要があるでしょう。

 齋藤孝さんは、読書力の条件として一つの規準を設けています。それは「文庫100冊、新書50冊」というものです。

そして、「なぜ百冊なのか」については、次のように述べています。

 小学生の場合、文庫や新書の小さな文字に慣れさせることから始めないといけないでしょう。
 その際に効果的なのが「視写」(=一字一句その通りに写し取る練習)です。これは、一見簡単なように思いますが、いざやってみようとするとなかなか出来ません。一行とばしてしまうのは当たり前、ともすると同じ行を三回も書いていたりします。
 受験をしない小学生にとっても、『天声人語』(約600字)の視写が効果的であることはよく知られています。国語力の向上のために、一度トライしていただけると、その効果に驚くことでしょう。
 「視写」が出来るようになったら、次は「要約」をしてみてください。まずは、200字の要約から始めるとよいでしょう。しばらく続けていると、その練習の効果に驚くことになるでしょう。
 以前、指導していた六年生に、夏休みの40日間、「毎日一本、200字の要約をする」という課題を出したことがあります。
 この課題を40日間しっかりとやり遂げたその生徒は、8月31日の模試で偏差値を15ほど上げることに成功しました。
 「文庫100冊・新書50冊」という目標は、取り組む前は超えられないハードルのように感じてしまうかもしれません。しかし、40日間200字の要約を実行した生徒と同様に、1冊ずつコツコツと継続していくことで、気がついたら達成していたという状態に必ずなれます。
 まず、国語力の向上のために、考えることなく、本当の意味の「読書」に取り組むことから始めて欲しいと思います。


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