ケニアの若者は叫ぶ
こんにちは。
ケニア情勢が不安定な状態のため、在宅勤務という形をとっています。
とはいえ、仕事は現場にあるので、少し手持ち無沙汰を感じています。
今回は、不安定なケニア情勢の背景にあるもの。全国レベルの抗議運動にまで発展し、SNSで発信・拡散しながら世論を動かしているケニアの若者に注目したいと思います。
#RejectFinanceBill2024を掲げるスローガンがケニアのSNS上でトレンドになっています。さらに、ケニアの大手紙『DAILY NATION』は、「FINANCE BILL CRISIS」という特集の中で連日、ニュースを取り上げています。
「財政法案2024」が下院で可決した昨日の6月25日を境に、全国的な抗議運動は、局地的に過激化しています。特に、首都ナイロビでは、デモ参加者と警察の衝突の末、死傷者が続出しています。
デモを扇動しているのは、「GEN Zoomer」と呼ばれる若者グループです。
日本語の「Z世代」にあたります。日本と比較すると、ケニアは若年層が分厚いため、SNSユーザーが多く、デジタル・コミュニケーションが非常に盛んです。不特定多数という不気味さに加え、ケニア社会で地位を確立している宗教・部族グループと違い、明確な指導者がいないのが特徴です。その代わり、「インフルエンサー」と呼ばれる人たちがいます。
(ちなみに、ケニア人の友達によると、その人の発信に対して、「いいね」や他の人と共有したくなったら、インフルエンサーになるらしいです。)
今回は、財政法案に対するデモですが、他にもケニア社会の「伝統的」な価値観や慣習にNoを主張するなど、新しい世代が様々な現場で変化を起こそうとしています。
また、紛争地域のウクライナやガザなどの状況に合わせたビジネスモデルに切り替えるといった、国際社会での立場を反映させようと、協力が多面化しています。
当然ながら、「GEN Zoomer」も一枚岩ではありません。複雑なネット社会は、一般的に「誰」の部分が隠され、情報源が曖昧になります。しかし、ケニアでは「誰」が情報源となって発信し、「誰」が賛同し、「誰」が否定的なのか、見えやすいです。どちらにしても、何かを抗議・主張するならば、「誰」の部分をはっきりさせるのが、合理的な考え方のようです。
(たしかに、ケニア人との議論・話し合いの場面で、誰の話をしているのかと聞かれたことがあります。)
今回の財政法案に対する抗議活動の発端は、あくまで財政法案にあるべきです。新聞の見出しにあった共通の敵とは、法案を可決した議会に属する議員・政党を指しています。個人的な感覚ですが、時間の経過とともに、抗議の根拠が曖昧になってきている気がします。それは、下のいくつかのトレンドワードが示すように、抗議活動が進む中で起きたイベントに対する反応に変わってきていると感じたからです。
X(旧Twitter)では、Top Trendとして以下のメッセージが多くのケニア人の間で共有され、共感を生んでいます。
「StopKillingus」「#RejectFinanceBill2024」「Tutapane Thursday」「Deployment of KDF」「We SHALL REVISIT」「WE WILL NEVER FORGET」
明日、27日は財政法案2024の署名日になります。ルト大統領は、署名せずに延期するといった報道が出ていますが、SNSでは、「GEN Zoomer」を中心に、「Kesho」「#ROADTOSTATEHOUSE」のもと、再び抗議活動を呼びかけています。
首都ナイロビに住む私も、まだ在宅勤務になりそうです。引き続き、抗議活動の行く末を見守りつつ、情報発信できたらと思います。
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