新米の食べごろ

63日目。
今日は”お米”のお話。

私は実家がコメ農家(兼業)で、
大学でもコメを研究対象(生物化学)と
していたこともあり、
人よりも若干お米に触れる機会が多かったので、
今日はその辺のお話をば。
少々熱くなってしまいますが、ご容赦ください。

新米の定義とは?

”新米の定義”と言われると、
パッと出てくる人は少ないと思います。

具体的には大きく2つの考え方があります。
①米穀年度基準
②JAS法基準

①米穀年度基準
→米穀は”11月-10月”を基準としているため、
11月以降に収穫されたものを”新米”とする考え方。
②JAS法基準
→当年内に収穫され、年末までに包装された
玄米・精白米
を”新米”とする考え方。

実際の収穫期間としては、
9月~10月である場合がほとんどなので、
①は実態に即していないのが現状です。
ですので、基本的には②の考え方に即して
”新米”の表示がされている
場合がほとんどです。

ちなみに、お米の賞味期限は”精米後 約2週間”です。
精米後は表面が徐々に酸化していくので、
風味としては劣化してしまいます。
可能であれば、”玄米”で購入し、都度精米すると
信じられないくらい おいしくなりますよ

今は3合程度で精米できる家庭用精米機も
あるので、おススメです!
(私はこのパターンを採用しています)

本来の”新米”とは

前述のとおり、米穀年度とお米の収穫実態に
乖離が生じている
のが現状です。

これは米穀年度設定時と現在とで、
お米の品種改良が進んだ結果による部分が
大きいです。

現在、日本で生産されるお米のほとんどが、
早稲(わせ)”と呼ばれる分類のものです。

早稲田大学の“早稲”は正にコレ由来です。
早稲田=早稲品種を植えていた水田ですからね。

早稲”とは遺伝学上の分類ではなく、
植物性質による植物生理学上の分類です。
ざっくりいうと「早く収穫できるお米」です。

今でこそお米の収穫期間は9~10月がメインですが、
元々は10月下旬~11月というのが一般的でした。

であるからこそ、米穀年度は11-10月という
設定がなされているのです。

ですので、東北・北海道の農業試験場では伝統的に
冷害対策”に主眼を置いた品種改良が進んでおり、
その知見が積みあがっておりました。

今では登熟・収穫期に”寒い”ということは
ほとんどありませんので、
どちらかというと”高温障害対策”に
主眼が置かれていますね。

新米を食べる適切なタイミングがある!

そんなものがあるの!?
と思われる方がほとんどかと思います。
私も知った時はビックリしました。

結論を言うと、”11/24以降” なのです!!

その前日11/23(祝)は何の日かご存知でしょうか?

そうです。
勤労感謝の日”ですね。

勤労感謝の日”というと、まるで労働者のための日
のようですが、これは誤りです。
この日は”新嘗祭(にいなめさい)”が執り行われる日
なのです。

新嘗祭”は宮中祭祀の一つで、
収穫された新穀を神に奉り、
その恵みに感謝し、国家安泰、
国民の繁栄をお祈りする
こと、
が目的とされています。
現在、このお祭りは毎年11月23日に宮中を始め、
日本全国の神社で行われていますが、
特に宮中では天皇陛下が自らお育てになった
新穀を奉る
とともに、
御自おんみずからもその新穀を
お召し上がりになります

伊勢 神宮HPより

伝統的に、新嘗祭が執り行われた後、
払い下げられ、新米をいただく、という考えが
ベースに存在しています。

なので新米を食べる順番としては、

神々 → 天皇 → 一般国民

というのが伝統的な考え方になります。

一般的には早ければ9月下旬にも
新米の流通が開始されますが、
私は上記の考え方に従い、
新嘗祭後にのみ新米をいただく、
というスタイルを取っております。

ちなみに新天皇が即位して最初に行われる新嘗祭を
大嘗祭(だいじょうさい)”と言います。
昨年行われたものが大嘗祭ですね。

このような背景を知れば、
もっとお米はおいしく楽しむことができます!

知ることは楽しいことなのです!

最近は消費量が落ち込んでいると
フォーカスされがちですが、
まだまだ魅力がたくさんある食品なので、
またご紹介できればと思っております!

何か気になる点があれば、
お気軽にメッセージをいただければと思います!

おにぎり紳士

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