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導くということ - チーム内での育成(後編)

 チームとしての成果を追求するということと社員個人のスキルを向上するということは、実は矛盾を孕んでいるのです。会社として各社員に対しては、必要なスキルを向上するように奨励し各社員は懸命に学習します。しかし、社員間での差はどうしてもできてしまうのです。その時、他者より劣っているスキルに対し、キャッチアップするように促すのか、劣っているスキルは放置して得意とするスキルエリアの専門性を追求させるのかでその社員の会社人生は変化してしまいます。会社は個人で出せる成果の限界を知っています。だからチームとしての成果に期待するのです。一人ではなし得ない仕事でもチームが協力すれば可能になるのです。従って、会社としてはチームとしての成果が最大限になるための社員個人のスキル向上を期待しているわけです。

 しかし、社員としてはそういうわけにはいきません。自分自身の将来のため、苦手分野を無くして仕事をしていく上で困らないスキルを維持していきたいとか、ほどほどのポジションでそれなりの給料がもらえればいいと考える社員も実際には存在するのです。

 これらを両立することは大変難しいのですが、時間を味方につけることでいくらかは改善することができます。若い社員であれば、まだ苦手分野を克服する時間はあるでしょう。しかし、シニアな社員にとってはそれは時間的に困難な状況になることがあります。その時シニアな社員に残された時間は、その社員が保有している専門的な分野で若い社員をリードしてもらった方が全体的には高いパフォーマンスを得られることになります。

 大切なのは、どのようなメンバーでチーム編成するかということです。これは、組織の構成も同じです。組織として必要なスキルを保持している前向きな社員をリーダーとして構成することができれば、若手を導く構成もできることになります。しかし、その時に社員個人の希望を考慮する必要もあり、理想的な組織を維持するということはとても困難ということになります。しかも、仕事自体が要望に応じるためのプロジェクトのような形式であれば、都度必要なスキルが変化することになり、余計にチーム編成は困難になるでしょう。

 チーム内においても、先輩後輩の関係は存在し、その関係での指導や教育といった時間も存在するでしょう。そして個々で実施されている育成に関する状況をチームとして取りまとめ、どの程度のスキル向上が果たせているかということを把握すると同時に、チームとしての成果も確認しなければなりません。そして、適切なフィードバックを個人に対して実施し、モチベーションの維持を図っていくことがリーダーには求められることになります。この時のリーダーは、チームリーダーだったりプロジェクトリーダーだったりするわけですが、重要なのは、その情報を直属のライン(人事上の管理職)と共有することでしょう。その内容が、まとめられて各社員の次なる目標設定に役立てられることになります。

 チームの中では、仕事を実施しながら「育成」が行われているのです。ということは、それが正しく実施されているということを確認することも重要な導きであるといえます。そう考えるとリーダーの役割は非常に神経を削ることになるのかもしれません。リーダーはこのような役割を楽しめるくらいの心の余裕が必要なのかもしれませんね。



導くということ - チーム内での育成(前編)


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グループリーダーや部下を持っている管理職の方達の日々の迷いを共有し少しでもヒントになるような記事を目指して描いていきたいと思います。

経験から得られた、社員に対する育成や組織に対する取り組みということを私なりに綴ってみたいと思います。

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