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きょうは旗の日

とある飼い主さんが、わたしの往診の日を
「旗の日🚩」と表現して
SNSに投稿してくださっていました
「旗の日」ってなんでしょう?
続きを読んでみてください。

開業当初いちばん苦労したこと

それは往診先で鍼の紛失をどうすれば阻止できるかということでした
わんちゃんもねこちゃんも、身体に何かがくっつくと、とっても気にしますよね。
ブルブルっと体を震わせれば、びしょ濡れの身体も水を吹き飛ばす威力があるのは皆さんもご存知のはず。鍼なんて一気に抜けちゃいます。
往診先には他のわんちゃんねこちゃんだけでなく、例えばヒトのお子さん赤ちゃんもいらっしゃるご家庭もあります。鍼は1本たりとも、ぜっっったいに無くしてはいけないのです。ぜっっっっっっったいに!です。

動物の治療は、人のように
「動かないでね」って言ってもなかなか聞き入れてくれません。
わかってくれる子もいますがたいていは
ヤダ!と言われます。
普通の動物病院では
普段は優しい看護師さんが
信じられないくらいの力でガッチリ保定してくれるのでほとんどどんな処置でもできますが、往診で鍼の治療はそうとも行かないですし、まず動かないように押さえつけることが良いとも限らないと考えました。

気虚(生きものが生きものとして生きるためのエネルギーである「気」が減っている状態)の進んだ患者さんばかりであれば、鍼治療も受け入れられやすく動きも少ないですが、
若くピッチピチの患者さんは、必ずしもそうはいきません。
時に動いてしまうことに対して、飼い主さんが動物を叱りつけて抑えようとしてしまうことも。
それでは治療の効果も著しく損なわれてしまいます。
ストレスがかかるということは
気の流れが悪くなる「気滞」が起こりやすくなるためです。

マスキングテープでフラッグ状に

そこでマスキングテープでフラッグ状に目印をつけることにしました。
当初は自分の鍼の腕前が悪いから抜けてしまうのではと、結構深刻に悩みましたが、良くなっていく動物たちをみてると、そんなんカンケーないね!と思えるようになりました。
そして治療中は過度の保定などはせず、ほぼフリースタイルです。
それを可能にしたのが「旗🚩」ですね。

鍼の旗には思わぬ効果も

「さあ、今日もいっぱい旗立ててもらおうね〜」
「お子様ランチみたい!かわいい〜」
「先生、今日はこの子誕生日なので、特別な旗にしてください!✨」などなど
病状にかかわらず診察に話題と笑顔をもたらす欠かせぬアイテムとなりました。
病気があるととても辛く暗い気持ちになりがちです。
でもこの旗のおかげで
お話が弾んだり
治療そのものが楽しい気分でむかえられたり
この方法を取り入れた当初は
苦肉の策と思っていたのに
とっても良い効果がありました!
12月はクリスマスカラーも取り入れていました。
飼い主さんも思わず笑っちゃう可愛さです。

旗が広がるかな?

Instagramなどでいろんな国の動物鍼灸の鍼治療風景を目にしますが、こんなに面倒くさいことをしているのは今のところわたしだけかなぁと思います。
そして当初の目標通り鍼の紛失はゼロです。

2021年12月に
日本ペット中医学研究会
という研究会の会報の記事依頼をお受けした時に
「鍼の旗」について掲載していただきました。
いままでInstagramなどでおんく堂の鍼治療を投稿された飼い主さん同士が
「もしかして同じ鍼の先生なんちゃう⁈」って気づいてしまうくらい、
おんく堂の印みたいな旗の鍼ですが、
記事を読んでくださった獣医さんで
もしこの「鍼の旗」が心に響いた先生がいらっしゃったら
旗の日投稿が他の地域でも増えてくるかもしれないですね。

profile
どうぶつのホリスティック専門病院おんく堂
萩原未央(はぎはらみお)
日本大学動物資源科学科および獣医学科卒業(解剖生理発生学(生体機構学)・野生動物医学)
卒業後沖縄で野生動物の保護管理や環境教育に携わりながら、病院勤務で臨床業務を学ぶ。
娘を出産しその後地元の兵庫へ戻る。
2021年時で動物病院勤務 歴16年。
往診専門の動物病院を開業して7年目。

Chi University(アメリカフロリダ)
認定獣医鍼灸師(CVA)取得
認定獣医漢方薬剤師(CVCH)コース終了
認定獣医食物療法師(CVFT)  コース終了

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