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子どもの継続力を高めるAARサイクル

 先日子どもに学ぶことの良さや、自学を習慣にすることの良さ、自学の方法を話しました。すると、子どもたちは、「先生勉強のやる気がでました!今日から遊ぶ時間も勉強の時間にあてたいです!」とやる気に満ち溢れていました。子どものやる気エンジンはすごいですね。しかし、それを継続させるとなるとなかなか難しいですよね。そこで、今日は「三日坊主を克服するために」というテーマで、お話をしていきたいと思います。

「三日坊主を克服するため」の大前提

 まず前提として、「三日坊主は人間にとって当たり前の現象」です。それは、ホメオスタシスやエネルギー保存、防衛本能などの理由からくるものですが、ここでは詳しい説明を省かせていただきます。とにかく、人間にとって新しいことや異質なこと、自分にとって苦痛に感じることは、脳が勝手にストップさせようとするんです。 
 ほぼ100%の人が経験したことのある三日坊主。それなのに、この世の中では「三日坊主は悪いことだ」という認識を持ってしまうという不思議な現象が起きています。実際にうちのクラスでも、「三日坊主を経験したことある人!」と尋ねたらほぼ全員が手を挙げたのにも関わらず、「三日坊主が悪いことだと思う人!」と尋ねると、これまたほぼ全員が手を挙げるんです。まずは三日坊主について正しく理解しなければなりませんね。脳科学の研究からしても、人が三日坊主になることは自然な現象であることが明らかになっています。この前提があることが、「三日坊主を克服するために」非常に重要なことです。

「三日坊主を克服するため」のAARサイクル

 人間にとって自然な現象である三日坊主。では、この「三日坊主を克服するために」はどのように手立てが必要なのでしょうか。その一つの答えとなるのが、AARサイクルです。AARサイクルとは、“Anticipation-Action-Reflection”の頭文字をとったものです。それらを日本語に直訳すると、「見通し、行動、振り返り」となります。この、AARサイクルを回すことで、自分に合った習慣を身につけることができるようになります。つまり三日坊主を克服することができるのです。
 「見通し」の本質は、「予測すること」です。すなわち、心の中でシミュレーションを行うことで、将来を事前に体験する能力であり、予測することで初めて自分が行おうとしている行動がもたらす様々な結果を考慮することが可能になります。この「見通し」をすることで、様々な障壁をあらかじめ考慮でき、三日坊主になることをある程度防ぐことができます。もちろん子ども一人ではできないため、大人の協力が必要になりますね。この時に、「行動」することの目的を押さえておくことも重要になります。
 「行動」はその名の通り、実際に行動に移すことです。「見通し」の段階で、シミュレーションしたことや、考えた目標を元に、実際に行動してみます。
 「振り返り」では、自分自身の行動を客観的に評価します。この時、「行動」が本来目指したような形で行われたかどうかを客観的に振り返ります。自分自身の行動を客観的に捉えることで、課題や課題解決方法が見つかり、また新たな「見通し」が生まれます。これがAARサイクルです。
 このようにAARサイクルを回すことによって、三日坊主を子ども自身の力で克服できるようになるのです。実際に私の妹(中学校1年生)にも、このAARを使って生活習慣の見直しを行いました。最初のAARサイクルは、1週間で回りました。なぜなら、最初の「見通し」は一週間も続かないような無理のあるものだったからです。ここで妹は、自分自身のことを客観的に理解するようになっていきました。そして、「スマホを見るとダラダラする自分」に気づき、「ご飯を食べた後、そのままスマホをリビングに置いておく。」などのルールを自分から作るようになったのです。大人はダメ出しをするのではなく、子どもに「振り返り」の機会を与えることで、自律した行動選択を促すことができるんですね。AARサイクルを回して、子どもを「三日坊主から克服」させてあげましょう!
 
 今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。子どもが三日坊主を克服し、学習者として自立することができるように共にAARサイクルを回していきたいと思います。

 〜参考文献〜
 「OECD Education2030プロジェクトが描く教育の未来」、白井俊、2019
   「自律する子の育て方」、工藤勇一、青砥瑞人、2021


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