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導くということ - お客様からの学び(後編)

 ラインになってからのお客様との関わり合いは、プロジェクトメンバーの時とは少し違ってきます。圧倒的に増加するのは、システムのトラブルなどに対する謝罪訪問でしょう。もちろん、トラブルがあっても無事にサービス開始されるとお客様も喜んでいただけれるので達成感もあります。

 以前、あるお客様からメールシステムが思った通りに稼働しないというクレームが入り、とりあえず事象を確認するために、SEを同伴させて話を聞きに行ったことがあります。その時、会議室で待っていらっしゃったお客様は、我々の顔を見るなり、「メールシステムは我々にとって基幹業務なんだ。そういう意識で担当してくれているのか」と言われました。突然の言葉に戸惑った記憶があります。その時のお客様は、大阪と東京に拠点があり、それぞれの場所にメールサーバーを置いて、お互いにバックアップを兼ねてレプリケーションする仕組みを採用されていました。当時は、WAN環境でのレプリケーションはまだ安定しないので推奨していない時期だったのです。しかし、お客さまは業務を効率よく安全に回すために我々と共にメールシステムの新しい環境に挑戦したのでした。そして、やはり回線が不安定となり、メールの遅延が発生したりし始めました。しかし、お客様からすれば昨日今日構築した環境でもなく問題なく運用できていたわけなので、いきなりの言葉につながったわけです。我々は、メールシステムが基幹システムだという意識を持っていなかったことも事実だったので、お客様によっては基幹業務になるうるということを再認識し、環境の改善に取り組んだものでした。幸いにも、お客さまが構築された環境の運用が始まってからシステムも改善が進んでいて、新しいバージョンにすればもっと安定する可能性が高いということもわかり、システムのバージョンアップ作業に向けてお客様と調整を始めることになりました。如何に、問題のない時にお客様を訪問し、利用状況や小さな問題を収集することが大切かということを感じたものでした。

 お客様が実現したい環境は、その時に採用可能なテクノロジーに大きく左右されます。使える状態になったばかりの機能はとりあえず安定するまで利用しないと考えるお客さまと積極的に利用しようというお客さまでは対応方法も異なります。その辺りもラインになりお客様と話をすることで段々とお客様の経営環境や業界の中での位置付けがわかってくることにより理解できるようになっていきます。

 社員としてお客様業務をお客様から学んだ後には、ラインとなってお客様の経営層と話をする機会を得ることで、なぜ今の仕組みが必要なのか、今後どうすればいいのかというヒントをいただけるようになるのだと思います。もちろん、営業に同行していくことも多くなるはずなので、お客様の経営層との面談機会は増え、学ぶ機会も増えるでしょう。そんな機会を大切にして成長していってください。




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グループリーダーや部下を持っている管理職の方達の日々の迷いを共有し少しでもヒントになるような記事を目指して描いていきたいと思います。

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