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それでもやはり、意識せざるをえない(小野美由紀のマガジン)

作家小野美由紀によるエッセイマガジンです。タイトル通り "それでもやはり、意識せざるをえない” 物事について、月に5-10本程度配信します。日々のエッセイ、恋愛、性愛、家族、また… もっと読む
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2018年7月の記事一覧

黄熱病と事実婚

黄熱病と事実婚

7月4日

外国人の友達たち数人と飲む。

イタリア人にニヤニヤしながら「チンチン(伊語で乾杯の意)好き?」と言われそれセクハラだよと返したら「日本もうちも女性軽視の国だし大丈夫でしょ」と言われ情けなくなるなど。

「んな同盟結んだ覚えはねぇし、我々がドイツに遅れてんのはそれが原因だ」っつって返す。

この友達は日本と中国の外交を研究しているスーパー頭の良い研究者で、日本語もペラペラだし、私がこう

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文章を"ウェブのレベル"に合わせない

文章を"ウェブのレベル"に合わせない

群像8月号に随筆「同性と初めてキスした時のこと」が掲載される。
あの群像だということで、かなり、かなり、かなり気合いを入れて書き、筒井康隆御大やら長野まゆみ閣下やら瀬戸内寂聴大先生やらに並んで自分の名前があるのを見たときには喜びのあまり嬉ションしそうになったのだが、ページをめくってほかの作家さんたちの作品を読んだ途端にその嬉しさはあっという間に引っ込んでしまった。

レベルが違いすぎる。
こんなこ

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おっさんとは「想像力を失った人」のこと

おっさんとは「想像力を失った人」のこと

「やる気あり美」の太田尚樹くんと、編み物作家でLIFE KNIT理事の横山起也さんと、この秋に成蹊高校で行うダイバーシティについてのトークイベントの打ち合わせに。

会話の途中、太田くんが「"おっさん"とは想像力を失った人のことだと思うねん」と言った。

「相手がどうしたら気持ちよく過ごせるかとか、自分とは背景の異なる種類の人間がどんな風に生きているか、何を思うかについて考えるだけの想像力と、”わ

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コミュニケーション完全不全日記

コミュニケーション完全不全日記

6月5日

トークイベントに登壇することになったが、何一つ話すことが見つからずに途方に暮れる。

どうしよう。

そもそも、私は一人で話すのにめっぽう弱い。誰かにサポートしてもらわなくては、「あいうえお」の「あ」すらも自ら発話することができない。だいたい、人間一人きりで発話するようにはできてはいないのだ。相手があってこそトークというのは成り立つのであり、街中で一人で話し続けている人がいれば誰もが避

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じいさんとヤバい出会い系サイト

じいさんとヤバい出会い系サイト

「じいさんとハッピーメール」の回で話題にした、幸村先生(74歳)からメールがある。
「今日はね、未亡人とデートなんだよ。楽しみだなあ」
「なんでも保険が入るから豊かなんだそうだ。銀の鈴で待ち合わせなんだよ」

幸村先生は、数週間前に「ペアーズ」で40代独身の女社長(実在する有名な会社の)とマッチングしてヒカリエでデートしていたので、ふーん、あんがい出会えるもんなんだなあと思いながらしばらく放置。

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誰もがすなるマッチングアプリと言うものを

誰もがすなるマッチングアプリと言うものを

 最近、猫も杓子もアプリアプリアプリ、友人知人からの「マッチングアプリで知り合って結婚した」「彼氏ができた」という報告が止まない。本当にアプリなんかで恋に落ちることは可能なのだろうかと疑いつつ、誰もがすなるなら、と興味本位で登録してみた。

が!これが意外に大変、まず、最初に長い長いプロフィール欄を埋めなければならない。

年収学歴出身地、「結婚したいか」「子供は欲しいか」「酒は飲むか飲まないか」

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