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導くということ - お客様からの学び(前編)

 プロジェクトメンバーとしてお客様を訪問するときは、開発内容の打ち合わせだったり、お客様の要望を確認したりというような前向きな対応が多く、その時点でお客様の業務の概要を知ることなどが多いと思います。当たり前ですが、業務知識はお客様の方がはるかに上なのです。しかし、お客様は他の会社の同様な業務やそのシステムについてはそれほど詳しくはありません。なので、我々は、お客様それぞれ特有の業務形態や実現方法(システム化)をお客様から学ぶことになりますす。

 例えば、生産管理業務と一言で言っても、医療機器を作っている会社、携帯を作っている会社、ゲームを作っている会社、車を作っている会社などそれぞれで違うものです。もちろん、製品を作るために必要な部品を調達したり、自社で部品を製造したりして組み上げるという基本的なところは同じですが、それぞれの会社単位で調達するルートや方法も違いますし、部品の大きさも違いますし生産量や品質検査も異なるのです。よって、一般的な書物で解説してある生産管理業務の概要をまずは知識として頭に入れておき、お客様特有の方法や言葉遣い(いわゆる業務用語)をお客様から学ばせていただくのです。そうすることで、一般的な業務とお客様業務の差異を理解しながら、お客様特有の知識が身についていくわけです。これを繰り返していくと、いろんなお客様の生産管理業務の知識が身についていくことになります。

 お客様によっては、調達する部品の量がかなり多い場合があります。過去コンピュータの能力が低い時代は、調達の量を計算させるだけで一週間程度掛かっていた時代もありました。その時は、一回/月程度しか計算させることができないこともありました。しかし、それがテクノロジーの発展によりコンピュータの能力が急上昇し、一日あれば計算できるようになってしまうと、毎週計算ができるようになったのです。これは何を意味するかということを考えてみると、設計変更の頻度に影響を与えるということでした。製品は常に改善されていきます。不具合があればすぐ改善したいはずですが、調達するための計算が間に合わなければすぐには対応できません。そのため次の調達までの在庫を保持することになり、その間は設計変更を反映できないという運用を余儀なくされていたのです。それがいつでも計算できるようになれば、一回の発注量を減らし、新しい部品に切り替えることも無駄をなくしてできるようになったのでした。

 現在では、主流はクラウド環境の利用に移行しています。その気になれば、一日に何回でも計算させることもできる環境になっているわけです。当然、お客様の業務にも大きな影響を与えることになり、業務プロセスの見直しによるコストダウンにもつながっています。その分、物流はこまめに配送を強いられるので、別の工夫が必要になるというようにコンピュータの発展は業務負荷のシフトも発生させることになっていったのでした。このようなことは、実際にお客様業務のシステム化に携わることによって学ぶことができるのだと思います。

<後編に続く>


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グループリーダーや部下を持っている管理職の方達の日々の迷いを共有し少しでもヒントになるような記事を目指して描いていきたいと思います。

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