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導くということ - 得意分野のスキルを伸ばす(前編)

 経験年数が10年を超えてくると、専門的なスキルが確立していきます。そして、嫌いな分野のスキルは吸収することが少なくなり、どんどん退化していきます。ある程度は仕方のないことだと思います。限りある時間を有効に利用し、得意分野のスキルをより秀でたものにするということは現代社会において学ぶということの中で重要な要素の一つでもあるでしょう。私自身の経験がIT業界なので、IT業界として過去に存在したスキル保持について考えてみます。

 得意分野でのスキルが一つしかない状態を長く続けることは、時間と共にリスクも増大していくことを学ばなければなりません。異なる分野のスキルを二つ以上常に維持していれば、世の中の変動に順応して対応することが容易になり、保有スキルの空白期間を作らずに済みます。変動が激しいIT業界では必須の対応だと思った方がいいかもしれません。

 例えば、言語で言えばCOBOLしか知らなければその活躍できる業務は年々縮小されることになるし、特殊なオペレーティングシステムやハードウェアのスキルしか持っていなければ、将来的には活躍できる場所はなくなるでしょう。かつては、データベースの世界でいえば、ネットワークやツリー型が標準でしたが、今ではリレーショナル型を知っていなければデータベースのスキルを持っているとは言い難いでしょう。また、サーバーのオペレーティングシステムについて言えば、UNIX関連のスキル保持者が優遇されるでしょう。かつて、存在していたOS/2を知っていても利用する機会はありません。過去においてOS/2が斜陽していった時に一番OS/2を利用していたのは、Windows上のソフト開発者だったということを聞いたことがあります。これは、OS/2の中でいくつものWindowsを稼働させることができ、一つのWindowsがクラッシュしても他の区画に影響を与えないで開発が継続できたからということのようです。しかし、皮肉なことに、OS/2は市場で生き残ることはできませんでした。

 世の中で特にITの世界は目まぐるしく進化しています。従って、IT業界で生き残ろうとするには、少なくとも二つの異なる分野のスキルを保持しそのスキルに磨きをかけていかなければなりません。もし、保有しているスキルの一つに利用価値がなくなることが明確になったら、次の候補を探すことが必要でしょう。

 得意分野は、例えば一つはプロジェクト管理でもう一つはデータベースという組み合わせもいいと思います。プロジェクト管理に関しては、開発手法の変化に追随しなければなりませんが、人が関与する開発が続く限り必要なスキルと言えるでしょう。一方データベースはテクニカルスキルの一つとして重要視されているものです。こちらもその実現形体は変化するので時代に合わせてスキルの修正が必要になると思いますが、現段階では最も重要なベーススキルとして考えられるでしょう。


<後編に続く>



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グループリーダーや部下を持っている管理職の方達の日々の迷いを共有し少しでもヒントになるような記事を目指して描いていきたいと思います。

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