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【SS】20.迷う心もクリーンに  ※クリエイターフェス

毎日した方がいいのは掃除も同様である。でも面倒なのでクイックルワイパーだけの時もある。そんな時に活躍するのはロボット掃除機だ。我が家のロボット掃除機は廉価版のせいかどうかはわからないが壁や窓枠にゴンゴンぶつかる。もっと賢いクリーナーならいいのになぁと思いながら書いたショートショートです。お楽しみください。


迷う心もクリーンに

 今日も黄砂のせいか床がざらざらしている感じだ。こんな時はロボット掃除機が便利でいい。ただ、何世代か前のもので少しドジなところもあるロボット掃除機だ。我が家ではロボたんと呼んでいる。

「ロボたん、掃除して !」

 Alexa経由で音声を認識してロボたんは「ピー」という音を発した後に、掃除を開始した。ゴロゴロ、カタンカタン、シューシューと音を立てながら部屋の中を回り始めた。じっと見つめていても、どうしてそのルートを選択しているのかいまいち理解できない。もっと効率良く動けばいいのにヘボなプログラミングされてるんだなぁと心の中で呟いていると、ロボたんが何やら反撃に出てきた。

「私のプログラムは優秀です。一見無駄に見えてもゴミを取り残さないように動いているのです。ピー」
「えっ、僕が思ったことが解ったの」
「はい。私にはあなたの心の中の言葉を信号としてキャッチする機能が備わっています」
「凄っ、でも、それってなんの意味があるの?」
「はい。あなたの心の中でゴミとなってしまった記憶をクリーンにするための機能です。ピー」
「えっ、心の中をクリーンにするとどうなるの」
「はい。心の中をクリーンにすると誰にでも優しく接することができるきれいな心を維持できます。これまでも起動されるたびにあなたの心の中もきれいにしてきました。私にはそのためのお掃除経路がプログラミングされているのです。ピー」

 一時間ほど稼働したロボたんは自動的に自分のベースに戻り、充電体制に入り眠りについた。「ピコッ」という音と共に。

 僕は心なしか軽くなった心で秋の青空の下に出かけた。



期間限定マガジン (2022/10/1 -2022/10/31)

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