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持続性ならコメを食おうぜ!

最近、SDGsやらESGやら、たくさん耳にする機会が増えましたね〜。
言いたいことは皆さんあるでしょうが、
今日は実家がコメ農家かつ大学でコメの研究をしていた私から、
「持続性こそお米でしょう!」という話をしたいと思います!

ちなみに「コメ」というのは「食べるための形態」を指し、
「稲」というのは「植物としての形態」を指す言葉です。
ご参考まで。

過去にもお米関係の記事を書いているので、こちらも併せてぜひ〜。


■食用植物の生育と土壌障害

稲をはじめとする食用の植物の生育には大きく分けて3つの
管理点があります。

1.環境条件
2.栄養成分
3.土壌障害

1.環境条件
気温やら湿度やら日照条件みたいなものですね。
ハウス栽培のようなクローズの系でなければ、
なかなかコントロールが難しい外部要因なので、
若干運賦天賦なところありますね。

2.栄養成分
植物の3大栄養素として「窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)」があります。
この3つが植物の正常な生育にとっては重要な要素となります。
ざっくりとした役割としては、
・N:植物体の成長
・P:花弁の開花、花粉形成
・K:光合成に必要な細胞成長
という感じです。

3.土壌障害
これの代表例は“土壌汚染”と“連作障害”です。
土壌汚染はなにも工業排水のようなものだけではありません。
上記のような栄養成分を継続的に投下することでも発生します。
連作障害は同一の植物を同一の土地で毎年生育させると発生し、
植物の病気や感染症を引き起こす原因にもなります。

このような管理点がある資源としての食用植物は
産業として行う以上、環境に対し何らかの負荷をかけていることは
逃れられない事実です。
(そんなこと言ったら、該当しないものなんて存在しないんですけどね。。。)


■稲の生育について

上記のような課題を見たときに、稲がどういうポジションを占めているか、
について考えてみましょう。
※ここでいう稲は所謂“水稲”を前提としています。日本なのでね。

1.環境条件
平均気温が上昇傾向にあるため、コメの産地も北上しているというのは
紛れもない事実です。
一昔前、北海道の稲品種改良の方針は「冷害対策」でしたが、現在は変わっております。一方、西日本でも特級クラスの品種が徐々に開発されてきているのも事実です。
“温暖化対応”という観点では現状、稲は十分対応できております。


2.栄養成分
稲が生育するステップを見ていきましょう。
田植えの後、根を張る期間を終えると、田に水が張られます。
ここで“植物としての成長“が最盛期を迎えます。
使われるのは窒素(N)。これの動態が他の産業植物と大きく異なります。

通常、畑作・陸作で使用される場合、根からの栄養吸収は、
硝酸イオン(NO3-)ないし亜硝酸イオン(NO2-)」で行われます。
ここで厄介なのは、土壌はマイナスに帯電している、という点です。
マイナスに帯電している土壌に対し、電離するとマイナスに帯電している
「硝酸イオン(NO3-)ないし亜硝酸イオン(NO2-)」を投入するとどうなるか?
当然反発します。具体的には、土壌に留まらず、水と一緒に流れてしまいます。
つまり、投入量の全量を利用できるわけではなく継続的に外部から栄養源の投入が必要になるのです。

一方、稲の場合はどうでしょうか。
水作で使用される稲の場合、根からの栄養吸収は、
アンモニウムイオン(NH4+)」で行われます。
マイナスに帯電している土壌に対し、電離するとプラスに帯電している
「アンモニウムイオン(NH4+)」を投入すると、当然土壌中に滞留します。
つまり、よりロスが少ない形で外部からの投入資源を利用できているのです。


3.土壌障害
大豆や小麦のような作物の場合、長くても3年程度で連作障害が発生します。
さらに上記のような理由で畑作においては投入肥料が多く、土壌への負荷も多くなっていきます。

一方稲の場合、連絡障害の発生は理論上2000年くらい、と言われています。
流石に確認しようもないのでしょうが、畑作に比べて土壌負荷が小さいことは明白です。


■稲は最強なのか?

さっきから「稲すごい!」的な話しかしていないので、
少しばかりネガティブな話を。

稲の生育には「大量の水」が必要になります。

日本にいると実感しにくいかも知れませんが、
世界中で農業を展開しようとする場合にまず検討することは
水をどうやって確保するか」です。

日本では比較的潤沢に淡水を得られる環境がありますので、
特に問題にはなりにくいです。
ただ、これ自体は非常に大きなアドバンテージだとも考えられます。
使える資源が多い、ってことですからね。

実際田舎の水田をみても、位置エネルギーを巧みに利用した灌漑設備が
整備されており、結構うまいこと回っております。


■サスティナビリティをいうならコメを食おう!

どんなに意識を高く持とうが、環境に負荷をかけずに生きることなどできません。
そもそもこの概念に疑義を唱えること自体に「けしからん!」みたいな空気感があることには大変納得いかない部分はあります。

ただ、きっと止まらないのでしょう。
この“流れ”ってやつは。。。

で、あるならば、知っていただきたいと思って、
本日の記事を綴りました。

コメは環境に優しいんです。
結構すごいんです!

お米についてはたくさん語れるので、またいつかこんな話を語ってみようかな、と思います!


ご質問等ありましたら、なんなりといただければと思います!

おにぎり紳士🍙

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