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クリエイターのために考えるプロセスエコノミーとパーソナルエコノミー

クリエイターがファンを集めるにはどうしたらいいのか?ということについてずっと考えてたんだが、答えが見えそうで見えない瀬戸際だったので記録しておきたい。

ちなみにクリエイターってのはTikToker、YouTuber、アーティスト、インフルエンサー、ブロガー、活動家、イラストレーター、美容師など多岐にわたる言葉を指している。

そういう人たちが活躍するためには一体何が必要なのか考えると、最近だとプロセスエコノミーという言葉が浮かんでくるかもしれない。

プロセスエコノミーとは活動や制作の「過程」(プロセス)をさらけだすことで、ファンが根強いファンに変わってくれるというメリットがあるものだ。さらけだすという言葉はおかしいかもしれないが、普段ファンや一般人がクリエイターの見せていなかった部分を見れることによって仲間意識を持つようになること。つまり今までのような「クリエイターとそれ以外」という壁をなくすことによって深いコミュニティを生み出す。それがプロセスエコノミーと言える。

例えば西野亮廣さんや中田あっちゃんやオンラインサロンで有名な人たちがやっていることがまさしくそれだ。自分の活動をサロンメンバーの人たちと一緒にやっていって、仲間意識をつけている。

これは著名な人たちのやり方だ。ではクリエイターはどうするべきなのか。

けんすうさんがやられているアル開発室の「00:00Studio」というものが、もろにクリエイター向けのプロセスエコノミーという感じになっている。イラストを書いている作業風景をライブ配信したりするようなサービスだ。

さて、このようなプロセスエコノミーで本当にクリエイターはメリットを得られるのだろうか?その辺を考えていきたい。

クリエイターにとっての一番の目標はやはり自分の作品を収益化させることだと思う。そのために「作品を見てもらう」「有名になる」「ファンになってもらう」「お金を払ってもらう」という要素があるはずだ。作品に対してお金を払ってもらうということだけがゴールなのであれば、プロセスエコノミーの要素はそんなに必要ないはずだ。プロセスエコノミーだけで稼げるわけではないから。

しかし例えば音楽アーティストの場合だとどうだろう。

アーティストが作品という「楽曲」でお金を稼ぐことは非常に難しい時代になっている。これはデジタル時代のせいでありずっと言われてきていることだ。ということは作品以外で稼がないといけないわけだ。物販やライブがそれにあたる。そしてこれにプロセスエコノミーを加えるとどんな化学反応が起きるだろうか。

アーティストが作曲中の風景をファンのみんなとライブ配信でつながり、ファンとのやりとりもして、ファンからのアイデアも取り入れて一緒に作曲したりしたら面白そうではないか。

ファンが面白い歌詞を言ってくれたり、メロディをくれたりするかもしれない。もし自分のアイデアがその曲に含まれたとしたらファンにとっては最高の経験になるはずだ。ファンじゃなかった人でもその作曲に関われただけでファンになるだろう。その人にとって一生忘れない曲になるはずだ。

このような「作曲作業中ライブ配信」を有料サブスクにしたりすることで稼げると言う仕組みだ。そういうことを「00:00Studio」はいずれやってくれるのかもしれない。

サブスクといえば、有名アーティストが稼いでるものの中に「ファンクラブ」というものがある。ファン限定で何かしらを提供するという仕組みなのだが、それに近いだろう。ファンクラブの中に上述したプロセスエコノミーの仕組みを入れるだけでもいいかもしれないな。

こうやってプロセスエコノミーのことばかり書いてみたが、自分の中ではプロセスエコノミー自体もクリエイターにとっては「パーソナルエコノミー」の中の一種だと考えている。

パーソナルエコノミーとは、自分自身が生み出せるコンテンツ全てをちゃんと表現することによって、自分という存在や価値を伝えて根強いファンを作るやりかたのことだ。

「自分自身が生み出せるコンテンツ」とは作品だけのことではない。その人の趣味や日常のことなど全てのことである。つまりパーソナルな部分を表現することが大事になる時代に入るってわけだ。

ちょっと前の時代であれば何かしらの作品がバズれば人気者になっていた。TikTokが流行り、YouTuberも当たり前になり、Clubhouseでちょっとしたインフルエンサーがかなりフォロワーを簡単に稼げるようになったので、もはやコンテンツ量は無限であり、常に新しく面白いものを見ることができる時代なのだ。

そんな時代になると、今日バズったコンテンツは明日には忘れられるということになる。もちろんその作者のことも覚えてはいない。こんな世の中ではいくらクリエイターがコンテンツをがんばって作ったとしても、消費者にとっては日常に無限に湧いて出てくる面白いコンテンツの中の一種に過ぎないと思われてしまう。

例えば自分でも経験があるのだが、ツイッターで流れてきたコンテンツでめちゃくちゃいい歌声をしている子を見つけた。顔出しもしているのだが、ギターで弾き語りしてるコンテンツしかない。歌声が良かったからフォローしたのだが、その先がなかったのだ。良いと思ってフォローしただけで終わってしまうのだ。

その子のことはその弾き語り動画以外何も知らないから次の行動に移れない。これではその子にとって機会損失でしかない。ただのフォロワーを10万ゲットするより、お金を払ってくれるような根強いファンを100人つけた方が良いと思う。

だから作品だけ伝えてもこの時代生き残るのは難しいよねっていうことになる。もちろん作品がものすごいクオリティであり人気を博している上位2割の人たちにとってはこの話を気にする必要はないだろう。しかしここではそれ以外の8割のクリエイターについて考えたい。

スマホ一つで簡単になんでも生み出せる今のおかげで一億総クリエイター時代となるのは目に見えているのだから、どうせならこれからクリエイターになるんだと言う人のために考えていきたいのだ。

パーソナルエコノミーによってクリエイター市場が楽しくなるはず

今まではクリエイターといえば「作品」が主。そして今ではプロセスエコノミーという考えも出てきているが、これからはパーソナルエコノミーではないのか。

例えば音楽アーティストなら先ほど言ったプロセスエコノミーの「作曲風景ライブ配信」もパーソナルエコノミーの一種だ。

他に考えられるのは、例えばそのアーティストの「好きな曲」である。自分の好きなアーティストがどんな曲を聞いているのか、どんな曲に影響を受けてこんな曲ができたのか、この人の曲の趣味ってなんなんだろうか、などなどファンが知りたい要素はたくさんある。

それをアーティスト自身が投稿なりなんなりで発信することによってファンはそのアーティストの知られざる部分を知れることになるのだ。

例えば今どきの「三月のパンタシア」や「yama」や「ヨルシカ」や「ずっと真夜中でいいのに」なんかは顔出しせずにミステリアス感を醸し出していた。そんなミステリアスなアーティストが影響を受けた曲などを知れるとアハ体験に繋がるわけだ。そして興味を持ってファンになる可能性が大きくなる。

もちろん、曲以外何も発信しないでミステリアス感を出すというコンセプトであれば何も発信しなくてもいいと思う。そこは消費者の反応を見ながらやっていけばいい。しかし最終的にはパーソナルな部分を見せないと本当のファンはつかないと思う。もしパーソナルな部分が人に見せられるようなものでないのならそれは見せないで欲しいw。

しかし人は人を好きになる生き物だ。人柄が見えるものに惹かれるのが世の常である。それを大前提としてパーソナルエコノミーが存在しているのだ。

パーソナルなことは好きな曲以外でもなんでもいいのだ。好きな映画とか趣味とかなんでもだ。

自分が気になっているアーティストが、楽曲制作以外にも取り組んでる趣味を持っていたとしたらかなり気になるものだ。

それが自分の趣味と一致していたとしたら確実にファンになってしまうだろう。例えば、別にそんなに好きでもない有名人がいたとして、その人の誕生日が自分と一緒だと知ったらどうだろうか?きっとその人を見るたびに誕生日一緒なんだということを思い出すだろう。これは共通なんちゃらというやつで、当たり前だが人は共通する点がある人を贔屓して見てしまうのだ。

このようにアーティストはファンとの共通点をいくつも作ってあげることが根強いファン作りの方法となる。

その共通点は作品だけでは不可能だ。だからかわりにパーソナリティを発信する必要が出てくると言うわけだ。趣味や他の活動をだ。

しかし注意しないといけないのは、アーティストのプロフィールに趣味釣りです。とか書いてあるようなものでは全く意味がない。本当のパーソナリティを発信するというのは、もし釣りが趣味なのであれば、釣りをしている動画や、釣った魚の写真集(インスタとか)を発信しないと消費者には伝わらない。そして動画を見た人が「意外とお茶目なんだ」とか、その人の人柄を知ることもファンになってくれる要因となる。

逆に釣り好きの人がこのアーティストを釣り関連で知ることもあるだろう。そして「あ、この人釣り人じゃなくてアーティストなのか」と逆流入してくれる場合もある。良いことづくしではないか。

しかし現状はそういうことができるプラットフォームがない。プロセスエコノミーなら「00:00Studio」がある。しかしパーソナルエコノミーに適したプラットフォームはなさそうだ。もしあるなら教えて欲しい。

なさそうなので自分でもパーソナルエコノミーに適したサービスを開発中だなのだが、開発に関して何が難しいってこのパーソナルエコノミーの良さをうまく言語化できないというところ。

今回4000字近く書いたが全然伝えたいことが伝えられていなかった。きっと読んだ人はそんなに理解してくれないだろうな。自分でもこれじゃ伝わってないと思うくらいなんだから。

だから諦めて今日はおしまい。

最後に

匿名の2ch時代から実名が当たり前に変わり、そしてネット上で顔出しすることが当たり前になり、その時代にインフルエンサーが生まれた。ブロガーも顔出ししてインフルエンサーになっているし、インスタやyoutubeのインフルエンサーは自分を写すことが当たり前だ。だからこの次の時代はもっと自分をさらけだすパーソナルエコノミーに挑戦してみたらどうだろうか。

インフルエンサーにはプロ意識があるがゆえ、だらしないところや変なことは発信しないというのが当たり前だ。しかし昔なんかは顔出しなんてあり得ない時代だった。だからきっと次の時代では今の当たり前が逆になるかもしれない。

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