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なくす・たばねる・ばらす      効率化の三つのキーワード⑵

 前号では物流部門の業務効率アップの取り組み、前編を 紹介させていただいた。229 号はその後編である。前編では、 ちゃんとやろう、で乗り切ろうとしたが、ちゃんとやることでは問題 は解決していかない。この現実への向き合い方を変えることで解 決への糸口が見えてきたと触れた。

 「ちゃんとやればできる」で はなく「なくす」「束ねる」「散らす」作戦での問題解決である。  

 業務効率化の三つのキーワードは三つある。一つ目が「なく す」。二つ目が「束ねる」。三つ目が「散らす」。効率アップ を考えれば、その業務自体がなくなる方法を選択するのがよい。 効率化による空けられた時間は、より価値の高い仕事に振り向 けられるからだ。  

 どうだろう「なくせることが効率的」と、どれだけの人が考えて 効率化を図っているだろうか。フロント業務をなくすというホテルも ある。行き過ぎのようにも思えるが斬新である。  

 二つ目は、どうしてもなくせない業務の場合に考える「束ねる」 という着想である。一極でその業務を集中して行ない、効率アッ プを図っていくやり方である。セントラルキッチンに優秀なシェフや 料理人を集め、料理のおいしさと効率アップを図っていこうとして いるホテルなどがその一例だろう。

 三つ目、一極集中によってボトルネック(ある一定量たまると 前に進まなくなる状態)になるのをさけるため、もしくは、一極で 集中することができない場合に、各所で業務を分割して少しず つ担って遂行するやり方である。チェックアウト時間の行列を避 けるため料飲部門で朝食をとっている間に清算をすませるホテ ル、フロントの人が夕食時はレストランに入るなど、ピークにあわせて人が移動するシフトをとっているホテルが「散らす」の事例と 言えるだろう。  

 とある会社の物流部門に戻ろう。前回注文した商品は、いつ 納品になるのか。今、この商品を注文した場合の納期はいつに なるのか。物流仕入れ部門の業務推進を止められてしまうのは 「営業マンからの納期確認の問い合わせ」が主であった。当然、 一覧表に、おおよそのガイドは示している。しかし、たまに、その 通りに運ばない注文もあるために確実な回答したい営業マンから の電話はかかってくる。

 「なくす」には、システム投資が必要になるので 2 年後だ。次 に検討するのは「たばねる」。どうすれば「束ねる」ことができるか。 行きついた答えは、全営業マンから問合せを一括して回答して いく方法であった。なんだ、そんなことか、と思われる方もいるか もしれない。しかし前提にある「担当者が答える」を変えなけれ ば出せない答えである。そして全一万アイテムに応えていける仕 組みは、現状のオンラインシステムを工夫すれば、なんとかなりそ うだ。  

 もう一つ解決していかなければならないのは、問い合わせに 答えるは面白味にかけるし疲れるという問題だった。そこで第三 のキーワードである「散らす」を考えた。もうお分かりかと思うが 一人 60 分で、電話対応を変わり同じ仕事をし続けることでの効 率ダウンを回避した。「なくす」「束ねる」「散らす」。 効率化のキーワードは、使い勝手 がよさそうだ。

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