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記憶のなかの台湾旅〜新竹を歩く〜

※これは2019年に一か月かけてゆっくり台湾を一周したひとり旅を振り返ったエッセイです。

屋台村の中の寺院

 夕飯を食べる為に、新竹の中で一番有名な屋台村に足を運んだ。観光地の筈なのに入口がまるでわかりづらく、何度も同じタピオカ屋の前を行ったり来たりする羽目になる。

 やっと見つけた入口は、なんとも狭くて薄暗いシャッター街が奥まで続いており、人の気配も無く、なんとも怪しいな雰囲気だ。本当にこんなところが観光地なのだろうかと疑わしく思う。しかしながらこの手の怪しい暗い路地というものがどうも大好きな私は、わくわくしながら突き進んだ。

暗がりのシャッター街、人通りも少ない

 暗い中を暫く進むと、だんだんと人の気配が近づいてきて、やがて大きな広場に出た。広場には数多くの食べ物屋台が並んでおり、店側のおばちゃんによる客引きの大きな声が響く。やっと人間の世界に戻ってきたみたいでほっとした。イメージとしては浅草の仲見世通りに近い。

 広場の中心には寺院があり、参拝者がちらほら列を連ねている。そんな様子を横目で見ながら屋台の中の一か所からビーフンを注文して、(新竹ではビーフンが有名らしい)そこらへんの席で麺をすすった。日本でも神社などでお祭りなどの屋台が出ていたりするが、祈りの空間と食の空間がここまでシームレスなのも不思議な感覚である。全てが薄暗いのに、騒々しくて、熱気があって、心地が良い。

屋台村の中に現れた寺院
寺院の中から
ビーフンを注文してみた

 ここではビーフンの他にも「牛肉丸湯」というつみれ汁のような肉団子が入ったスープも飲んだ。これも例によってあまり美味しそうには見えづらいものだったのだが、そんな期待を裏切り味はとても美味しかった。台湾グルメは見た目で判断など一切できないものである。

 

台湾のテレビ事情

 新竹のホテルにチェックインした際に、そこで私は少し違和感を感じた。なんだろう、このホテルやけに装飾が派手で男女二人組が多いような…。その理由は部屋に入ると共にストンと落ちてきた。このホテル、いわゆるラブホテルだったのだ。

新竹で一泊した宿
https://www.agoda.com/golden-swallow-hotel/hotel/hsinchu-tw.html?cid=1844104

〇駅から近い、安いのに個室、朝食バイキング付き
×ラブホ感が強い、水回りが薄暗い

 台湾にはラブホテルと平行して営業しているビジネスホテルが多いと聞いていたが、さっそく当たり(ハズレ?)を引いたようだ。折角なので、部屋の中央にあるダブルベットで大の字になりテレビでどういう番組がやっているのか観察した。台北ではドミトリーだったのでテレビはあまり見ることがなかったのだ。(ロビーや休憩室で見ることは出来てもチャンネル権がなかった)
 放映されていたのは大体が日本と同じようなバラエティーだったりドラマだったりしたのだけれど、その中でも一際目を引いたのはよく「知る日本のアニメだった。この時私が見たのだけでもこち亀、ドラえもん、ちびまる子ちゃんといった有名なアニメばかり。字幕もキャラクターが喋っている言葉も中国語なのだけれど、なんとなく内容がわかってしまうのが面白い。

「のだめカンタービレ」の主人公のだめが、留学先の言語を覚える為に好きなアニメの現地版を繰り返し見ていたのを思い出し、あれは確かに効果的な勉強法だったのかもしれない…と狭いラブホの部屋の中でぼんやり思うのだった。


 台湾いとしの甘味

 新竹では他にガラス美術館に行ったり、マンゴーかき氷を食べに行ったりした。

新竹のガラス美術館にて、花や生き物がすべてガラスで作られている
窓が広くて気持ちの良い美術館だった

 ガラス美術館のミュージアムショップでは日本好きだというおばさんがレジ係をしており、私が日本人だと知ると沢山話しかけてくれた。日本にはよく遊びに行くようで東京と大阪に行ったことあるらしい。その売店で買い物をするつもりはなかったのだが、おばちゃんと話した記念目当てに小さな金魚の硝子の置物を購入した。それは今もテレビ台の上に飾ってある。

 マンゴーかき氷はそのおばちゃんに教えてもらった町の有名店で、グーグルマップのレビューも四桁を更新していた。何故か店の奥が昔のゲーセンのようになっていて、遊んでいる人こそいないものの、どこか昭和の雰囲気を感じさせる。店のロゴもなんとなく「飛べ!イサミ」のEDって感じで可愛い。(分からない若人は調べてみてね)

氷にシロップをかけてる様子
店内にあったかわいい電光看板
エモい…

 マンゴーかき氷を味わった後、その後は鉄道で新竹から離れて台中まで行く予定だったのだが、乗ろうと思っていた高速電車チケットが売り切れでおり、二時間程時間を持て余すことになった。新竹を散歩しながら、私は豆花のお店をグーグルマップで探していた。

川沿いの遊歩道が気持ちの良い新竹の町

 豆花とは台湾ではタピオカ以上に最もメジャーなデザートで、冷たい豆腐の上からシロップをかけた、シンプルかつ素朴な甘味である。(たまに温かいものもある)主な材料が豆腐であることから、何故かお腹いっぱいな状態でもつるんと食べられて、ヘルシーなので食べすぎたという罪悪感もない。お店によっては上にタピオカや芋園と呼ばれる芋団子をトッピングしてくれるとこもあるが、私は一番スタンダートなピーナッツをゆでたものが入っているピーナッツ豆花が好きだ。

 新竹の町中の有名な豆花のお店は、珍しいことに生姜のシャーベットがトッピングされており、甘みの中にスパイスが効いていてそれはそれは美味しかった。

カビゴンと豆花(おいし~)

 移動した町ごとにそれぞれの豆花があるに違いない。この旅では毎回豆花を食べていこうと決めた。

当時の日記①
当時の日記②
当時の日記③


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