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【行政書士_家族法務】氏を変えるとき、アイデンティティを考える。

 先日、『行政書士のための新しい家族法務 実務家養成講座』(渡邉 愛里 著 竹内 豊 監)を通読しました。
 その際に選択的夫婦別氏制度に触れた箇所を読んで、ふと思い出したことがありましたのでお伝えしたいと思います。

 わたしは約2年前に離婚しましたので、今は結婚前の氏に戻っている(復氏)のですが、結婚当時、いざ婚姻届を提出するというときになって、なんだかもやもやとするような違和感があったのを思い出しました。

 なぜ当たり前のように、わたしが氏を改めなければならないのか、本籍地が県外の夫の実家になるのか、ということを納得することができないまま、区役所を出た後も、ずっと不愉快な気持ちが澱のように残り続けていて、とても新婚気分ではなかった記憶があります。

 当時のわたしは、夫の氏を名乗ったり、本籍地が夫の籍があるほうへ移動したりすることで、今まで育った家族やいえ、環境、これらを含むアイデンティティそのものが失われるような気持ちになったのだと思います。
 そしてこの気持ちは、おそらくわたしだけが感じるものではなく、氏を変える当事者にしかわからないのではないだろうかとも思います。

 その後、職場では旧姓を名乗り、対外的にも旧姓で仕事をしていたので、離婚時の復氏についていえば、仕事上での煩わしさはほとんどなかったのですが、それでもやはり銀行口座、運転免許証、パスポートなどの氏変更についての様々な手続きには、本当にうんざりしました。
 氏を変える側にとっては、このようにいろいろと煩雑な手続きを経なければならないことや、それにまつわるコストを考えても、どうにも納得がいかないし割に合わないと、結婚時も離婚時も思いました。

 令和4年は婚姻した504,930組の夫婦の内、94.7%(478,199組)が夫の氏を選択したという夫婦の姓に関するデータがあります。(内閣府ホームページ、男女共同参画局ホームページを参考)

 もちろん、夫の氏を選択するというところには、数字上のデータからは読み取れない様々な理由があると考えられますが、当時のわたしの場合を思い返すと、氏の選択について、夫との間に、十分な議論や理解、共通認識があったのならば、もしかしたら自分の選択を受け入れたり、婚姻届提出のときに感じた違和感を回避できたりしたかもしれないと思います。(氏変更手続きの煩雑さは回避できませんが・・・)
  
 選択的夫婦別氏制度の導入には、今後も慎重な議論がされることかと思いますが、わたしは賛成派として、これからもこの制度の在り方に向けた取り組みを見守っていきたいと思います。

 本日も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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