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導くということ - 食べず嫌いスキルの克服(後編)

 プロジェクトを成し遂げるためには、複数のスキルが必要になります。アプリケーションシステムの開発であれば、要件定義をお客様と実施することができるスキル、要件定義からシステム設計書を書き起こし、利用するハードウェア、ソフトウェアの決定、既存システムとのインターフェース調査、エンドユーザーが利用するPCの画面デザイン、プログラミング言語を使ってのプログラミング、効率のいいテスト方法の採用、開発環境から本番環境への安全移行計画、作成したシステムの品質の確認、お客さまへの納品物の確認など多岐にわたる要素の仕事とスキルが求められます。当然一部のフェーズだけを担当することもありますが、原則として全体の流れやそれぞれの役割と意味はどのパートの仕事をするとしても知っておきべきだと思います。それらをお客様も含めて意識合わせをする場が、プロジェクトの開始時に実施するキックオフ会議になるでしょう。しかし、それぞれの概要程度は身につけておかないと、全体を踏まえた自分の担当の仕事にも進捗上何らかの影響を及ぼすかもしれません。

 かつては、プロジェクトマネージャの役割を担う人の中にはプログラミング経験が全くない社員もいた時代がありました。プログラム開発は他社に請け負いで依頼するから問題ないと考えていたのかもしれません。しかし、よく考えてみましょう。お客様に提案した金額の範囲内に収まっているから問題ないわけではなく常にその作業や成果に対して妥当な金額であるかと言う検証ができるようになっていなければ健全なプロジェクトとは言えません。社外へ発注する場合は特にその見積が妥当なのかどうかという検証をすることができるスキルも必要になるのです。もちろん、社内のプログラミングの得意なSEに検証してもらうと言うのもいいとは思いますが、その場合は先に社内で見積もりを実施して、発注予定の会社に見積もり依頼をし、差があればその内容を確認するということも重要になるでしょう。いずれにしても、チームとして仕事をしていくことを考えれば、自分の役割ではないからスキルもつけなくていいと言うことにはなりません。少なくとも、品質、コスト、納期に影響するような内容に関してはプロジェクトチームメンバーとしてしっかりと把握して取り組むべきだと思います。

 社員が得意分野のスキル向上を目指すことを後押しすると共に、その得意分野のスキルを実際の仕事として生かすためには、その周りに存在する補完すべき知識も吸収してもらうことをアドバイスし、環境を作り、アサインすると言うことはラインとしてとても重要だと思います。そのためにも、個人面談の場できちんと話をする必要があります。目指している職種が違うから関係ないのではなく、主として伸ばさなければならないスキルと、基本として身につけなければならないスキルをしっかり区別し目標設定に生かすべきでしょう。プロジェクトマネージャを全く目指していない人は、PMPなどのプロジェクトマネージャとしての資格取得や専門的な研修には参加する必要はなくても、プロジェクト管理そのものは全員が知っておくべき基礎知識であるべきだと思います。仕事を進めていく基本でもあり、ラインとしても知っておかなければならない内容だと考えます。





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グループリーダーや部下を持っている管理職の方達の日々の迷いを共有し少しでもヒントになるような記事を目指して描いていきたいと思います。

経験から得られた、社員に対する育成や組織に対する取り組みということを私なりに綴ってみたいと思います。

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